12月11日は、あたしと隆也の誕生日だ。朝は友達にプレゼントもらって、野球部のみんなから部活の後に部室でお祝いしてもらって、メールでは榛名サンや高瀬先輩や準サンたちにお祝いしてもらった(誕生日ってやっぱりいいな、嬉しい)毎年夜は家族でお祝いしてもらってて、お母さんもお父さんもシュンもプレゼントをくれた(お母さんの今年のプレゼントは、可愛いワンピースだった…野球しないときに着よう)隆也とは毎年プレゼント交換をする。子どもじゃねーんだから、とか呆れてるような口調だけど、それでもずっと交換してる。素直じゃないな、隆也って! 「隆也のプレゼントなんだった?」 「バットとカバンとTシャツ。」 「あたし、ワンピースと財布と帽子!」 隆也の部屋でプレゼント公表会。シュンからもらったらしいTシャツはいい色だった、シュン、センスいー!毎年お母さんからは服をもらうけど、今年は可愛い花柄のワンピースだった。それをあんまし興味なさそうに、だけど広げて見て、隆也は口を開く。 「…とりあえず、これ着て榛名には会うな。」 「はい?」 「つーか、会うなって言いたいけど。」 「へ?なんで着て会ったらダメ?」 「飛びかかられるとお前潰されるだろ。」 隆也の言葉にあたしは首を傾げる。榛名サンに飛びかかられるとあたしが潰れる?そりゃあ、180cm超えの榛名サンにあたしみたいな小さいのが飛びかかられたら潰れるけど、なんで飛びかかられるんだろう。よくは分かんないけど、とりあえず頷いておいた(榛名サンが関わったときの隆也は怖いんだ)どちらにしろ、こんなワンピースで会いにいっても、投げてもらえないじゃん!そろそろ寝ろよ、と言われてプレゼントをいそいそと片付け始める。ふと、カーテンをしめていない窓の向こうに目を向けると、月が見えた。ほとんど満月に近い月が、冬の綺麗な夜空でキラキラして見える。 「わぁ、今年の誕生日はまんまるに近いね、月!」 「そーだな。」 「去年は確か、半月だったよ!」 「…よく覚えてんな。」 去年は、受験前で忙しかったような忙しくなかったような気がするけど、やっぱり学校でも家でも祝ってくれた。あたしたちの好きなものを食べたあと(夕食後)キャッチボールをしたいと言って、あたしが隆也を連れ出したんだ。時間が遅いから、なんとかってちょっと隆也はブツクサ言ってたけど。そのとき見上げた空に、半月が浮かんでいたのを覚えている。 「月だって去年とは違うだろ、月日経ってんだから。」 「そっかー、あたしらも年とってんだもんねー。」 「俺らもそのうち20、30、数えたらキリねーよ。」 「そうだよねぇ、まだ16歳だけど年とるもんね。」 来年はどうなってるだろう。今年と変わらない誕生日を迎えるんだろうか。それとも、今年とはどこか違う誕生日を迎えるんだろうか。目の前の隆也をじぃーっと見る。 「来年、隆也に彼女できたら、彼女と祝っていいからね。」 「はぁ?」 「そのうちあたしらも結婚できる年になるし、隆也にだってきっと彼女ができちゃうよね…少し寂しいけど。」 「いきなしなに言ってんだ、お前。」 呆れている隆也をよそに、あたしは一人想像してしまう。隆也に彼女…どんな人だろう。年上だろうか年下だろうか、それとも同じ年かな。あたしの友達かもしれない。それを考えると、少し複雑な気持ちだ、隆也は家族で、双子のお兄ちゃんで、あたしと一番近い存在なのは確かだけど、あたしよりも大切な人が、そのうちできるんだろう。ふぅ、と自分でも珍しいと思うけど溜息をついたあと、隆也の方を見ると、なんでだか知らないけど、隆也の方がブルーになっているような気がした。 「隆也?」 「…ぅわ!」 「どうしたの隆也、だいじょぶ?」 「(…勝手に、榛名がの彼氏になるなんて想像して気分悪くなったなんて、ぜったい言えねぇ)」 なんだかよく分かんないけど、隆也の背中をポンポンとたたいた。背中をたたきながら、自分に対して、バカらしーなぁと思ってみた。明日のことも明後日のことも、考えたって分かるわけがないよ。ましてや、来年や再来年、十年後とかなんてもっと分かんない。隆也に将来、彼女ができても、隆也があたしと双子で、あたしのお兄ちゃんだっていうことは未来永劫変わることはなくて、繋がっている。でも、将来できるだろう隆也の彼女は、あたしとも仲良くしてくれる人だったらいいなぁ、なんてコッソリ思ってみたりする。 「お誕生日おめでとー、隆也!」 「おぅ、もな。」 |