- vol.30 思い出された過去と想い -

















「お前が来てくれなかったらも雛森も死んでた。」



と雛森。
彼女らは別々の部屋であるが眠っていた。
四番隊の救護により点滴を繋がれて。
目立つ傷はないものの。
日番谷はの手を握り、空いた手を強く握り締めた。



「有難う…松本。」

「…いえ…あの…隊長は。」



静かに眠る
松本は彼女から日番谷へと視線を移した。
彼女には気になる事があった。
暗闇色が薄くなると共に月の光は薄れていく。
空は青を取り戻そうとしている。
淡い光がその部屋に差し込む。



あぁ。思い出した。



俺は、
忘れてはいけない事を、
忘れてしまいたかった事を、
忘れてしまっていたんだな。




















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およそ40年前の尸魂界。




「隊長、書類…。」

「分かってる、今やってる。」



十番隊隊長、山本
同副隊長、日番谷冬獅郎。
彼らは書類業務に明け暮れていた。
それというのも十一番隊がコツコツ溜めた書類、それが一気に十番隊に運ばれたのが事の始めだった。
戦闘専門ともいえる十一番隊に書類業務を真面目にやれと言う方が間違いだったのかもしれない。
だが、それは後の祭りというものだった。



「隊長、判子…。」

「分かってる、今やってる。」



珍しくサボりもせず勤しんでいる
目が回りそうな量の書類。
本来ならば窓からでも逃げ出してしまいそうだ。
だが、期限はとっくに過ぎている。
何が何でも今日済ましておかなければならない。



「隊長、お…「だから分かってるってー!」



ついにはキレた。
何とも色気のない怪獣のような声を上げる(ガーッとか)
机にある書類を全部散らかしてしまいたかったが、それは微かに残っている正気で何とか堪えた。
日番谷は彼女の声に驚き、目を見開いている。
が、表情を戻すと手を伸ばした。



「お茶っス。」

「…あぁ、悪い。」



意外にもあっさりと理性を取り戻した。
彼はそんな彼女に小さく笑うとに湯のみを渡した。
実は猫舌である彼女の為に中のお茶は少し温め。
それを分かっているは躊躇せずに口をつけた。
温度は、丁度いい。
湯のみから口を離すと、は冬獅郎の頭を撫でた。
座っているので手を伸ばして丁度良い位置だ。



「…。」

「何だ、怒ったのか?」

「別に。」

「拗ねたのか。」



顔を逸らすとは楽しそうに笑った。
横目でチラリと彼女を見る。
その笑みは悪い気はしない。
それは彼女だからこそ。



「さぁて、あともうちょい頑張るか。」

「いつもその調子で頼みますよ。」



日番谷は彼女に淡い想いを抱いていた。
この人の為なら身を挺してでも何でもしよう。
それは初めて抱いた想い。
共にある時間が永久に続くように。
透き通った純粋な…想い。

だが。



「山本隊長、日番谷副隊長はおられますでしょうか!」



大量の書類を終えて数分後。
何やらただ事ではないような、そんな声が聞こえた。
その声の主は十番隊の第五席の者だった。
彼女はすぐに中に入らせた。



「何事だ。」

「魂葬に出た者より緊急援護の要請がありました!」

「…なに?」

「亘理<わたり>第四席の報告によれば隊はほぼ壊滅!」



突き付けられた現実には唖然とした。
調査によれば大した虚は出ない、事前に組んだ隊で十分に任務を遂行出来るだろうと上からも言われていた。
は置いていた斬魄刀を握った。
それを見て、日番谷も。



「行くぞ、とーしろー!」