12月20日、天気は…悪くないようだ。机の上になんだか山盛りになっているのは、その、俺の誕生日プレゼントというやつだ。流魂街育ちの俺には、ちゃんとした誕生日というやつは分からねぇけど、ここで与えられた誕生日が、今日だ。なんでこんなことになっているのか分かんねぇけど、執務するはずの机の上は、もはや執務ができる状態じゃあねぇ…(誰かどうにかしてくれ)



「隊長ー、また来ましたよ、贈り物!」

「…もう、どっかその辺に置いとけ。」



呆れてぐうの音も出ない、というのはこういう状況でも使える言葉かもしれない。なにかの祭りか、俺の誕生日は…。とりあえずは松本に適当に避けてもらって、書類を置ける場所を作る。人から物をもらうって、のは、悪いもんじゃない、ありがたいと思える…けど、さすがに浮竹の贈り物は押し返そうと思った(こんなに食えるわけねぇだろ菓子を!)あーもー、イライラする。そんな俺の前に、コトン、と湯のみが置かれた。



「隊長、あまりイライラすると身長縮んじゃいますよー?」

「イライラして縮むか!つーか余計イライラさせんなぁ!」



松本の余計な一言のせいでますます血の巡りが早くなった気がする…ほんと、勘弁してくれ。俺が、ガシガシと頭をかくと、当たり前のように松本はソファに座り、茶を飲んで、ふぅ、と一息ついている(お前はいい加減に仕事をしろ!)



「誕生日にがいないからって。」

「なっ、そ、そんなことねぇ!」

「(バレバレだし)」



は今日、よりによって今日、現世に出払っている(は十番隊の三席だ)本当はじゃなくてもよかったんだが、今日に限って、うちの虚部隊が別の件で出ていたり、有給をとっていたりと人数が足りず、それを聞いた本人が自分から志願したというわけだ(本当なら俺が代わりに行きたいところだが、虚もそこまで強くないというわけだから我慢して書類に向かっている)窓から見える外の景色を見て、俺は溜息をつく。去年の今は、が目の前にいた。"ハッピーバースデー冬獅郎!"よりによって、わざとウソを教えたの双子の兄)のせいで、正面からおもいきりクラッカー(現世の物)をくらってしまったが…。それでも、がいたんだよなぁ。俺はまた溜息をついた。



「(…重症ねぇ、隊長ったら)」

























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けっきょく、俺は就業時間を過ぎても書類と向き合っていた。松本やら浮竹やらいろんな奴が飲みや食事に誘ってきたけど、そんな気分にならないから断った。が来て、嫌味なのか祝いの言葉なのか分かんねー言葉を、いつもの笑みを浮かべて言い捨てていきやがったが(そのときだけは書類から目を放していた気がする、プレゼントなるものは…意外とまともなものだった、本当に意外だ)最後の一枚の書類を終えて、窓の外を見ると、外はすっかり真っ暗になっていて、周りから人気もなくなっていた(そりゃあそうか、あと一時間もすりゃ日付すら変わっちまう)



「…なにやってんだ、俺。」



せっかく松本たちが誘ってくれたんだから、食事くらいいけばよかったか…。がいないからってヤケになったように書類に打ち込んで、イライラして、なにやってんだ俺(これじゃガキと言われても仕方ないじゃねーか)頭をガシガシとかいた。その衝撃で、墨の入っていたビンが倒れた…本当、なにやってんだ俺。



「…はぁ。」



寒いとは思うが、窓を開けて外の空気を吸った。暗い空にポツンと明るい月が出ていて、なんだか寂しそうに思えた。はく息が、当たり前だが白い。帰るときには、ちゃんとマフラーをまいて帰った方がいいだろう、風邪ひいてたら仕事になんねぇ(これから忙しくなるっていう時期だ)思い出したようにこぼれた墨を拭き取って、俺は帰る支度をする。しまった、今日なにも食ってねぇ、そういえば。再度溜息をつこうとしていたときだった。

―――バタン!



