- vol.26 騒ぎの最中 -

















死神達はあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
旅禍騒動により尸魂界…というよりも。
瀞霊廷は酷く賑わっていた。
その旅禍騒動に紛れ込むかのように。
とある人物が動いている事を、まだ誰も知らない。



「ん。」

「起きたか、。」



目を覚ましたは、未だハッキリしない意識ではあるが周囲をゆっくりと見渡した。
自分はソファに座っていたはずだ。
それなのにソファは白い布団に変わっている。
そして、横には何やら読んでいる日番谷の姿がある。
は自分がソファで眠ってしまい、日番谷が仮眠室である此処に運んでくれたのだと分かった。



「ごめんなさい。」

「別に構わねぇ、あんな本読めば疲れるさ。」

「…ん、有難う。」



控えめな微笑みに日番谷の心が跳ねた。
自覚してしまえば体も心も簡単に反応してしまう。
思わず伸びそうになった手を必死で抑えた。
代わりにその手で自分の頬をかいた。
そんなときだった。
日番谷は勢いよく振り向いた。
とてつもない霊圧を感じる。



「(更木と旅禍の戦闘は終わったはずだろ…これは)」



よくよく霊圧を探る。
発せられる場所はとても遠い。
しかし、仮にも隊長である彼に霊圧を探る事は容易い。
そしてその霊圧が同護廷十三隊の者だと分かった。
六番隊隊長、朽木白哉。
対峙している者の霊圧も凄まじい。



「(これが…例の"いちごちゃん"ってか)」

「冬獅郎ちゃん…何か。」



の声に彼は再び前を向いた。
彼女は胸の前で手を強く握っている。
今彼女は霊圧がほとんどない状態なのだ。
きっと遠い場所とはいえ、霊圧に当てられたのだろう。
そう思った日番谷はそっとの肩に触れる。
だが…。



「沢山の人の霊圧を感じる…。」



今彼女は霊圧がほとんどない状態、なはずだ。
彼は目を見開いた。
強い霊圧を感じるのなら分かる。
しかし、沢山の人の霊圧を感じるとはどういう事だ。
それを聞こうとした日番谷だったが、聞くよりも早く、突然は立ち上がった。
窓から外を見る。
そして、静かに目を瞑り、神経を集中させた。



「織姫ちゃんと石田君。近くに…いる。」

「あ、おいっ!」

「ちゃんと戻ります!」



それは突然の出来事だった。
窓が独りでに開いたかと思うとは外へ飛び出した。
逃げるとかそういうのではないのは分かる。
彼女は戻ります、と言っている。
誰かの名前を呟いていた。
誰の名前かは知らないが、旅禍の誰かのだろうということは日番谷にも予想出来た。
彼は慌てて追うように窓から外へと出る。
戻るとか戻らないとかじゃなく、ただ心配だった。
地面に着地したとき、誰かの影が目に入った。



「あれ、どうしたの?」




















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「それにしてもなかなか上手くいってるね!」



いくつかに離れた所謂<いわゆる>"旅禍"達。
その中の井上と石田チーム。
彼らは黒崎や茶渡とは離れ離れになっている。
そして、今、何かが違う。
それは格好であろう。
死神達が着ている死覇装を彼らは着ているのだ。



「さっきの人達から朽木さんのいる懺罪宮ってとこの情報は聞き出せたし…ちゃんは分からないけど。」



最後の方の言葉が沈んでいた。
だが、生きている事は確かである。
彼らは実は知っていた。
が""であり"山本"である事も。
彼女の居場所は隊長格、上位席官くらいしか知らない。
平隊員に聞けど知りはしないと言われた。
(先程死覇装を頂いた死神に)
平隊員に扮装している彼らがむやみにの居場所を聞けば、言うまでも怪しまれるであろう。



