現役高校生である黒崎たちは制服を日常的に着ている。と、いうことで彼らに自然に近付くためにたちも義骸と制服を新調することになった。そんなわけで彼らは今、技術開発局の一室にいるわけなのである(勿論、制服なるものの試着のために)彼らは各々与えられた制服に袖を通した。ここが短い、だの、これは長い、だのメンバーがメンバーなだけに各々言いたい放題であるそんな中、は…。



「じゃーん、どう、冬獅郎!」



現世の物大好き、なにとって制服も喜ばしいものである。嬉しそうに笑って日番谷の前でクルリと一回転してみせた。その仕草に日番谷だけでなくその場にいる者の時間が一瞬とまった。彼女はそんな光景を目にし不思議そうに首を傾げたのだが、次の瞬間、彼女の視界は真っ黒に染められた。飛びついてきた松本(の胸)によって目の前が真っ暗になってしまったのだ。可愛いー可愛いっ、と黄色い声をあげ、呼吸困難になりかけているにはまったくもって気づきそうにない。いつものことではあるが、そんな彼女らに溜息をつき、日番谷は二人を引き離した。



を死なす気か、お前は。」

「あら、そのときは隊長の人工呼吸ですよ。」



人工呼吸、マウス・トゥー・マウス。その言葉にボッと日番谷の顔は一瞬にして紅色に染まってしまった。話をよく聞いていなかった(既に生と死の狭間を彷徨いかけていたので)はそんな彼を見てまた不思議そうに首を傾げた。が、彼の格好を見て何かを思いついたようで、すぐに笑顔を浮かべて彼の手をとった。突然握られた手に動揺を隠せない日番谷はニヤニヤしている松本に罵声を浴びせながらも、なんだかに引っ張られているような気がする、と、気がつけばなぜか試着室に二人一緒に入っていた。



「男の子の制服もいいなぁ、ちょっと着せて!」

「はっ?」

「ネクタイつけてみたい、ちょっと交換しよう?」



個室に連れ込まれてなんだというのだ。日番谷は突然過ぎるの思考についていけない。言葉を理解する前にの手が日番谷の服へと触れた。彼がギョッとしたのは言うまでもない。もしかして、もしかしなくても、このまま此処で着替えようとか言うのではないだろうか。日番谷の脳裏に不安が過ぎる。チャンス、と思えるほど日番谷は本能的ではなく、ある意味密室で男女二人きり(外には数人いるが)そういうシチュエーションでありながらもどうして戸惑わずに着替えようなどと言えるのであるかと瞬時に悩んだ。だが、考えるまでもない。それは彼女がまったくもって気にしていないからだ。



「早く脱いでよー。」

「ば、ばばばば馬鹿かっ!」

「分かった、ネクタイ渡したくないんでしょ!」



違う、という言葉もには届かなかった。彼女は頬を少し膨らませてから、悪戯な笑顔を浮かべた。そしてこともあろうか、ネクタイを緩め、日番谷の着ている開襟シャツのボタンに手をかけているのだ。



「なっ、なななな何やってっ!」

「だって冬獅郎ってネクタイ独り占め…。」

「違うだろー!」

「あ、そっか、先に脱がせたら着る物がないよね。」



そう言って何を考えたのか(いや、むしろ何も考えてないだろう)は自分の服に手をかけた。これには流石の日番谷の思考回路も一瞬何処かに吹っ飛んでいってしまった。先に私が脱いで着る物渡すから、と彼女は躊躇せずに自分のボタンを外している。そんな彼女の手を慌てて彼は押さえた。



「何、私が先に脱いじゃ駄目?」

「いいいいや、その…(むしろOKって…オイ俺っ!)」



頭の中で起こっている葛藤<かっとう>彼の頭の中で白と黒の小人のようなものが話しかける。白は、というと…必死になって止めるように言っている。黒は、というと…こんなチャンスは滅多にないなど笑っている。日番谷は手をそのままで微かな唸り声を出した。がいたならば一瞬にしてその場を鎮圧しただろう…が、そのも今此処にはいないのだ。絶好のチャンスか、はたまた絶体絶命か。うんうん唸っている彼はチラリとを見た。既にボタンがニ、三コ外れていて白い肌が垣間<かいま>見えたことにギョッとしてしまう。



「(ヤバイ、これじゃ拷問だ…マジ勘弁してくれ)」



日番谷の心の叫びなど聞こえるわけもなく、は先に脱ぐか脱がないか、などと平然と彼に聞いている。勿論、その会話が外に聞こえていないはずなどなく(布一枚でしきられてるから)簡易試着室の周囲には松本は勿論、阿散井たちも、朽木ですら集まっていたりする。彼らはこれから日番谷がどうするのか興味深々だ。だが、色々期待して待っているのに先ほどから会話は繰り返し、痺れを切らしたのか松本がついに口を開いた。



「隊長ー!そこは男が押すもんですよー!」

「大丈夫っスよ、には事後報告にしときますから。」

「あとで色々教えて下さーい。」

「独り占めは美しくないですよ、日番谷隊長。」



各々布一枚隔てて言いたい放題だ。そんな中、傍観者の中でも大人しかった朽木が何かを思い出したようにポンと手を叩いた。前に立っていた阿散井を力任せに押しのけると彼女は口を開いた。



「あのー、そろそろ時間になりますけど。」











天然ゆえの逆セクハラ
兄も妹も俺を振り回すのかよ、ほんと勘弁してくれっ!












コメント

まず、サブタイトルがどうかと思います。
いえ、私自身が…。
が、考えがまとまるのは、凄く早かった!
やっぱり苦労人だなぁ隊長。
私的にはナイス阿散井くんって感じっス。
事後報告…が彼の台詞。
彼の言葉がちょっと使いたかっただけ、かも。