「…お誕生日、おめでとう。」 その言葉を聞いたのは、5月24日の午後三時をまわったところだった。目の前にいる女、は、少し顔を逸らして言ってたりするが、経験上、これはが照れているからだと分かる。その姿は相変わらず可愛いとしかいいようがないんだけど…分かっちゃいるんだけど、物足りない。俺が無理矢理のぞきこむと、は顔をちょっと赤らめて、また顔を逸らした(そういう態度を見ると、どうにもいじりたくなるのが正直な話だが) 「で、プレゼントは?」 「そういうところ、可愛くないと思うよ榛名。」 相変わらず可愛い顔して言ってくれるぜ(でも、俺は可愛いなんてことを思われたくない、さらっさら!)それでもはキレイにされた袋を差し出してきて、それが俺へのプレゼントだということは言うまでもなく分かった。それを渡すときのがまた恥ずかしそうで、なんだか口元があがってしまう。 「お前さ、プレゼントはあ た し、とか言えねーの?」 「言うわけないでしょ!」 真っ赤な顔をして否定されてしまった。熟れたリンゴのような顔をしているがおかしくて、思い切り笑ってやると頭を殴られた(拳で)お前、俺のこと好きなんだよな?ちゃんと好きなんだよな?俺たち世間で言う"恋人同士"ってやつだよな?殴られた頭をさすりつつをチラリと見ると、はまだ真っ赤な顔をしていた。俺は頭から手をはなして、その手を伸ばした。の腕を捕まえると、不意打ちで引っ張る。思った通り、はあっさりと俺の方に倒れてきた。 「はっ、榛名!」 「俺今日誕生日、今日の主役。」 「だ、からなに!」 「プレゼント選ぶ権利があってもよくね?」 よくない!とすかさず言われたけど、気にしねー気にしねー。そのままガッチリとを捕まえてデコにキスしてやると、ぎゃ、と色気のない声が聞こえた(色気ほんとにねーな)ますますの体がかたくなったのがおかしくなって笑うと、笑うな!とが怒ったが、顔が真っ赤で相変わらず体は硬直状態で、怖いどころか可愛いだけなのでスルーしてやった。 「ちょうどよく今家に誰もいねーし。」 「ちょうどよくない!」 「お前は黙って俺にくわ…って、なにやってんだ?」 「もしもし秋丸くん?今から榛名ん家来てよ!」 「てめぇはマジでなにやってんだ…?」 なんかモソモソしてんなーって思ってたら、器用に俺に抱きしめられたまま携帯かけてやがるし!慌ててとめようと思ってたらの方が先に携帯きっちまった(つまりは秋丸が来る、と!なんてことしやがる!)俺の腕に捕まえられたままだというのに、は顔だけ上げて俺を見てから、アッカンベーというように舌を見せた。 「誰もいなくないし、秋丸くん来るし!」 「てめぇ…。」 「そういうことなので放してちょうだい榛名。」 「…ヤだね。」 俺は腕の力をいっそう強くしてやる。また色気のないような短い悲鳴があがったが、気にせずにまたデコにキスをしてやる。そのまま俺の部屋のベッドに倒してやると、さすがに本気で慌てたようで、は一瞬だけ呆然していたが、すぐにハッと暴れ始める(ばーか、力で俺に勝てると思うなよ)秋丸の家から俺の家まではチャリでも二十分ちょっとかかる。余裕なんてかましてる暇ないぜ、チャン。 「それでは、プレゼントいただきます。」 「イーヤーダー!」 ピンポーン なにぃ!? |