外は雨。現世と同じく梅雨時期にはいった尸魂界。死神たちはそんなジメジメした日もせっせと書類業務に追われていた。だが、この湿気のおかげでやる気はいつもの半減もいいところだ。それは十番隊の隊長である日番谷にとっても同じだった。彼はどちらかというと蒸し暑かったりするのは苦手な方だ。終わらせなければならない書類の山が目の前にあるというのに、どうしてもいつものようにピッチを上げることができない。苛々はつのり、眉間の皺はより深いものになってしまう。



「冬獅郎、冷たいお茶でも飲む?」



ナイスタイミングで麦茶を持ったが現れた。彼女も少し蒸し暑く感じているのだろう、袖がまくられていた。麦茶よりも視線は彼女のいつもは隠された白魚のような肌に向けられてしまう。それを自覚した日番谷は慌てて目線を書類に戻した。そして、あぁもらう、と短く答えた(その答えは実はあまりにも動揺を感じさせるようなどもり具合だった)どうやら書類の方はひと段落ついたらしく、はソファに座り日番谷に渡したのと同じ、冷えた麦茶を口にいれた。ひんやりとした麦茶が喉を通っていく。



「雨だね。」

「梅雨だからな…鬱陶<うっとう>しいけど。」



なかなか進まない書類業務をいったんとめ、日番谷もの座っているソファへと移動した。蒸し暑いとはいえ、の隣にさり気なく座ることは忘れない。は気にするでもなく、隣に座った日番谷を見て微笑んだ。ドキリとしたが、彼はそれを誤魔化すように麦茶を一気飲みした。外からシトシトという雨の音が聞こえてくる。強い雨ではないけれど、一向に止もうとしない雨も鬱陶しいこと他ない。けれども日番谷は今はそんなことどうでもよくなりかけていた。隣には彼女がいるのだから。



「冬獅郎誘って気晴らしに行こうと思ったのになぁ。」



雨だから無理だ、と呟くようにが言った瞬間、どうでもよくなりかけていたことがどうでもよくなくなった。がいない、松本がいない、絶好の二人きり(で出かける)のチャンスだったのに。そう思うと止め処なく降ってくる雨に無茶苦茶ながらも罵声を浴びせてやりたくなった。と出かけるチャンスは失くすわ、書類業務に集中はできないわ、雨なんてろくなもんじゃない。日番谷は恨みを感じながら窓から外を睨んだ。だが。



「明日は晴れるんだって、明日二人で行こうか?」



思ってもいなかった言葉に思わず日番谷は目を丸くした。嫌?と首を傾げて聞いてくる彼女に思い切り首を振ってそれを否定した。嫌ではない、嫌なわけがない!日番谷はもう一口分ほどしか残っていない麦茶を流し込むように飲むと、にコップを渡した。そしてすぐさま自分の机につき書類と対峙する。俄然やる気を出した日番谷にはちょっと驚いたようだが、小さく笑うと彼の邪魔をしないように静かに執務室から出た。











明日天気になれ












コメント

短めの平和なお話。
一応季節もの、梅雨企画(一人)です。
男主が出てこないと平和ですね。
彼が出ないと何だか寂しい。
隊長あんまし喋ってないし、夢話じゃないし。
梅雨を意識したもの。
企画の方先に仕上げなよ、私…。