護廷十三隊ではない、ましてや死神でもない朽木家の一人娘である朽木がそれこそ毎日のようにそこに存在しているのは、もはや当たり前と誰もが思えるくらい彼女は馴染んでいた。草鹿くらいに成長(成長が一時期著しかった)したは、たまに父である朽木や仲が良い日番谷のお手伝いまでするようになっていた。それについては総隊長である山本も何も言わない。彼は彼で彼女の才能を是非とも後々に護廷十三隊で活かしてほしい、とすら思っているくらいだ。



「あら、隊長何だかご機嫌ですね。」

「そうか?」



隊長、と呼ばれた日番谷は尋ねてきた松本に少し不思議そうな表情を浮かべた。そうは言うものの彼は確かに上機嫌だった。十人が彼を見れば十人全員が頷けるほど。だが、日番谷には自覚がないらしい。そんな彼を松本が別に変な意味ではなく小さく笑った。彼女には分かっている、彼は十中八九あの"女の子"のことを考えているのだろう、と。初めて二人で歩いているところを見たときは松本をはじめとする誰もが少々驚いた。穏やかな表情で幼子と手を繋いで歩いている日番谷を今までに見たことがあっただろうか、否、ない。だが、すぐに日番谷がそのような表情になるのも頷けた。朽木は、そんな子だった。そんなとき、突然、コンコン、という窓を誰かが叩くような音が聞こえた。



?」



そこにいたのは噂の女の子だった。日番谷は慌てて窓を開けるとを招き入れた。無自覚ではあるが、表情が和らぐ。だが、目の前にいるはいつものような笑顔を浮かべてはいなかった。何かを我慢するように、ぎゅっと自分の着物を掴んでいた。何かあったのだろうか、日番谷は心配になり膝を曲げ、彼女と目線を合わせた。言いたいことが彼にはあった、だが、目の前のいつもと違う様子の彼女を見るとどうしてもそれは言えなかった。松本も彼女の違和感を感じ取り、実は日番谷をからかおうと思っていたけれど、それをやめた。若干の空気の重さと沈黙。先に口を開いたのはだった。



「しばらく、としろに会えないの。」



どのくらい会えないかも分からない、そう小さく振り絞るように言うに日番谷は絶句した。彼女の言葉の意味を理解すると、言いたかった言葉を無理矢理飲み込んだ。ただ、今にも泣き出しそうな彼女の手を引き、包むように抱きしめた。胸にぽっかりと大きな穴が空いてしまった気がして、虚と戦い負った傷なんかよりもそれこそ経験したことのないような胸の痛みを感じた。











…あした、会える?
明日は久しぶりの非番だから、遊びに行こうと誘おうと思ってたんだ。












コメント

シリアス、これが一番シリアスかな。
朽木家の一人娘ですし、
家の事情で色々とあるようです。
そんなお話。
明日会える、って言いたかった隊長。