- vol.5 一瞬の安らぎと一生の悔やみ -

















隠密機動より中央四十六室へ

行方不明及び重禍<じゅうか>違反者一名発見。


東梢局 十三番隊所属

朽木ルキア



「座軸は?」

「未確定だ。」

「オーイ、じゃあ俺ら何処向かって飛ばされてんスか?」

「出るぞ、地獄蝶を放せ。」



闇夜に舞う黒い蝶。
影がふたつ。



「捕らえよ、さもなくば殺せ。」

「もう1人の方は丁重に扱えとの事だ。」

「死神の仕事じゃないスよね。」

「…そうでもないさ。」




















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「朽木サン、一緒にご飯食べませんか?」



木の上に上り、何やら考えている朽木。
そんな彼女には笑いかけた。



「…あぁ。」



多数の虚との戦闘の翌日。
彼らは無事に学校へと登校していた。
何事もないように過ぎていく時間。
普通の生徒達と同じように授業を受ける。
友達と話し、笑い合う。
しかし、確実に道は曲がり始めている。



「…。」

「…。」

「昨日はお疲れ様でした。」



またも沈黙の末。
先に口を開いたのはだった。
無垢な笑みを向けられ、朽木は少々面食らった。
突然死神となってしまった。
突然虚と戦うはめになってしまった。
それなのに、彼女は何事もなさそうにしている。
彼女は。
朽木が人間ではない事さえも知っていたというのに。
既に分かっている為、朽木は素を見せている。



「お前は何故…「疑問に思ってるよ。」



朽木の言葉を遮り、彼女は言った。
サンドウィッチを口に運ぶのをやめ。
真剣な表情を見せた。
風が、少し強くなったような気がした。



「虚は知ってた、5年前から何度か遭遇した事もある。昨日のより強そうじゃなかったけど大きな虚に襲われたとき、死神に助けられた事あるから死神の存在も知ってた。」



は呟くように言った。
虚に襲われる。
何度も襲われたというのに、命があるのか。
朽木は目を見開いた。



「(確かに一護に負けない程の霊圧を感じる、しかし、昨日までは然程気にならないレベルだったはず…)」

「この霊感で嫌な事があったから、無理矢理抑え込んでた、そしたら、日が経つにつれて弱くなったけど。」

「昨日…戻ったわけか。」



は頷く。



「何で私は死神になっちゃったんだろう、一護ちゃんから話しを聞いて、彼のは納得がいく、じゃあ、私は?」

「それは…死神の私にも分からない。」

「昨日沢山考えた、けど…分かりませんでした!」



分かりませんでした!
の、ところでは再び笑った。
彼女の目が、実は少しだけ赤い。
あまり眠れなかったのが現実。
それでも、答えは出ない。



「でも、一護ちゃんと同じように、私も戦う。」

…。」

「虚の声は、泣いているように聞こえる。」

「…。」

「それに一護ちゃんは大切な友達だから。」



その言葉に、朽木の表情が少し歪んだ。
それをは見逃さず、声をかけた。
何でもない、と一言返された。
追求されたくない、そういう顔をしていると分かったは、それ以上追求する事もせず。
ただ、手を伸ばした。



「これからもよろしくお願いします、ルキアちゃん。」

「…よろしく…。」



"これから、なんてないのに"

"どうして私はこの手をとったのだろう"

"これから、なんてのは見えている"

"最悪の状況を避ける為に、離れなければならぬのに"



"それでも…この温もりを得たかった"




























温もりは一瞬の安らぎ、

温もりは一生の悔やみ、

大切なものができても、

これは失われるという悔やみ、

どうせ失われるのならば、

得なければよかったという悔やみ。






[ それでも伸ばさずにはおられなかった手 ]



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短め。
同じく彼が登場していませんが、
序章という事で堪忍してくださいまし。
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