- vol.15 揺り篭の上の気持ち -

















"迎えに来た"



私は誰かに依存して生きている。
弱く、脆<もろ>く。
誰かを頼って生きている。
出来る事はただ、笑う事だけ。
心配しないで。
大丈夫だよ。
それでも。
分かる人には分かってしまう。



「早く成仏した方がいいよ。」



私は1人の男の子に話しかけた。
自分も十分幼いが、その子はもっと幼い。
胸から鎖が出ている彼は、既に生きてはいない。
俗に言う、幽霊。
幽霊が見える人間。
私には霊感というものがあった。



「うん、有難うお姉ちゃん。」



そんな人間は多くはない。
が、私はそんな数少ない人間の内の1人。
私は透き通って消えていく男の子に手を振った。
完全に姿が見えなくなってから、手を下ろした。
霊が見えるのは、物心つく頃からだった。
最初は生きてても死んでても見分けはつき難かった。
その所為で色々と言われる時期もあった。



「ただいま、おじいちゃん。」

「おかえり、。遅かったのぅ。」



そのときは、おじいちゃんだけが味方だった。
おじいちゃんは私が霊を見れる事を知ってても、
私を異常者として見なかった。
いつでもの味方だよ、と優しく言ってくれた。
私の周りに霊が見える人なんていなかった。
だから、必死で隠し始めた。
もう嫌な事言われるのも嫌だし。
おじいちゃんの引越しで明日から新しい学校に行くし。
隠し通さなくちゃいけない。
だけど。
その学校で私は、彼に出会った。



「黒崎くんも幽霊見えるんですか?」

「…お前も、見えるのか?」



何度目かの登校している時。
人気のない空き地から何やら話し声が聞こえた。
そこにいるのは1人の男の子と、1人の霊だった。
彼の名前は、確か黒崎だったはずだ。
オレンジ色の髪が目立ってた。
…人の事は言えないけれど。



「一護ちゃん、おはよう!」

「だぁぁぁ一護ちゃん言うな!」



不良と名高い彼は、別に怖い人ではなくて。
一見ぶっきらぼうで無愛想に見える態度でも。
よくよく見ると優しくて義理堅い人。
一人っ子の私はすぐに一護ちゃんに懐いてしまった。





















-----



「…一護…ちゃん…。」



はゆっくりと目を開けた。
何か白い物が視界に入った。
微かに頭の下が温かいような気がする。
彼女は未だ夢心地が覚めていないようで、少しの間何も言わず、ボーっとしていた。
が。



「俺は"いちごちゃん"なんかじゃねぇぞ。」



少し不機嫌そうな声にハッとした。
この声、そして、この体制は…。
慌てて体を起こす。
と、同時にゴンッといういい音がした。
が机の角で頭を打ったからだ。



「馬鹿ッ!」

「…だ、大丈夫です。」



打った箇所を押さえて、は涙を堪えた。
角で打ったのだ、痛くないはずがない。



「仕事の…邪魔してごめんなさい。」

「別に、俺が勝手にしていただけだ。」



隊首会の解散の後。
意識を失ったを日番谷は十番隊舎に運んだ。
が、横にさせる為の場所がない。
仮眠室があるにはある。
しかし、そこでは自分は本当に何も出来ない。
配置につけない以上、書類仕事だけでも済ませたい。
監視の強化を言い渡されている為、仮眠室に寝かせて自分は別室で書類、なんてのは出来なかったのだ。
いつも使用している隊長専用の机ではなく、比較的高さの低い机を使用し、自分の膝を枕に彼女を寝かせた。
彼女の視界に入った白い物は、彼の羽織。



「…。」

「…。」



それから両者とも言葉が出なかった。
日番谷が書類に没頭しているわけでもない。
彼の筆を持っている手は止まっている。
だが、2人は会話も視線も交わせる事が出来ない。
何とも言いようのない空気が流れる。
日番谷は唇を軽く噛むと、筆を机に置いた。
筆を置いただけの小さな音がやけに部屋に響いた。
思わずは彼の方を見てしまった。



「…冬獅郎、ちゃん?」



彼の瞳は彼女だけを映している。
真っ直ぐに見つめられる。
決して静かとはいえない外野。
今も旅禍である黒崎達を探している。
しかし、何故か彼らには別の音など聞こえない。
まるでこの世界に2人しかいないかのように。



「…。」

「…ッ。」



しゃがみ込んだままのは思わずそのまま後退った。
彼の深い碧色の瞳が、少し怖く感じた。
自分と変わらないのに、何故か。
日番谷も体勢を低くしたまま、彼女を追う。
とうとうは壁に背をぶつけた。

ダ ン ッ



…俺は。」

「とうし…ろ…。」



冬獅郎ちゃん。
そう呼ぼうとした彼女は最後まで言えなかった。
全身に微かな温もりを感じた。
自分が彼に強く抱きしめられていると分かるまで、そう時間はかからなかった。
どうして抱きしめられたのかは分からない。
それでも、彼の、自分の背中に回す両手が少し震えているような気がして、彼女は自分の手を強く握った。



「私…「悪い!」



またも言葉を遮られる。
一瞬にして彼の腕は彼女の体から離れた。
解放されたは彼の顔を見た。
そしてまた自分の手を強く握った。



「俺は仕事をする…すまない。」



その"すまない"には何が含まれているのか。
彼はそれ以上何も言おうとはせず。
まるで他の事を考えまいとするように、筆を強く握り、書類だけに目を向けた。



「(謝るのは、私の方だ…)」



日番谷冬獅郎は護廷十三隊、十番隊、隊長。
尸魂界、瀞霊廷に存在する人物。
沢山の部下を持ち、それに加えて重い責任を持つ。
それが、自分の存在により過重な負担をかけている。
自分の存在が彼を揺らがしている。
困らせている。
彼女はゆっくりと握っていた手を開いた。
爪跡が内出血したように赤く染まっている。



「(私はやっぱり誰かに依存している)」



























それぞれの想い、

決して交わらぬ。






[ 揺ら揺ら揺れる ]



------------------------------------------------
言葉考えるのがかなり難しい。
おかげでサブタイトルも最後のも変。
意味なし。
ちなみに展開も相変わらず分からない。
やっぱりこのヒロイン設定は間違えか。
しまった!と、思ったこと。
執務室にはソファがありました!
------------------------------------------------