ナニガタメウマレ

ナニガタメイキル

タガタメタタカイ

タガタメシヌ




- vol.0 プロローグ -

















尸魂界<ソウルソサエティ>
いわゆる"あの世"
つまり、そこに存在するは霊魂である。
そこには死神という魂を司る者が存在する。

そして、

此処は、十番隊舎。



「あら、隊長、任務ですか?」

「あぁ、現世へな。」



隊長と呼ばれたのは、呼んだ女性より幼げな少年。
彼はいかにも面倒だ、というような顔をした。
それでも任務は任務。
彼は十番隊の隊長であるが、その上の人物もいる。
総隊長からの命は絶対なのである。



「珍しいですね、余程の事ですか?」

「いや、大した事件じゃなさそうなんだけどな。」



そう言いながら彼は頭をかいた。
それでも、行くしかない。
現世への扉はゆっくりと開かれた。




















-----



「何で俺が現世見回りなんだ、一種の嫌がらせか。」



彼はブツブツ言いながらも現世を見ている。
霊体の姿ゆえに彼の姿は誰にも見えていない。
そうそうに死神の姿を見える人物などいないのだ。
彼はそれを知っているので死覇装<しはくしょう>のまま平然と人が行き交う道を歩いている。



「現世にて不可解な霊圧を一瞬だけ感じ取った、
そこでだ、
お主に現世へ赴き様子を伺ってほしいのじゃ。」



何で俺が。
と、思ったが総隊長である山本元柳斎の命。
正当な理由なしに断れるはずもない。
思い出して彼は眉間に一層深い皺<しわ>を寄せた。
そんなときだった。
妙な違和感と同時に、圧迫感を感じた。



「…なっ!?」



この息苦しさは何だ。
彼は思わず拳を握った。
若くしても彼は護廷十三隊の隊長である。
その辺の死神なぞ束になってかかっても敵わない。
その彼が現世に存在する者の霊圧に息苦しさを感じる。
これは、どういう事だ。



「そう、遠くはないっ!」



彼は物凄い勢いで霊圧を発する場所へと向かう。
屋根と屋根を飛び越え、小さな森を抜ける。
だんだんと近くになる。
それにつれ、体が少しずつ重たく感じる。
まるで軋<きし>むかのように。



「な、にっ!」



そこには巨大な化け物がいた。
それを虚<ほろう>という。
それは現世にも現れる。
その為、死神が現世へ赴くことも多い。
舌打ちをする彼の視界に入ってきたもの。



「なっ、子ども!?」



巨大な虚と対峙しているのは、小さな少女。
背中には赤いランドセルを背負っている。
少女は虚を見、虚は女の子を見ている。
それは、間違いない。
つまり、少女には虚を見るだけの霊力があるという事。



「もしかして…この霊圧、あのガキのか!?」



ガキといっても、見た目は彼とあまり変わらない。
最も、死神である彼は年齢と見た目が全然違う。
彼女と比べ物にならない程生きている。



「だが…コントロールが出来てねぇ!」



それは当たり前といえば当たり前だ。
一般の死神でもこんな霊圧コントロール不可能だ。
ましてや、彼女は人間の子ども。
よく霊圧に潰されないと、彼は思った。



「大虚<メノス グランデ>!コイツの霊力を喰らいに!?」

「…君は、だぁれ?」



ゆっくりと少女は少年の方を向いた。
真正面から彼女の顔を見たとき。
何か、を感じた。
シンパシーに近かったのかもしれない。
少女も、瞳を密かに揺らした。
が、少年はハッとした。



「っ、馬鹿!そんな事言ってるばぁ…!」

〔オオォォォォォォオォォオオオォォ〕

「泣いてる。」

「おい。」

「あの子、辛い、苦しい。」

「おい!」



少年は少女の腕を引いた。



「あれは虚だ、人間の手に負えない!」

「でも、あの子はわたしに会いにきました。」

「それはお前の霊力を…ぅあぁぁ!



少女の事を気にしていた少年は虚の腕に弾かれる。
木に衝突したことで背を少し打ったようだが、彼はすぐさま立ち上がった。
それを見た少女は虚へと近づいた。
慌てて少年は彼女に止まるよう叫んだ。
しかし、立ち止まらない。
虚は少女を大きな手で掴んだ。
しかし、少女は悲鳴すらあげない。



「わたしを食べるの?わたしは…毒ですよ。」



少女は目を瞑り、すぅっと息を吸い込んだ。
そして、次の瞬間。
歌声が聞こえてきた。
歌というよりも音の繋がりに近い。
歌詞というものがない、不思議な歌。
虚は悲鳴をあげた。



霜天<そうてん>に坐<ざ>せ、氷輪丸!



虚が怯んでいる隙に、少年は刀を振り下ろした。
水で出来た竜が現れ虚は音をたてて凍っていく。
少女が捕われている手が凍る前に彼女を救出し腕に抱くと、彼は地面へと足をつけた。
虚は、粉々に砕け、姿は完全になくなった。



「ありがとぉございます。」

「いや、お前のお陰で楽に倒せた。」



礼儀正しくお辞儀をする少女。
少年は刀をしまった。



「霊圧…おさまってる。」

「れいあつ?」

「さっきまで…って、人間にゃ説明難しいよな。」

「君は人間じゃあないんですね。」

「あぁ、死神…ってやつ。」



いつの間にか、月が空に昇っていた。
月の光が少女の姿をハッキリと見せる。
今日は満月である。
少女はにっこりと笑った。



「はじめまして死神さん、です。」

「俺は…冬獅郎、日番谷冬獅郎だ。」



名前を聞き、はまた笑った。
そして、もう一度お辞儀をした。



「それでは、さよぉなら死神さん。」

「え。」

はお家に帰ります。」



ひき止めようとする日番谷を他所に、彼女は何も気にしていないように背を向けて歩き始めた。
彼にだって、何故ひき止めたいのか分からない。
伸ばした手は彼女に触れる事は出来ず、気づけば。
の姿はもう見えなかった。
何とも珍しい出会い。
そして。
何とも淡白なお別れ。



「…何なんだ。」



伸ばした手は引っ込みがつかず。
ただ、少し冷たくなった風が吹いた。
空が完全な暗闇色になる頃。
ようやく手を戻した日番谷は、左手の親指の爪を噛んだ。
それに気づいて苦笑する。



「癖…治ったと思ったんだけどな。」



























まだ幼げな少女と少年が、

再び出会うのは、

もう少し先。






[ ちょっと昔な始まりの始まり ]



------------------------------------------------
あまぁり、夢要素ないけどな始まり。
隊長愛で、一応頑張ります。
------------------------------------------------