クリスマスの日は、クラスのみんなである会場を借りて、楽しくパーティー!だったりするんだけど、その素敵な聖夜になるはずのクリスマスは、私にとって最悪な日になってしまったりするんである。パーティーは、参加率もよく、彼氏とデート、彼女とデート、とか、家族で出かける予定をいれていた、とかそういう人以外はみんな来ていて、始まると同時にガヤガヤと賑やかになった。食べ物も美味しかった。私も、たくさん食べたし、友達ともたくさん喋った。なにより、私にはやるべきことがあった。このクリスマスに、好きな人に告白をする!という、大仕事だ。この日のために、慎重に選んだクリスマスプレゼントもある。そう、頑張るんだ!改めて意気込んだときだった。



「皆さーん、聞いて下さい!」

「ちょっ、お前やめろよ!」

「こいつ隣りのクラスの女の子とお付き合い始めました!」



テンションの高い男の子と、照れたような真っ赤な顔で慌てている男の子。彼らの言葉を聞いて、私の目の前は、大袈裟に言うならば真っ暗になってしまったのだ。そう、私が好きな男の子は、私が告白さえもできずに、他の人と付き合い始めてしまったのだ。私はショックで、思わず手に持っていたフォークを落としてしまいそうになったけど、それをグッと堪えた。朝子は私は彼を好きなことを知っていたので、見えないように、ポンと肩を優しくたたいてくれた。クリスマスに失恋、クリスマスに失恋。なんて虚しい記念日なんだろう。



、大丈夫?もう外真っ暗だよ?」

「大丈夫大丈夫、親呼んでるから!」



用事があるから、とウソをつき、私はみんなよりも先にパーティーを抜け出させてもらった。辛かった。だって、私が随分と長い間温めてきた淡い恋心は、いともアッサリと崩れていってしまったのだ。照れたような、それでいてとっても幸せそうなあの人を近くで見るのも、無理矢理笑うのも、とっても辛いんだ。本当は、あの場で泣いてしまいそうになったけれど、それを我慢した。外に出ると、言われた通りもう真っ暗で、とても冷え込んでいた。はぁ、と手に息を吹きかけながら、私は一人で帰路を辿る。そんなとき、誰かが背後から私の背中をたたいた。それも、思い切りだ。



「なに遅くに一人で歩いてんだ、パーティー終わったのか?」

「…元希。」



幼馴染の榛名元希だ。偶然にも同じ高校に進んでいたりする(元希ならもっといい野球の強いところに行けただろうに)野球部もクリスマスパーティーがあるって言ってたけど、それはもう終わったんだろうか。やけにテンションが高そうなのは、クリスマスパーティーが楽しかったからなんだろう。ちくしょ。



「なに珍しく暗い顔してんだ、。」

「うるさいなぁ、私だって…暗くなることあるよ。」

「へぇ…分かった、失恋したんだろ!」



当たり!と、元希にはデリカシーのデの字もないのか、にこにこと笑顔で言ってきた(思わず右ストレートしそうになった)図星だった私は、悔しくて悲しくて、そうだよ!なんて言えるはずもなく、無言で元希を睨んだ。はく息が白くて、手が麻痺してしまいそうなくらい寒い。心なんて、それ以上に寒い!答えないけれど、表情からよく分かったのだろう、一瞬だけ元希がバツの悪そうな顔をしたけれど、なにも言わず、無言のままに私のカバンに手を伸ばした。



「ちょっと!なに勝手に人のカバン開けてんの!」

「…これ、俺がもらおっと。」

「こら元希!」



あの人にあげるつもりだったプレゼント。似合いそうな鮮やかな水色のリボンで結んでもらった。それを元希は平然と手に取ると、ひょうひょうと問題発言。



「これ、あいつにあげるつもりだったんだろ。」

「…。」

「捨てるのもったいねー、俺のプレゼントにしろよ。」



元希は、私に好きな人がいることも、好きな相手が誰なのかも知ってる(相手に不足はあったけど、相談したことがあったから)逆に私は元希が前に野球部のマネージャーさんを好きだったことを知っているけど。そんな元希が、私の、捨てる予定のプレゼントを勝手にとって、それでそんなことを言ってる。なにを考えてるのか、分かんない。そんなにプレゼントというものが欲しいんだろうか(それならサンタさんにお願いすればいいよ!)私は取り返そうとしたけど、身長差もあるものだから、手を伸ばされればどうしようもない。見上げて、元希を睨む。



「嫌だよ!見返りないもん!」

「せこっ、見返り求めんなよ。」

「うるさいうるさいうるさい!元希のバカ!」

「…あーもー、うっせぇのはお前だろ。」



しかめ面を浮かべた元希は、それでもプレゼントを返してくれるような感じはしない。それどころか手を伸ばしてきて、ほっぺたでもつねられるのかと思って思わず目をギュウと瞑った。だけど、ほっぺたをつねられたわけじゃ…なかった。



「…っっ!」



不意に塞がれた口、思いもしない展開に、私は目を開けたけど、あまりにも近い距離に元希の顔があって、当たり前だけど、口と口が触れてるから当たり前なんだけど、恥ずかしくなって、また目をギュウと瞑った。一生懸命に胸を押し返すけど、現役野球部員、それにピッチャーでけっこう有名な元希を押し返すことなんてできなくて、何秒なのか何分なのか、時間さえもよく分かんない間、グルグルよく分かんなくて、まるで脳みそシェイクされたみたいで、よく考えられなくて…!



「…んぅ…ぅ。」



一瞬口と口が離れたかと思えば、酸素を吸い込もうとした間にまた口が塞がれて、今度はなんだか生温かいような感じのものが入ってきて、余計に苦しくて、余計に恥ずかしくて、温度が上がりすぎて、死にそうで…!そして、どのくらいの時間が経ったのか分かんないままに口がやっと離れて、私は思い切り酸素を吸い込んだ。



「これが俺からのクリスマスプレゼントっつーことで!」



目を開ければ、目の前には何事もなかったかのような…でもない、ニコニコと笑って満足そうにしている元希の顔が視界に入った。私は慌てて口を両手で押さえる(カバンがドサリと音をたてて落ちた)自分が勝手に女の子の初キスを奪ったというのに、全然悪そうにしてなくて、それどころかこれがクリスマスプレゼントなんてひょうひょうと言っちゃって…!私はふるふると震える拳を押さえるなんてこともできずに、じわりと涙が浮かんだのを拭うこともせずに、ただ喉元にこみあげてきた想いを言葉にして吐き出した!












(失恋するし!元希に襲われるし!ろくなことない!)(いいじゃん、俺が付き合ってやるから)





コメント

あれ、またまたクリスマスしてないや。
攻め榛名サンでいってしまいました。
夢主救われてないかもしれないや。
わはは、ごめんなさい!