「隆也ー、欲しいものあるー?」 「いきなし何。」 「だから、欲しいもの。」 「…お前は?」 「聞いたの、あたし。」 「いいんだよ、答えろよ。」 「…ウサギのぬいぐるみ…。」 人差し指と人差し指をグリグリとあわせながらは、ちょっとはにかんだように笑って言った。誰かがのこーゆーところ可愛い、と言ってた(誰だったっけ?)がどうしてこうゆうことを聞いてきたのかは分かる。今日は12月7日だ。あともう少しで俺の誕生日がくる。つまり、双子の妹であるも誕生日ってことだ。ガキじゃねーけど、高校生になった今でも俺らはプレゼントをあげたりしている(ガラじゃないんだけどな俺は) 「お前、去年もそう言ってなかったか?」 「だって、うさちゃん、可愛いじゃん。」 普段活発で男顔負けのくせに、趣味はかわいらしーんだよな、ホント。まぁ、そうは言っても、野球用品とかよりかは女らしーっちゃ、らしい。グローブが欲しいだのバットが欲しいだの、終いにはジャージ、ときた(高いっつの)そんなを叱責したのが母さんだ。もうちょっと女の子らしいものをねだってくれと必死の説得をが受けているところを、五年前に俺は見た(あのときの必死さが今でも鮮明に残っている) 「隆也は何が欲しいの?」 「俺はー。」 アンダーシャツがもう一枚欲しい…と、言おうとして慌てて自分の言葉を飲み込んだ。これじゃあと変わらない。それに、ピンからキリまであるけど、アンダーシャツだって値段はバカにならない。どうしよう、と考えている俺をが見上げている。別にいらないんだけど、と素直に言ってしまえば、きっとは最高に不貞腐れてしまうだろう。こういうイベント大好きなんだよな、こいつ。欲しいものを言うのは難しい(全て野球関連になってしまいそうだ)頼みたいことなら、沢山あるわけなんだけど(榛名と関わりもつなとか、無茶をやめろとか、田島に言われた下ネタの意味を聞いてくるなとか) 「…考え中!」 返答に困った俺は、が手に持っていた板チョコを奪うとそのまま走って逃げる。そうすればプレゼントのことなんか忘れてが俺を追いかけてくるのは目に見えてる。ほら、思ってるそばからが俺を追いかけてきた。学校の奴らにはぜったいに見せられない姿だが、これは日常的な出来事だ。夜だというのに気にせずに階段を大きな足音を立てて上っていく。身長差もあり、歩幅も違うは階段を必死で二段飛ばしして上ってくる。俺はそれをチラリと見て笑って、目の前にあったの部屋に入った。 「うわ、相変わらず。」 ズラリと並ぶウサギのぬいぐるみたち。去年も一昨年もその前もこいつは俺に同じものをねだっている。大きさは若干違う。最初にやったものが一番小さいのが必然的な結果だ(ぬいぐるみだって値段はピンからキリまで)そのウサギたちにはチリやホコリが少しもたまっていない。それは、がそれらを大事にしている証拠だ。俺はそれらを見て小さく笑った。 「(今年はもう少し奮発してみるか)」 |