「黒崎がきっと見つけてるよ。」

「うん、そうだね…2人仲良しさんだし。」

「井上さん。」

「さてと!そろそろ行こう!」



目指すは懺罪宮。
彼らは足を速めた。
そんなとき。



「オメーら何番隊だ、こんな所で何してる!?」



突然の声に彼らは内心焦りながらも立ち止まる。
彼の声に、十一番隊、と予<あらかじ>め考えていた隊を答えたのだが、それは逆効果となってしまった。
何故なら、問いかけた人物が十一番隊であった事と、もうひとつ、十一番隊は戦闘専門の隊である。
そんな隊の隊員が斬魄刀を持ち歩かないのは可笑しい。
男は井上の死覇装を乱暴に引っ張った。
悪い事に中には十二番隊の隊章が縫いこまれていた。



「何者だオメーら?」



潜り込んだものの、彼らは各隊の特色を知らない。
ましてや死覇装に隊章が縫いこまれている事も。
石田は手を動かした。
だが。

ダンッ

男の頭に星が飛んだ。
井上も石田も目を丸くする。
男を殴ったのは死神で、何人かが立っている。
彼らは優しく井上達に笑いかけた。



「よりによって仲間を疑うなんて酷い奴だ。」

「あ…有難う御座います。」

「なに同じ十二番隊同士助け合うのは当たり前だろ。」

「こいつら何かっつーと俺らにカラんできやがって。」



そんな親切な死神達に井上は安心したようだ。
だが、石田には嫌な予感がしてならなかった。
彼は冷静に考える。
酔っていたといえど男の言い分は正しい。
十二番隊の服を着て十一番隊を名乗った事も可笑しい。
それなのに何故彼らは自分達を怪しまない。
そして、答えは出た。
答えは…。



「井上さん!離れ…ドォン



大きな爆発音。
それと同時に舞う血飛沫。
井上も石田も、死神達も目を見開いた。
一体何が起こったのだ。
助かった死神は井上達に背を向けて走り出した。
とある人物を目指して。
彼らはその人物を"涅隊長"と呼んだ。
だが、無情にも非情にも、涅はあるボタンを押す。
それと同時にまたも大きな爆音がした。
暫くして、たちこもった煙が晴れていく。



「…ありがと…石田君が叫んでくれなかったら…。」

「井上さんがいざという時の為に言霊を削っても技を出せるように練習してたお陰だよ…。」

「他の…人達は…?」

「死んだよ、でも井上さんが心を痛める事じゃない。」



三天結盾が音をたてて崩れた。
生き残ったのは、井上と石田とあの男。
石田は振り向き、爆音の原因である者を見た。



「心を痛めるべきなのは…お前だ!



しかし涅は死んだ自分の部下達も石田も気にしているわけでもなく、井上に視線を向けた。
挙句の果てには人体実験の材料になれとまで。
言うまでもなく石田には憎悪と嫌悪で満たされた。
それでなくとも死神はどうも好きになれない。
素早く涅の背後に回り、弓を構えた。



「ホウ、滅却師か…生存固体を見るのは何年振りになるかナ…だがネ悪いが私は研究は終えたんだヨ。」

「研究は終えた…?どういう意味だ…お前何者だ…?」

「頂点の13人は頭に入れておくべきだと思うがネ。」



突然、彼らは物凄い圧迫感に襲われる。
白い羽織は隊長の証。
だが、それを彼らはまだ知らなかった。
涅は口を開いた。



「十二番隊隊長及び技術開発極二代目局長、涅マユリ。
 憶えなくていいヨ、どうせすぐに何も判らなくなる。」



隊長格の霊圧の凄まじさ。
それにより身動きが取れなくなる事はないが。
その力の凄まじさを石田は身をもって感じた。
すぐに井上を見た。



「井上さん…逃げるんだ!早く!」

「そ…ッ、嫌だ!あたしも戦うよ!」



石田の言葉も聞かず、井上は駆け寄ってこようとする。
彼は男に目を向け、彼女を連れて逃げるように言う。
出来ないなら撃つ、と言われ、男は井上を引っ掴むといささか乱暴ではあるがそのまま走った。



