今、俺は学校の野球部の人たちと一緒に初詣に来ていたりする。最近急に冷え込んできて、夜ということもあって寒い(が、寒いのを理由に帰るわけにもいかず)神社はものすごい混みようだった。ここぞというように夜店だってでている。俺は人ごみに内心、若干、イライラしつつも群れからはぐれないように人ごみを少々押しのけながらも前に進んでいた。前には秋丸、そして、俺の後ろには、マネジであるがいたりする。は俺と違って小柄だから押しのけて歩くことも上手いこといかないようで大変そうだ。俺はそれを見ながら、手を差し出してやるか、と手を伸ばそうとしていたときだった。 「わっぷ!」 とつぜんが人ごみに押しのけられてしまった。それを見ていた俺は慌てて消えてしまいそうになるの手を掴まえる。こっちに引っ張ろうとしたが、そんな簡単にいくはずもなく、俺ごと人ごみに流されてしまった(それでもどうにか、の手だけは放さまいと頑張る)気がついたときには、周囲に秋丸や先輩たちの姿はなくて、大きな声をあげてみるけれども、ちょうど年が明けたということで、周囲の大きな声に俺の声はかき消されてしまった(おいおいおいおい、どこまで流されたんだよ、俺ら) 「大丈夫か、。」 「うー、なんとか大丈夫。」 人ごみにやられたんだろう、は少しグラグラしながらも俺に笑顔を浮かべた。とりあえずは、が無事だからイイことにしよう、俺はそう思った。 「榛名、とりあえずは、明けましておめでとう。」 「あぁ、おめでとー。」 「今年もよろしくね。」 「こっちこそ。」 今年だけじゃなくて未来永劫よろしくしてほしかったりすんだけどな(思うだけで今は言わないけど)俺はそう思いながらの頭をくしゃくしゃと撫でてやった。それに少し拗ねたような顔をするけど、すぐに周囲に野球部員たちがいないことに気がついて、は慌てた。どうやら俺たちは、流れに流されて参拝の列に紛れ込んでしまったらしい。先輩たちは、混むから最初に夜店で何かを食べよう、と言っていたから、こっちにはいないだろう。 「そうだ、こーゆーときのための携帯!」 は自分の携帯を開いて電話をかけようとしたけど、電波がこれでもかってほど飛び交ってるようで、まともに繋がりそうにはない(年明けてすぐはメールやら電話やらが多くてまともに携帯が繋がらないって秋丸が言ってたな、そういやぁ)携帯も繋がらない、となると、の慌てたようすは更にひどくなったりする。今にも泣きそうな顔で、どうしよう、と俺に聞いてきた。 「仕方ねーから、参拝すましとこーぜ。」 「でも、はぐれちゃったし。」 「オロオロしててもしゃーないだろ、偶然にも参拝列に紛れ込めたわけだし、ラッキーじゃね?」 「…榛名って、ポジティブシンキングだねー。」 慌ててたの顔に笑顔が戻った。俺はそれに安心してそのままその列に続いていく。意外にも進み具合がよく、すぐに参拝もすんだ(は何を願ったのかは知らねーけど、俺は実はのことを願ってたりする、野球のことは自力でどうにかできるし!)参拝を終えると、がまた携帯をいじり始めた。俺はこのままの状況でもぜんぜん構わないんだけど…。俺にとっては幸いなことに、携帯はまだまともに繋がらないらしい。じっとしてても寒いだけなので、ちょっとブラリとすることにしてみた(俺の提案) 「榛名、おみくじ、しよ!」 正直に言うと、そーゆーのに興味はまったくもってねーんだけど、が、が、そんな顔して言ってくるもんだから、仕方ねーよなー(でも、これで大凶とか出たら、それはそれで嫌なもんがあるけどな)まぁ、今二人だけでいられるってのだけで充分イイことだ。むしろ、携帯なんてしばらくずっと繋がらなければいイイ!内心でそんなことを思いながらも、俺はを追いかけて、おみくじ売り場まで行く。百円をいれてひとつソレをとった。 「あ、あたし中吉だ、榛名は?」 「…大吉。」 開けて見たら、本当に、大吉だったりする。おみくじなんて滅多にひくことがないから、大吉にけっこー驚いた。反応が薄い俺の代わりに、が横から顔をのぞかせてソレを見て、盛大に喜んでくれたりする(大吉って、あれだな、一番イイやつだよな?)願事、叶う。恋愛…思う通りにいく。お、お、お、お、お! 「よかったね、榛名、今年は幸せいっぱいだよ!」 「そ、そっかな。」 満面の笑みが向けられて、心臓が実はバクバクいってたりする。恋愛、思う通りにいく。そう書いてあるんだ、もしかして、ここで手を握ってみたりしても、は嫌がったりしない、とか、そういうのアリか?そんなこと思ってたら、突然、俺の手をがギューと握ってきた(なに、なになになになに!)は俺を見上げて、また憎たらしいほどの可愛げのある笑顔を俺に見せた。 「幸せのお裾分け、あるかなーって。」 |