が好きだと気がついたのは、真剣に部活に打ち込んでいるときじゃなくて、授業中百面相な顔して黒板見てるときでもなくて(そもそも、クラス別だから見えないし)休憩時間に友達と楽しそうに話しているときでもなく、昼休みにトランプなんてしててポーカーフェイスを気取ってるつもりでもジョーカーもってるのがバレバレなときでも、なかった。ただ、なんのへんてつもない時間。幼馴染の俺たちだからこそ、おかしくもなんともなかった出来事。俺が、偶然忘れてしまった数学の教科書をに借りに行ったときだった。



「じゃあ、また後で返しにくるな、。」

「落書きしないでねー。」

「俺が落書きなんて低レベルなことするわけないだろ?」



そう言って、自分じゃあよく分からないけど、笑っているとは思う、そんな顔をしてヒラヒラと数学の教科書を持ったまま手を振った。廊下を歩きながら俺は、実は火照ってるんじゃないかと思う頬を思わず片手で押さえた。なんで今さら。そう思わずにはいられなかった。だって、は幼馴染だ。それこそ十年以上けっこう近くで見ている。なんでなんだろう、なんで今頃自覚したりするんだろうか(誰かが言ってた美人な先輩とかいうのにも興味わかなかったくせに)



「阿部ー、借りてきたのー?」

「うわぁ!」



突然、肩をポンとたたかれてしまって、驚きのあまりすごい声を出してしまった。心臓をバクバクしながら振り向くと、そこには水谷が立っていた。俺が教科書を借りに、出て行く頃には花井となにやらギャーギャー言ってた(主に水谷が)けど、もう飽きたんだろうか。



「あぁ、借りてきた。」

「誰に借りてきた、田島?三橋?」

「ちげぇよ、。」



頬はまだ火照ってたりするんだろうか。ちょっと、いや、本気でもとに戻ってほしいんだけど(一刻も早く!)俺の心情を知ってか知らずか、水谷は俺をじぃっと見る。これは、好きだという感情を自覚した次の瞬間ほかの奴に気づかれてしまうんだろうか…!相手が水谷といえど、いや、水谷だからこそそれはそれで腹立たしい気がする。俺はなるべく平常心を心がけて、なんだよ?と聞いてみる。



「いや、田島ら置き勉してんの阿部も知ってんだろ。」

「は?知ってるけど。」

「まぁ、そっか、ちゃん阿部の幼馴染だし。」

「幼馴染関係ないだろ、つーかなんだよお前。」



なにが言いたいのか分からない、でも、なにか腹立たしい。焦りという感情はどこかに消えてしまったのか、水谷への腹立たしさに上書きされてしまったのか、俺は何事もなかったように、水谷を蹴ってやった。そうすると、水谷は大袈裟なほどに大きな声で、いてー!と言った。



「なんっか、お前の顔ムカつくんだよな。」

「ひでー!そんなんだとちゃんにフラれるぞ!」



水谷の口から思わぬ言葉が出てきたのに反応し、瞬時にまた水谷を蹴った(さっきよりもひどく)今度は言葉にならないような声を出しているけど、とりあえずは足じゃないところを蹴ったから、野球には支障がないだろう。せいぜい痛み悶えればいいと思う。



「9組に借りにいったのだってちゃん目的のくせに!」

「…もう一度蹴ってほしいみたいだな?」



そう言うと、水谷は悲鳴のような声をあげて花井に泣きついていった。せっかく元に戻った(と、思う)頬が、クソレフトのせいでまた火照ってしまった気がする!俺は自分の席につき、慌てて両手で頬を押さえるかわりに、机に伏せてみる。原因の水谷は花井にあしらわれたのか、またなんか言ってるみたいだ。机に伏せたまま、俺は必死に心臓を落ち着かせようとする。でも、まだ頬は熱い気がする。なんでが好きだと気がついたのが、真剣に部活に打ち込んでいるときじゃなくて、授業中百面相な顔して黒板見てるときでもなくて、休憩時間に友達と楽しそうに話しているときでもなく、昼休みにトランプなんてしててポーカーフェイスを気取ってるつもりでもジョーカーもってるのがバレバレなときでもなくて、教室に行って名前を呼んで、本を借りていったときだったのか…今ならちょっと分かった気がする。



「(たくさんの奴がいる中、迷うことなく、ほかの誰でもない、の姿が真っ先に目に入ったからだ)」











それはただの


きっかけにすぎない。α

((来週の誕生日…なんかイイことないかな))





コメント

阿部くん誕生日記念夢。
阿部くん視点でした。
ぜったい阿部くんじゃない気がしてなりませんが。
水谷くんが可哀想な気もしますが…。
まぁいいということにしてください!

一応、αと誕生日夢もフリー配布です。
万にひとつ、欲しいという方はよければどうぞ。
別にご連絡はいりません、良ければ下さい^^