記憶操作を行い空座高校に通っているたち。今日も学校に通うペアとその間も見回りをしているペアに分かれている。と日番谷ペアは今日が学校に行く日であった。彼らは制服を着て1−3にちゃっかり入り込んでいる。記憶装置は上手くいっていて変な時期の二人同じクラスだということにも生徒たちは疑問を抱いてはいないようだ。可笑しく思えるところは、恐らく、彼らの体格のみであろう。



「可哀想に、色々大変だったのね。」



けれども、その疑問も今ではなくなりつつある。どんな説明をして誤魔化したのだろうか、と日番谷は口々に発せられる慰めの言葉に疑問を抱いた。授業の内容は思っていたよりも難しいものではなく、日々難しい書類に取り組んでいるからなのか、はたまた死神とは頭脳も人並外れているのだろうか順調、というよりも生徒たちよりも秀でていた。体育の時間だって軽々と何事もこなしてしまう。そんな学校生活に喜びと幸せを感じているのがだった。



ちゃんちゃん!」

「ね、これ見て、面白いよ。」




元々真央霊術院の生活も好んでいたは大好きな現世での学校生活を嫌うはずがない。人懐っこい彼女は今やクラスに馴染んでいる。日番谷は一人窓際の自分の席に座り、頬杖をついてそんな彼女を見ていた。時折思うことがある、なぜ彼女が死神なんかにならなければならない、と。名のある貴族の子どもだけあって、彼女ももそれこそ秘められた力があると総隊長である山本から聞かされている。だが、いくら強いとはいえ、彼女は日番谷よりも幼い女の子だ。隊長失格と言われても仕方ないが、私情を挟み虚に携わる業務にはあまり行かせていない。行かせるときは自分も行くか、不本意ではあるが十三番隊のを一緒に行かせるよう浮竹と話をしている。



「(できればを戦いに巻き込みたくはねぇが)」



戦闘能力の高さは自分だって認める。特に彼女の斬魄刀"白翼竜"は炎系であるにも関わらず、自分の持つ"氷輪丸"やの持つ"黒翼竜"などの対極の力を持つ斬魄刀の能力さえも飲み込まず、打ち消すこともなく、攻撃をすることが可能だ。卍解は試みていないとのことだが、隊長クラスの力を持つはその事実が周囲に知られていればすぐにでも卍解を強いられるだろう。日番谷はそんなことを考えて、無意識ではあるが眉間の皺を一層深く寄せた。



「冬獅郎!」



突然声をかけられ、日番谷は頬杖していた腕を机からガクリと落とした。彼を呼んだのは、彼が考えていた人物で、慌てると同時にこれまた無意識ではあろうが表情が少し柔らかくなった。




「何考えてたの?」

「…これからのこと。」

からは異常なしって連絡来てたよ。」

「そうか。」



斑目の方からも日番谷に対し、異常なし、と連絡が来ている。だが、油断はできない。藍染の企みか、そうではないかにしても、虚が今までよりも出現しているのは確かである。日番谷は伝令神機を開いた(見た目は携帯電話のため、誰も変には思わない)丁度松本から、異常なし、と連絡が来たところだった。虚の反応も今のところはない。も日番谷の伝令神機をのぞきこんでいたところ、いきなり倍の重力を感じた。



ちゃーん!」

「うわぁぁ!」



誰かがにのしかかっているようだ。彼女が前倒れになりそうなのを分かった日番谷が慌てて支えようとしたが、その前にのしかかっている人物が退いたらしい。重みがなくなった彼女は振り向いて犯人の顔を見た。それは1−3の生徒であり、例の死神代行の(一応)友人である人物だった。



「え、っと確か…。」

「うんうん。」

「…誰だったっけ?」

「のぉぉぉ!あ、さ、の、浅野啓吾!」

「あぁ、浅野くん!」



にこっとは浅野に笑顔を向けたが、それが日番谷は気に入らなかった。彼は、自分の身長(見た目)には少々不満があり、義骸工学の力によって少しでも大人びて見えるようにしてほしいと実は思っていたが、に関してはこのままであってほしいと思っていた。彼女が大人になったところを想像するのは男としては楽しみなものではあるが、他の男が絶対に放ってはおかないことを重々分かっている。だからこそ、の姿が云わば小学生で安心していた。だが、それでも言い寄ってくる男はいるものなのだ。



ちゃーん、学校終わったらさ一緒に…ぶげっ!



浅野の顔に何かがヒットした。それが飛んできたのは確実に日番谷の方からだ。だが、が彼を見たとき、日番谷は何でもないような顔をして教科書を読んでいた。あれ、と首を傾げる。被害者である浅野は、というと。当たったのは消しゴムだというのに物凄くハッキリとした赤い跡がついてしまっていた。



「(馴れ馴れしくを呼ぶんじゃねぇ触んじゃねぇ)」




















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学校を終え、一度家(居候しているところ)に戻り服を着替え、空座町の見回りについたたちは昨日と同じ場所にいた。ここからは夕日がよく見える。尸魂界とも変わらない夕日を見るのがは好きだった。伝令神機を開くと、まだ虚の探知はしていない。そんなときだった、誰かが駆け寄ってきた。



「またお前か。」



よりも先に日番谷が口を開いた。駆け寄ってきたのは昨日の少女、黒崎だった。全力疾走してきたのだろうか、彼女の息は乱れていた。仏頂面の日番谷とは正反対に、は嬉しそうに笑って手を振る。それにつられるように黒崎も振り替えしたが、思い出したかのように笑顔からしかめ面に変えた。



「何で練習来ないんだよ。」

「やるとは言ってねぇよ、大体そんなに暇じゃねぇ。」

「小学生のくせに、何が忙しいんだよ。」

「うるせぇよ。」

「私たち小学校じゃなくてこ…ムガッ。」



高校に通ってる、なんて言いそうになったを日番谷は慌てて押さえた。自分の見た目は不本意ながらも重々理解しているつもりだ。それなのに高校に通っていると言ったらどんなに面倒くさいことになるか…。それを予想して日番谷はを黙らせた。それに変な顔をした黒崎だが、口の端をあげ、意地悪そうに笑った。



「分かった、と二人でいたいんだろー。」

「なっ、うるせぇ!」

「デートじゃないって言ってたよね、片想いか。」

うるせぇつってんだろ!



