
、小学校一年生まで一緒にいた幼馴染。あの頃は元気で明るくて"シロちゃん雪ちゃん"と煩いくらいに呼んでいた。それから九年後に再会した彼女は、、になっていて、性格はあの頃とは比べ物にならないくらいおとなしくなってしまっていた。が、思い出した俺はそれでも懐かしく思えてしまう。つぅか、俺、何でこんなに気にしてるんだ? 「…もっと食え。」 「…食べれない。」 「食べれないじゃない、根性で食え。」 根性で食えってどういうこった。そうは自分でも思うが、こいつはあまりにも食が細すぎる。これで向こうじゃサッカーをしていたなんて信じ難い事実を聞いたときは流石の俺も驚嘆した。雪獅郎も驚いてた。夏休み最後の一日の朝。朝食で言い合っている(俺が一方的にか)俺ら。(結局名前呼びに従わざるをえなかったが、呼ぶことに意外に抵抗はなかった)は口を少しつむんで首をふるふると横に振った。こいつの朝食は本当に小さなクロワッサンひとつだけ。俺はもうひとつクロワッサンを皿にのせてやったが、どうやっても食おうとしねぇ。 「嫌ー冬獅郎怖ーい。」 「うっせぇ、何気にに抱きつくな。」 雪獅郎がくだらねぇ女の物真似(だからやめろっつーの同じ顔で)をしながらに抱きついている。黙って成されるがままにされているこいつもこいつだと思うが(つぅか慣れたとか言うなよ?)俺は馬鹿をベリッと引っぺがした。これを間違っても学校でやるなよ、見ようによっては俺がやってると思われる可能性だって無きにしも非<あら>ず、だ。俺は雪獅郎を座らせると俺は再びを見た。雪獅郎も頬杖をついてを見た。 「まぁ、もう少し太った方がもっと可愛いけど?」 「…か、可愛くなくていいもん。」 「つーか…もうそのままでも十分可愛いんだけどなー!」 「だから抱きつくなつってんだろ!」 が家に来て三日目。初日の雷事件もあってかこいつは大分俺たちと話ができるようになった。もともと、母親はそれを狙ってを引き取ったらしい。遠い親戚に預けられていた間、は誰とも話そうともせず、一人で部屋に閉じこもっていたらしい。離婚の所為かもともと人見知り的な要素はあったが、まだ感情表現を見せる少しおとなしめ、という程度だったらしいを、このままでは本当に対人関係が築けなくなると、話を聞いて心配した俺の母親が引き取ったようだ。ちなみに扶養費は向こうの母親が送ってくるらしい。金なんて、何の代わりにもなんてなんねぇだろ。 「雪ちゃん、くるし…恥ずかし…。」 「こんなことくらいで顔を染めるなんて…よっしゃ来い、俺が一から十まで隅から隅まで教えてやろう!」 「何を教えんだよ、何を。」 油断も隙もねぇ。つぅか、やっぱりこの同居生活、はやまったんじゃねぇか、かぁさん。俺はともかく、雪獅郎は狼だ、女なら見境のないと言っても言い過ぎにはならないくらいの狼だ。とはいうものの、彼女は作ったことがないらしい(もしかしたら不特定多数というやつかもしれねぇ、いや、十中八九そうなのだろう)仕方ねぇ、俺が守るしかないか…俺が…守る…?って、仕方ないだろ、俺が守らなきゃ雪獅郎の魔の手にかかるかもしれねぇからな、そうだ、仕方がないんだ!俺はなぜか追い込まれるような気持ちになって無理矢理自分を納得させた。そして勢いよく飽きずにの手を握ろうとしている馬鹿の手をはたいてやった。いい音がした。 「冬獅郎、さてはヤキモチを!」 「寝言は寝て言え、むしろ寝てしまえ永久に。」 「…ひっで!」 ----- その日の午後。冬獅郎はサッカー部、雪獅郎はバスケット部の練習に行ってしまった。日番谷家の父も母も仕事に出ている。つまりは、今、は家に一人の状態だった。やることもなく、とりあえずは昼食の皿の洗い残しを洗って拭いて棚に戻した(背伸びしてようやく届くところにあった皿にはとっても苦労したようだ)その間、昼食時もやっぱり冬獅郎に"もっと食え"と言われていたことを思い出した。それからテレビをつけてみた。だが、いいテレビがない。一人になって二時間弱、彼女は今の自分の状況がとっても、暇、だということに気がついた。 「…。」 寝ようか、とも思った。が、明日から学校で昼寝のくせをつけておくのもどんなものかと思い、それはやめた。どうしよう、とは部屋を見渡した。そして、テーブルの上に明日から通う学校の地図があることに気がついた。恐らく冬獅郎たちと一緒に登校するとは思うが、一応何かがあったときのために地図を描いてもらったのだった。彼女はそれを手に取った。暫くそれを見ていたが、彼女は立ち上がると玄関に向かった。どうやら、通学路の確認に出るらしい。彼女はもらった合鍵で家の扉をちゃんと閉めると地図を見ながら歩き始めた。 「(新しい学校…)」 不安がないわけではなかった。むしろ、期待よりも不安の方が強い。それでも、冬獅郎や雪獅郎が通う学校だからこそ、彼女は行きたくない、とは思わなかったのである。 |