「勘違いされちゃうよ。」 教室を出たところで、俺は誰かの声に足をとめた。スカートだというのに平気でその場にしゃがみこんでいる女、。どうやらこいつは教室内での俺ともう一人の会話を聞いていたらしい(盗み聞きかよ、いい趣味もってんな)カバンを持ち直して、俺は空いてる手で額を少しだけかいた。そんなことより立てよ、と言うと、素直に立ち上がって、スカートのホコリを払うようにパンパンと軽くたたいた。 「勘違いされちゃうよ。」 もう一度言われた。もう聞いたっての、それ。俺は露骨に面倒くさそうな顔をしたんだろう、軽くカバンでたたかれた。こいつ、どこからどこまで話を聞いてたんだろうか。まぁ、幼馴染という名の長い付き合いだ、わざと盗み聞きしていたんじゃないというのはちゃんと分かってる。だから、怒ってない。 「何を勘違いされるんだよ。」 「隆也が冷たい奴だって、勘違いされちゃうよ。」 「こっぴどくフッた男が冷たくない奴のわけないだろ。」 世の中には奇特な女もいたもんだ。愛想もよくない俺に、ぞくに言う告白とやらをしてくるなんて。あんたと付き合う気はないよ、と言うと、相手の女は涙を流して教室から走り去っていった(教室を出たとき何事もなかったってことは、こいつは上手いこと隠れていたんだろう)そんなことを考えていたら、溜息をつかれた。 「隆也は本当は優しいのに。」 「…優しくねーし。」 「彼女の想いに応えられないから、中途半端に断るよりも自分を忘れて次にいけるようスッパリ断ったんでしょ。」 「…そんなんじゃねーし。」 「もう、素直じゃないなぁ。」 「別に。」 「そんなんだから、勘違いされちゃうんだよ。」 別に俺は、誰から怖い奴って思われたって構わない。野球部とコミュニケーションがとれて、野球が満足にできれば、それでいい。そう言うと、今度は苦笑いされた。視界に入ってきた、重たそうな手荷物を無言のままに取った。あ、と声をあげられる。今日の天気は雨だ、おかげで野球はできない(こういうとき、設備の整っていない学校は不便だとは思う) 「ほら、帰るぞ、。」 「…勿体無いなぁ、隆也は優しい奴なのに。」 ふふっと笑うを今度は俺が軽くカバンでたたいてやった。誰に勘違いされようが、怖いと思われようが、俺はそれはそれで構わないんだ、本当に。だって少なくとも今隣を歩いている奴は、俺のことを理解してくれるんだから(優しくするのも、お前一人で充分なんだよ) |