「冬獅郎!」



聞こえてきた声を、俺は疑った。幻聴かと思った。でも、俺はそれにすらすがるように顔をゆっくりとあげる。視界には、息をきらせているようだが笑っている、がいた。



「よかったぁ…ギリギリセーフ!」



現世に出ていて今日は帰ってこれないと思っていた、そんなが俺の目の前にいる。急いで来たんだろうか、珍しいことに汗をかいて、息をきらせている、髪だって、少し乱れてる。でも、は俺が好きな柔らかい笑みを浮かべて、俺の名前をもう一度呼んだ(寒さが、なんだか吹っ飛んだ気がした)扉をあけるのに承諾を得なかったことに謝っているようだが、別にそんなこと気にしてなんかいない(なんかいつも挨拶なしノックなしだ)



、ケガは…任務は…。」

「ケガしてないし、任務は終わらせてから来たよ。」

「早く…ないか?」

「うん、急いだの、だって。」



はにっこりと笑って、なにかの袋を俺に見せた。その袋は、赤いリボンと青いリボンで飾ってある、綺麗な袋だった。はそれをゆっくりと、丁寧にあけると、中から何かを取り出した。そして、その何かを俺に…。



「今日は冬獅郎の誕生日だから。」

「…。」

「お誕生日おめでとう、冬獅郎!」



そっと俺の手につけられたものは、柔らかくて温かい、手袋だった。白い手袋に、赤い糸で小さな模様がつけられている。俺がぼぅっとその手袋を見ていると、は小さく笑った(声が聞こえた)どうやら、これはからの誕生日プレゼントのようだ。そして、手袋越しに俺の手を触る。



「いつもお仕事ご苦労様、いつもありがとう、あと…一緒にいてくれてありがとう、いてくれてありがとう。」

「…。」



ありがとう、なんて、俺が言いたい。いつも真面目に仕事してくれてありがとう。いつも俺を気遣ってくれてありがとう。いつも一緒にいてくれてありがとう。いつも笑いかけてくれてありがとう…言い出せばキリがない。言葉には上手くできない。それでも、俺は言葉にはできないたくさんの想いを、確かに抱いている。俺が今まで感じとることのできなかった気持ちを、が教えてくれた。俺の方こそ、ありがとうを言わないといけない。でも、その言葉よりも、が好きだという気持ちの方が勝ってしまう(どこまで自分勝手なんだろう、俺は)来年も、再来年も、十年後もそれ以降も、ずっとにこうやって祝ってほしい。俺はの手を、手袋をしたまま握る。



、俺はずっと…「さぁ、宴会しましょうか!」



俺の言葉を遮る声と、同時に、バッターン、と大きな音がして扉が壊れてしまいそうなくらい(いや、今回ばかりは壊れたかもしれない)の勢いで開いた。の手を握ったまま、俺は固まった。額からなんだかよく分からないけど、汗が伝う。そうだ、普段の俺なら予想できたパターンじゃないか。いちにのさん、の"さん"のところで必ずオチがあるんだ。といい雰囲気になって(俺だけだろうけど)そのままのムードでいけたことがあったか、否、ないッ!



ッ、扉を壊すなぁ!」

「心外ですね日番谷隊長、僕は扉を壊したことなんて今まで一度たりともありませんよ、物忘れ始まりました?」

「物忘れじゃねー!現に扉の金具が取れてるだろ!」

「…あぁ、あれは最初から外れてましたよ。」

「平然とウソをつくなぁー!」



満面の笑みで、俺を破壊するんじゃないかと思うくらいの天敵、と、その背後からヒョッコリ顔をのぞかせてニィと笑う松本。このコンビはタチが悪い、悪すぎる!で天然なもんだから、ぜんぜん分かってない上に、すぐにまるめこまれるし!せっかくと二人きりの残り一時間の誕生日を味わえると思っていたのに、俺は心の中で涙を流しながらも、こいつらに引きずられるようにして宴会会場へと連れて行かれるんだろう…。



「冬獅郎、いい誕生日になった?」

「(…最後の最後の最後にぶち壊しだよ)」











やっぱり、思うが侭にならない誕生日
(冬獅郎、来年もみんなでお祝いしようね)((来年もみんなかよ))












コメント

設定がマニアックなのでオススメはできませんが、、
去年はフリーできなかったので、
フリー配布にします、隊長生誕夢。
よろしければお持ち帰り下さい。
(億がいちでも欲しい方がいらっしゃいましたら)
相変わらず、可愛がられている隊長ですが…。
お兄様は強しです、さすがです。
でもでも、お祝いしているつもりです、一応。
ハッピーバースデー、隊長!