武蔵野第一高校、野球部二年ピッチャーで本当はエース。榛名元希。一年生であり、マネージャーになったあたし、。あたしたちの関係は、本当にどこでもありがちな先輩と後輩、というような関係だったりする。榛名先輩は、ちょっと俺様チックな性格をしているけど、重たいものをスッと持ってくれたり、からかうように頭を撫でたりたたいたりしてくる。ちょっと短気なところがあったり、理不尽!って思うこともあるけれど、それでも大きな口をあけて豪快に笑うとこや、子どもみたいに機嫌を損ねてブスッとするところが後輩なのにあたしは可愛いなぁと思っていた。うん、そのくらい!…なのに。 「お前が悪いんだからな。」 あたしは突然のことに目を見開いた。上手く呼吸ができなくて、心臓がいつもよりも早く、そして大きな音をたてている。思わず口元を両手でおおった。目の前にいる榛名先輩は眉を寄せて、どこか不機嫌なような、どことなく辛そうな顔をしている。"お前が悪いんだからな"と、言われてもあたしは悪くない、と思う。ただ、部活が終わった後に同学年の男の子に告白をされてしまい、それを偶然に先輩に見られていただけだ。そうだ、あたしは全然悪くない。それなのに先輩はあたしが悪いんだと言い切る。理不尽!と思いながらも言い返すことはできず、あたしはただ自分の口元をおおったまま、一生懸命に顔の熱を下げようと意識し続けた(だからって下がるわけじゃない) 「告白してきた男に笑いかけたりなんかするから!」 理不尽!あたしはいっそ言ってしまいたかった。だって、それはその子が"これからもいい友達でいてくれ"って言ったから、よろしく、って言って笑っただけなのに!何でこんなことになったのか分からないけれど、なぜかキスを二度もされてしまったのは、先輩の機嫌を損ねてしまったかららしい。関係は先輩と後輩。それ以上でもそれ以下でもなかった。先輩には憧れていたが、実は先輩以上に憧れている人もいたわけだ(野球部じゃないけれど)だけど、目の前の先輩があまりにも必死そうに言うもんだから。目の前の先輩が…キスとキスの合間に、切なそうな表情であたしを見るもんだから…。 「…俺と付き合えよ、バカ。」 |