強ち間違っていない言葉に日番谷は見た目相応の反応を見せた。つまりは、ムキになってしまった、と。黒崎はそんな反応を見せる日番谷を面白そうに見た。そんな反応を見せられては、自分はのことが好きですって言っているようなものだ。



「黙れっ、に知れたら…って。」



日番谷は何かを思い出して自分の腕の中を見た。そこで、あ、と思い出す。話の中心人物は今にも呼吸困難になりそうな状態に陥っていた。どうやら、ムキになりすぎて必死に酸素を求めている彼女に気づかなかったらしい。解放するとは必死になって酸素を補給し始めた。案外、下手な虚と対峙するよりも苦痛の時間だったのかもしれない。呼吸を整え、彼女は何かを訴えるような目で日番谷を見ている。それに気づかないわけがない日番谷は苦い表情を浮かべて拙<つたな>いが謝罪の言葉を述べた。



「お前の所為でに怒られたじゃねぇか。」

「何であたしの所為…。」



ピピピ。二人の伝令神機が音を鳴らした。それは虚の出現を知らせるものだ。彼らは同時にそれを開いた。虚が近い。顔を見合わせて二人は虚の方へと駆けようとした。だが、黒崎に近かった日番谷の腕は彼女に掴まれて止められてしまう。思わずの足も止まった。



「そっち行っちゃ駄目だ。」

「え。」

「あぁ、いや、そっちは…悪い感じがするから。」



言葉を濁したが、その意味をは分かった。彼女は日番谷に笑顔を向けると背を向けた。今度はの手を捕まえようとする黒崎の手をスルリと抜けて走った。日番谷に名前を呼ばれたが、彼女は振り返ることはしなかった。ただ。



「冬獅郎はここにいてね。」



そう一言だけ言った。そのまま適当に走った後、瞬歩で虚の元まで駆けた。大虚<メノス>と巨大虚が浮浪の霊を喰らおうとしていた。は素早く義魂丸を飲むと死神化し、攻撃をしかけている虚と攻撃されようとしている霊の間に入った。



「この人を頼むね。」

「了解ふにゃ!」



ふにゃ、と(仮の魂/特別作品の猫のミーニャ)が柔らかく笑い、サラリーマンのような男の霊をヒョイと抱えあげた。はそれを見ると斬魄刀を抜く。巨大な虚は怪しげな笑みを浮かべてしゃがれたような声をあげた。何て言ったのかはハッキリとは聞き取れなかったけれど、喰ってやる、って言ったような気がした。そして次の瞬間、物凄い速さで彼女に向かってきた。



「百花繚乱!」



は始解する間もなかったが、迷うことなく刀を振るった。無数の炎が太刀筋から放たれた。それは虚に真っ直ぐに飛んでいき爆音と共に虚の体から血が飛び散った。しゃがれた声が嘘だったかのように甲高い悲鳴が響き、巨大虚は姿を消した。大虚は腕が落とされただけでまだ立っている状態だ。はそれに顔を少ししかめながらも斬魄刀を空に掲げた。



「白き翼を広げよ…白翼竜!」



始解の句を読むと彼女の霊圧は一気に高まった。大虚であろうと、この程度であれば勝負は一瞬であった。姿を消していく虚を背に彼女は斬魄刀を鞘に戻した。



!」

「あ、冬獅郎。」

「大丈夫か?」

「うん、被害なし。」



にこっと笑って言うだが、日番谷は彼女の左手の甲に一筋の傷があることに気がつき顔をしかめた。すぐさまその手をとり、自分の服で血を拭いた。それに慌てたのがだった。日番谷の服は黒いので血が目立つことはない、だが、血というものは非常に頑固で綺麗にすることは難しい。いいよ、と彼女は言ったが、日番谷は退かなかった。手当てするものがないので、服の袖を破り、それを手の甲に巻いて結んだ。



「冬獅郎、こんなの大したことじゃな…いよ?」



突然、温もりを感じた。ふわり、というような優しくではなく、どこか緊張をもったような感じで抱きしめられる。少し驚いたようなだったが、彼の気持ちを分かったのか、手を背中にまわした。自分をいたわってくれているのが、腕から、体から温もりという優しさで伝わってくる。



「ごめんね、ありがとうね。」











強くあり優しくもある者
今日だけじゃないよ、いつも心配してくれてありがとう。












コメント

アニメ沿いではありませんが。
ミーニャは存在しません、勝手に存在させました。
猫好きな女主のためにやちるちゃんが手配しました。

兄、兄が出てません。
兄様にそろそろいじってほしいかもです。
ラブラブリクがさり気に多いので、
ちょっと試みてみようと思ったのですが。
見事に惨敗です。
もう、むしろ無理かもしれません。
(おい怒るぞ by隊長)

嘘です。
機会があれば頑張ります!