
今年は気象が可笑しい。ニュースでも新聞でもいわれているが。十月になっても半袖でさえも暑いっていうのは、どういうこった。俺はノートで扇ぎながらテレビのニュースを見ていた(つっても試合の合間のニュースだ)さっきまで一緒に見ていた奴は、ソファ…俺の隣でいつの間にかスヤスヤと眠ってしまったみたいだ。まるで昔飼っていた猫のように無防備な状態でこいつは寝ている。ったく…。俺は溜息をついて視線をテレビに戻した。 「冬獅郎、試合はどんな…って、ちゃん寝た?」 「試合の結果を気にしてたくせに寝やがった。」 俺の双子の弟である雪獅郎は試合、とか言って来たくせにテレビなんて目もくれずにの方を見ている。あんま寝顔見てやるな、悪趣味だろ。そう思いつつもこいつに言ったってロクなこと言やしねぇ。どうせ、女の子の寝顔は宝だ、とか、寝顔こそ真の可愛さだ、とかいつものように馬鹿丸出しの発言をするんだろう。これで俺と一卵性双子なのだからほんっとやりきれねぇ。…産み忘れりゃよかったのに母さん。 「…って、に触んなよ。」 「少しぐらいいいんじゃない?」 「起きるだろ。」 「ちゃん寝起き悪いし。」 確かにそうだ。こいつの寝起きは良くない。目覚ましセットしてるくせに起きてこない。たまに、時間通りに起きてくることもあるけど、たいていは俺が目覚ましがなった十分後に起こしに行く(雪獅郎に行かせると何か危ない気がするので俺が自主的に向かう) 「ってか、寝顔可愛いなぁ。」 「へーへー。」 「冬獅郎、照れて見れないんだろ。」 「誰がッ!」 「これこそ天使のような寝顔って、やつだなー。」 天使?やけにロマンチックなことを言う奴だな。だからそういう発言は控えてくれよ、何か同じ顔でそういうこと言われると鳥肌がたちそうになることがある! 「知ってた?今日って天使の日なんだってさ。」 「はぁ?天使の日ぃ?」 「十月四日で、天使の日。」 「…無理矢理なゴロ合わせだな。」 十は英語で四は日本語かよ。誰が考えたのかは知らねぇけど。そう思いながらも視線が自然にの方へいった。近くでこんだけ喋ってるっつぅのに起きる気配すらない。まったく、よく寝るくせに大きくなんねぇ奴だな(まぁ、あの食事量じゃいただける) 「…ん…。」 突然が声を出した。まだ眠りの中の無意識な声だが…そこまでは別によかった。寝返りをうとうとして、それでも(ソファだから)うてなかったからだろう、よりによっては俺の方へとよりかかってきてしまった。思わぬことに俺は一瞬硬直させてしまった。 「冬獅郎、ナイスポジション!」 「ナイスじゃねぇ!」 「じゃ、俺と代わるか?さぁどんとこーい!」 「代わるか!」 「一刀両断…俺、泣くぞ?」 「泣け、むしろ体中の水分がなくなるほど泣いてしまえ!」 「それじゃ死ぬじゃん。」 煩い雪獅郎をリビングから追い出し、俺は気にしない振りをしてサッカーの試合に集中しようかと思った。が、やはりどうやっても集中できそうにない。ナイスプレーもゴールもアナウンサーのけたたましい声も、ただの世間話のように流れていってしまう。ちくしょう、馬鹿め…。 「…んぅ…シロ、ちゃ…ん。」 「つっ、何の夢見てんだ、お前…!」 雪獅郎は水分不足で死ぬのなら、俺は体温上昇で死んでしまう。こら、起きろ、起きやがれ!と、思いながらもなぜか俺は体を揺さぶることも声をかけることもできないまま、サッカー終了五分前までこの体勢でいることになるのだった。 |