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それは、 昔、 むかし、 そんなお話。 「は…今、なんと…。」 羽織をまとう者達の集まり。 その中心には総隊長である山本と。 もう1人、まだ幼さの残る少女が立っている。 隊長の集まり、死神の中でも霊圧の高さは特別だ。 そんな彼らの中心で、彼女は平然としていた。 「じゃから、こやつがわしの孫じゃと。」 「ま、ま、孫ぉぉぉ!?」 彼らは盛大に声をあげた。 中には表情を崩さない者もいるようだが。 山本の隣りにいる少女に向けられる視線。 それは一層強いものになった。 それでも少女は変わらず、真っ直ぐに前を見ていた。 ペコリとお辞儀をする。 「初めまして、山本です。」 「いづれは隊長格に育て上げる気だ。」 「何卒よろしくお願い…出来るかジジィィ!」 大人しいと思われた少女の態度が一変した。 その姿には誰もが唖然としたようだ。 だが、そんな周囲を気にする様子もなく。 は自分の祖父を睨み上げていた。 いくら自分の祖父といえど、彼は護廷十三隊をまとめる総隊長であり、一番隊の隊長である。 「こら!最後まで装えとあれ程言ったじゃろうが!」 「煩い、誰が隊長格だ隊長格!」 「う、煩いじゃと!この馬鹿孫っ!」 「煩いガミガミ爺!アタシは隊長格になる気はない!」 「何じゃとぉーお前のその能力を無駄遣いする気か!」 目の前で繰り広げられる祖父と孫の喧嘩。 いつもの威厳のある総隊長と同一人物には見えない。 そして、その彼と対等にものを言う少女、。 確かに。 彼女のその霊圧の高さを誰もが感じ取れた。 山本元柳斎の孫であるだけで注目を浴びる。 が、彼女はそれだけではなかった。 「キョウカラ、ヨロシクオネガイシマス。」 あの紹介の日から1年経ったある日。 彼女は再び彼らの前に現れた。 彼女は真央霊術院を異例も異例1年で卒業した。 と、いうか強制的にさせられた。 素性については重要な部分は適当に隠していた。 それでも、彼女の才能には教師陣もお手上げ状態。 長い間学院に通う時間は無駄だ、と早々と護廷十三隊に送られてしまったのである(その為少々不機嫌) 「あ、あぁ…君は総隊長の…。」 「山本デス。」 「なんだか、ご機嫌斜めのようだね。」 「ソンナコトハゴザイマセン。」 の目の前にいる、羽織をまとった人物。 彼は彼女の言葉に苦笑気味で眼鏡を指で上げた。 「僕は五番隊隊長、藍染惣右介…よろしく。」 「とりあえず、五番隊第三席。」 異例の侵入隊員。 入隊早々、席官など聞いた事がない。 しかも三席とは副官補佐も兼ねる。 噂は噂を呼んだ。 いつの間にか総隊長の孫だという事は広まっていた。 それ故に彼女は人々から偏見の目で見られる。 周囲は彼女を諂<へつら>い、媚<こび>を売る。 そうかと思えばやっかみ、陰口を言う者もいた。 「何でも養子らしいぞ、あの女。」 「それでよくあんな態度が振舞えるものだな。」 「自分は養子でも貴族ってか、ご立派なもんだな。」 人間は自分よりも秀でた者を妬み易いものである。 彼女はそれらの恰好の餌食だった。 嫉妬、畏怖、敵意…。 黒くて禍々しい感情が彼女に注がれる。 だが。 「馬鹿馬鹿しい。」 普通の女ならば泣くか、怒るか。 そんな事もあるのかもしれないが、彼女は別だった。 呆れたような顔で感情をぶつけてくる輩共なんぞ、彼女の視界の隅にも入らなかったようだ。 その彼女の気丈さには上司である藍染も思わず笑った。 「ちゃーん!」 「鬱陶<うっとう>しいスよ、市丸副隊長。」 五番隊副隊長、市丸ギン。 毎度毎度の事ながら飛びついてくるような彼を、は軽くあしらい、それだけではなく、自分の机にある書類を3分の1程手にとって彼に渡した。 仕事しろ、というような表情で。 「つれんなー相変わらず。」 「アタシを釣る気なら餌に工夫してクダサイ。」 「でもそんなちゃんが好きやー。」 「(無視)」 隊長:藍染惣右介 副隊長:市丸ギン 第三席:山本 五番隊は鬼道系主体の隊ではあるが。 戦闘能力の高さは十一番隊に負けず劣らずであった。 ----- 「その後、わずか数年で君は隊長に就任した。」 「…本当ですか?」 過去を思い出す。 藍染は静かに顔を俯けて笑った。 「日番谷くんが数百年に1人の天才とされるなら、君は千年に1人の天才と言われても過言ではない。」 「千年に…ひとり…。」 の呟きにも近い言葉に、彼は頷いた。 彼女の実力は一番初めの上司、彼がよく知っている。 藍染は話を続ける。 |