「     」

誰が何て言ってくれたのか憶えていない。
ただその声を聞くだけで馬鹿みたいに泣きたくなる。
誰だ、誰だ、誰だ。
たまに俺は自分でも分からないものを求める。
ふと窓の外を見てみたり。
ふと屋根の上に上がってみたり。
ふと廊下を走っている誰かに目を向けてみたり。
俺が誰を求めているのか。
俺が何を求めているのか。
なんて、きっと誰も分からない。
自分でも分からない事を他人が分かるはずがない。






- BIRTHDAY MEMORY -




「誕生日?あー、ありがと。」

「乱菊さんは9月でしょ!日番谷君のですよ!」

「隊長の?」

「そうですよ!もしかして何も用意してないんですか?」



12月20日
その日は日番谷の誕生日であった。
松本は雛森の言葉に何やら考える。
"おめでとう これでひとつ大人になったな"
何かを思い出して彼女は顔を俯けた。
そんな彼女の表情を分かったのか、雛森も黙る。
去年ならばこんなに静かなのが嘘のように騒がしいはず。
松本は思わず"隊長"の机を見た。
去年の今頃にあったはずの業務とは関係のない置物やお菓子の箱などは影も形もない。
それが普通であるはずなのに。



「乱菊さん…。」

「よし、いっちょ乱菊さんが人肌脱ぎますか。」



松本は顔を勢いよく上げると、自分の机の上に置いていたメモ用紙をとり筆で何か書き始めた。











「あん?何だこりゃ?」



用事を済ませた日番谷は執務室に戻ってきた。
自分の机の上に置いてあるメモ用紙に気がつくのに、そんなに時間はかからなかった。

今晩九時に
隊舎西修練場の
屋根の上に
来て下さい

ご丁寧にハートマークとキスマークまである。
と、いうか、彼が気になるのはそんなところではない。
彼は山積みの書類がある机を見た。



「つーか…仕事もしねぇで何処行きやがったんだ。」



日番谷のには立派な青筋が浮かんでいた。
自分にさせるつもりかよ、なんて。



















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「あ!来た来た隊長!」

「何だ、雛森と藍染もいるのか?」

指定場所に行くと、呼び出した松本だけではなく、五番隊の藍染と雛森も彼女と一緒に屋根の上に座っていた。
白い息を吐きながら彼らは屋根から空を見ている。



「こんなとこに呼び出して何の用だ。」



突然の呼び出しに、分からないながらも向かう日番谷は実は律儀なのではないだろうか。
そんな彼に松本は茶化すように声をあげた。



「やだなぁ、誕生日でしょ隊長。」



思わず日番谷は数回瞬きをした。
今の今までそんな事忘れていたのだろう。
ヒュルルルル
と何かが空に上がっていった。

ド ォ ン



「乙なもんでしょ冬の花火ってのも。」

「おめでとう日番谷くん。」



藍染の言葉に日番谷は前を向いた。
流魂街出身である者にとっては誕生日は定かではない。
生前の記憶などないに等しい為、列記としたものはない。
貴族のように瀞霊廷で生まれた者は別ではあるが。
彼は空を見上げた。



「皆同じさ、自分の生まれた日がいつかなんて憶えてる人は誰もいない、ただ自分の信頼する人が告げた日をそのまま信じるしかないんだ。」



藍染の言葉に、各々思う事があった。
松本も少しだけ顔を俯けたような気がした。
花火が上がる空を日番谷は見上げる。
明々と暗闇を一瞬照らしては暗闇に紛れていく。
"いいじゃないか 今存在してるんだから"
またも脳裏を過ぎる声。
それに思わず日番谷は唇を噛み、顔を少し俯けた。
誰の声かは分からない。
思い出そうとすると思考が暗闇に染められていく。
そんな彼の肩を藍染は優しくたたいた。



「本当かどうかは問題じゃない、自分の誕生日を知っている事自体が既に幸せなんじゃないかと思うんだよ。」



"何でだ 関係ないじゃないか"
"祝えるんだ それだけで嬉しいじゃないか"
日番谷は静かに目を瞑った。
肌寒い風から冬を。
細い音から花火がのぼっていくのを感じた。
"おめでとう"
誰かが。
自分に笑いかけているような気がした。

俺達は花火のようだ。
昇り輝き、そして必ず散り散りになって離れてゆく。
ならばせめてそのときがきても、
俺達は花火のように消える事なく、
輝いていよう




「有難う藍染、有難う雛森…有難う…松本。」



そして、
"おめでとう"
有難う、見えぬ人よ。



























その胸の奥底に眠る

それは

BIRTHDAY MEMORY




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名前無変換小説です。
すみません。
でも、流れ的に出ない方がいいかなぁと。
自己満足の為(笑)

主:死神時代で名目上亡くなってから。
記憶が消えた隊長の密かなる思い?
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