- vol.3 螺旋状の道の先には -

















其れは、
物心つくときには見えていた。


あまりにもハッキリと見えるものだから。
他の人にも其れは見えるのだと思っていた。
だから、其れが他の人には見えないと分かったとき。
周りに人は寄らなくなっていた。
自分が人とは比べ物にならない霊感を持っている。
そう改めて気づいたのは、5年前程だった。

霊感は年齢を重ねる事に強くなった。
いつの間にか。
霊だけでなく、異形の化け物まで見えるようになった。
それでも。
不思議と私は怖くなかった。

5年前。
それまでで一番大きな化け物を見た。
其れは酷く苦しそうだった。
しかし、其れは大きく、強すぎた。
私は、其れに帰ってもらえるかどうか、正直戸惑った。



霜天に坐せ、氷輪丸!



そこに現れたのは、1人の男の子だった。
深い碧色の瞳に銀髪。
身体の何処かで何か音がした気がした。
それは、瞳の色が同じような色だからだろうか。
男の子に助けてもらった私は大きな怪我もなかった。
男の子も大した怪我じゃなかった。
彼は、自分を"死神"だと言った。

"巨大虚!コイツの霊力を喰らいに"
私の霊感、霊力は異常なんだ。
まさかあんなに大きな化け物に襲われるなんて。
今度は死神じゃない人まで巻き込んでしまうかも。
そう思って私は怯えた、だから。
どうやったのかなんて覚えていない。
でも、私は自分の力を最小限に抑え込んだ。

彼の言う"虚"は…。

もう、私の前に姿を現さなくなった。

そして、高校1年生のある日。

霊力は完全に失われた、
はずだった。





















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「な、にこれ…。」



異様な空気。
息苦しい程に重たい。
聞き苦しい程の鳴声。
それは、には悲鳴に聞こえた。
空が割れる。
ピシリピシリと音をたてて。



「空が…割れていく?」



それは突然の出来事だった。
買いたい物があった為、1人で帰宅していた。
その途中だった。
彼女は空が割れていくのを見た。
何かがその中から出てくる。
しかし、霊力がなくなった彼女には見えない。
"虚"の姿だけ、見えない。



「ぅ。」



いきなり、身体が重たくなった。
骨が軋むかのようにピシピシと痛めつける。
持っていた鞄が落ちたが、最早それを気に出来る程の余裕は彼女にはなかった。
意識が朦朧<もうろう>としていく。
それに気がついた彼女は、自分の口の中を噛んだ。
唇の横から血が一筋流れた。
それでも気にならなかったのは。
なんとなく感じた、ある人物の霊力。
落ちた鞄の存在なぞもう忘れ、彼女は走った。
その速度は…あまりにも速過ぎる。





その頃。
元凶の地では、黒崎と石田が対峙していた。
空を割って現れる虚。
石田の撒き餌による効果だった。
死神を嫌う滅却師と、他人から力を得た死神。
対立するには十分な肩書きなのかもしれない。



「虚は霊力の高い人間を好んで襲う習性がある。」



石田の言葉に黒崎は走った。
彼の家族は霊力が普通の人間より高い。
走っている最中、頭の中にもう1人の存在が浮かんだ。



「(大丈夫だ、アイツの霊力はもうなくなってる!)」



不幸中の幸いとはこの事かもしれない。
黒崎とためをはれるくらいの霊力の持ち主。
は"霊感がなくなった"と彼に告げている。
頭の何処かで安堵感が浸していく。
しかし、その安堵感をジワリジワリと何かが侵す。
彼女の笑顔が脳裏に浮かぶ。
それを黒く埋めていくもの。
それを振り払うかのように彼は速度をあげた。



「くそっ!」



























くるくると回る、

目的地は遠く感じる、

くるくると回る、

螺旋状の道のようだ。






[ "歯痒い"と感じる ]



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日番谷の出番、意味なし。
序章なので、ということで。
次回はちょこっとだけあるやもしれません。
かなり展開は飛ばしてます。
いきなり5巻の内容です。
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