「逃げて良しと言ったかネ?」



涅の左腕がまるでロボットの腕のように伸びた。
普通の人間(死神であるものの)ではあり得ない。
石田はすぐさま弓を構えた。
だが、彼が弓を放つよりも先に、動いた者がいた。

ガァンッ

伸びた腕は地へと落ちた。
刀を構え、前を見据える者。
黒紅色の髪と深い碧色の瞳の少女。
石田も井上も目を大きく見開いた。



「まだ数人の霊圧を感じましたが…?」

「あぁ、死んでしまったヨ、私の為にネ。」



涅は歪んだ笑みを浮かべた。
地面に血飛沫が生々しく残っている。
刀を構え、現れた人物は真っ直ぐに涅を見た。
しかし、涅は未だに笑みを浮かべている。



ちゃん!」 「さん!」



井上はの姿を見て、男に止まるように言うが、石田に逃げろと言われている為、止まりはしない。
涅はを上から下へと舐めるように見た。
そして、一層歪んだ笑みを浮かべる。



「何という幸運…運命の再会のようだネ。」

「何がでしょうか…。」

「私は昔から君に興味があったんだヨ…山本殿?」

「私は恐らく貴方に興味はなかったと思いますけど。」



そう気丈に言うが、霊圧の高さの違いは一目瞭然だ。
ただ、命を軽く扱う者は許せなかった。
数人の霊圧の中に井上達の霊圧を感じていた。
それが一瞬で消えた。
目の前にいる涅が原因である事は見てよく分かった。



「マユリ様…あの者達が行ってしまいます。」

「構わん、向こうには隊員達が待ち構えている。」



その言葉に石田とはハッとした。
井上を抱えて走っていては、まず戦闘は不可能。



さん、君は井上さんと一緒に行ってくれ!」

「え、石田君は。」

「僕は…まだ、行けそうにない。」



石田は弓を再び構えた。
涅は全員を逃がしてくれる気はないだろう。
誰かが対峙しなければ皆捕われてしまう。



「勝手な事を言わないで欲しいナ。」



は石田を見た。
彼は黙ったまま頷く。
正直、自分には霊力がまだ完全に戻っていない。
護廷十三隊の隊長格と満足には戦えない。
それどころか、石田の邪魔をしてしまうかもしれない。
も黙って頷き、そして彼らに背を向けた。



「私が長年求めていた研究材料を逃すと思うかネ。」



涅は自分の左腕を取ると、それを勢いよく投げた。
それはの方へと向かっていったが。
石田の放った矢がそれを阻止した。



「追って良いと、言ったか?」

「やれやれ君には興味がないんだがネ…。」







一方。
男(名を荒巻という)は困惑の表情を浮かべた。
駆けていた足を止める。



「ヤベッ、何だか霊圧を感じるぞ。」



霊圧の主は十中八九死神であろう。
涅がいる事を考えて、十二番隊の隊員に違いない。
抱えているのは旅禍。
このままだと旅禍に寝返ったと思われても仕方ない。
いや、それよりも抱えたままどう迎え撃てる。
そんなときだった。



ごめんなさい!



彼よりも先に動いた人物がいた。
だ。
彼女は近付いてきた死神達を斬魄刀を鞘から抜かず、そのまま打撃を加えて地に伏せた。
霊圧が抑えられているものの、少しづつ感覚が戻ってきているような気がする。
その場にいる死神全員を気絶させ、そう、は思った。



「あ、あんたは!?」

「しっかり織姫ちゃん抱えてて下さいね!」

「確か…山本!や、山本総隊長の…!」

「今はそれどころじゃないんですって。」



走りながらは呟くように言った。
"冬獅郎ちゃんは怒っているだろうか"
そんなとき、誰かの霊圧を感じた。



「焦ってはいたけどねー。」



























騒ぎの最中、

まだ、

誰も知らない影。






[ 忍び寄る黒い魔手 ]



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話が飛び飛びで意味不明。
単行本片手に読んでください、ってか。
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