朽木が戻ってきた。それは何故だか建物全土にいつの間にか知れ渡っていた。三年前までのように日番谷の隣を歩いているはすれ違う人たちに手を振られたり声をかけられたりしていた。すれ違う人々は最初は少々驚いているようだった。それもそのはずだ、彼女は三年前に比べたら著しく成長しているのだから。三年前までは100cmほどしかなかった身長が今は日番谷と然程変わらないように見える。



「なぁ、お前が三年間朽木家で鍛錬<たんれん>しているのは理解したけど…その、急激な成長は何だ?」



そう、彼女は三年の間、家の修練場で鍛錬をしていたのだった。朽木家(四大貴族)に生まれた以上は父親である朽木白哉が彼女に強いらずとも、周りは放っておかない。幼い子どもであろうとも一日、それこそ一分一秒でも早く立派な死神になれるよう知識はもちろん、鬼道や剣術も、血がにじみそうなほど強制された。それを聞いたとき、日番谷は何ともなさそうに笑うを思い切り抱きしめた。戦いとは無関係と言えるぐらい平和な場所にいて欲しいと願っていた彼女は、自分の意思ではなく周囲から戦いの場に投じられようとしている。



「あ、これ?薬飲んだの。」

「薬?」



確かに彼女は成長している。だが、その笑顔は前と微塵も変わらないほど日番谷の心を癒す。は日番谷に聞き返されて、うん、と頷いた。どうやら何かの薬を飲み、彼女の体は急激に成長してしまったようだ。では、その薬とは何か。



「十二番隊ってとこの…「涅の薬か!?」



の言葉を遮って、日番谷は目を丸くして叫ぶように言った。それには言うまでもなく驚いたけれども、彼女は頷く。それに日番谷は慌てての肩をガシリと掴んだ。護廷十三隊、十二番隊隊長、涅マユリ。死神の中でも一、二を争うほどの変人だとハッキリと自信を持って(日番谷は)言える。そんな人物の薬を飲むなんて、一体何があったのだろうと彼は目を見張った。



「れいあつ、って言うの?あれが自分じゃどうにもできなくなって、私の体が耐え切れなくなって。」



小さな体では引き出された霊圧に耐え切れなくなったため、朽木は涅に言って成長剤を作ってもらったようだ。彼は変人ではあるが、腕は確かなマッドサイエンティストだ。それによりの体が何年分か一気に成長したのも頷ける話だ。だが、日番谷が気になるのは…。



「それ、副作用とかは…。」

「あ、あるある。」

「れっ冷静に言うなよ!」



中身は三年前と変わっていない。呑気に手をあげて笑顔のに日番谷は冷や汗を流しながらその答えを待った。もし、命に関わるような副作用ならいっそのこと(八つ当たりになるが)涅を亡き者にしてやろう、と思いかねないくらいの日番谷の表情にはちょっと怖がったため、彼は一生懸命表情を戻す。



「一般的な人に比べたら成長が乏しくなる。もしかしたらこれ以上大きくなれないかもしれないって言ってたよ。」



それって十分に問題なのでは、と日番谷は思った。だが、体が霊圧に耐え切れない状態、そのままでいたのならば確実にの体は膨張した霊圧により破壊されてしまっただろう。命を失わずとも、ただで済むはずがない。それを考えれば、仕方がないと言い切れる話だ。確かにの成長には驚いた。戸惑った。けれども、彼女はまた自分の隣を歩いてくれる。自分の傍にいてくれる。日番谷は現しようのないほどの愛しさを感じ、思わず自分の胸を押さえた。そんな彼を見てが心配そうな顔を浮かべる。



「としろ?どうしたの、どっか痛い?」

「…違う、痛いんじゃない。」



この胸の苦しみは痛みなんかじゃない。日番谷は彼女に柔らかい微笑みを浮かべると両腕を伸ばして彼女の体を優しく包んだ。この温もり、匂い、もしかしたらもう二度と感じることができないのではないかと悲観したときもあった。だが、再び彼らは会うことができた。体の成長に心の成長は比例しておらず、日番谷の気持ちがに伝わるはずもない。だが、は嬉しそうに笑った。彼らが少し離れたとき、彼女はほとんど同じ高さにある彼の目を見て、お願いするように両手を合わせた。











手、繋がせて。駄目?
駄目なわけ、ないだろ。












コメント

よく分からない説明だけのお話になってしまった。
もう少し面白くor甘くしたかったなぁ。
このシリーズの隊長は抱きつきすぎですね。
四大貴族ともなれば厳しいのかなぁ、とか思って
こういう風にしましたが。
まぁ、この話では朽木さん偽者ですからね。
あんな風に可愛がることはなさそうだ。

自分としては主はルキアくらいまでは大きくなる予定。