恋のお話なんて興味はなかった。え、それって池で泳いでるお魚ですかー?なんておとぼけて言ってに頭をファイルで叩かれたくらいだ(あれはけっこう痛かった)そんな私が、そんな痛い事件から数年もしないうちに、あのひとに出会って、不思議なくらいすごい速さで私の中に入ってきて、驚くくらい私の心を埋めつくしていってしまった!不思議!ビックリ!あのひとはもしかしたら宇宙人なのかもしれない!だって、恋なんてしてもお腹いっぱいにならないって言ってた私のお腹をいっぱいにしてるんだもん(え、それはお腹じゃなくて胸だって?) 「、俺の話聞いてる?」 「…き、聞いてます!」 「(なぜに敬語)」 「ご、ごめん、聞いてなかった…ごめんなさい。」 「(可愛い奴)」 高瀬準太は不思議なひとだ。ばかみたいに廊下を走っていておもいきり転んでしまった私に一目惚れをしたと言って告白をしてきた(実際の告白ではこんなひどいこと言わなかったけど)高瀬準太といえば、野球部のエースでとてつもなく有名な男の子だ。顔はカッコイイし、運動神経もいい、クールなのかと思えば可愛い表情もときどき伺えると、部活の先輩が言っていたのを微かながら憶えていた。そんなひとが私を好きだなんて、天変地異の前触れかもしれない!そう言って告白現場で盛大に嘆いた私を、このひとは、我慢しきれずに笑って笑って笑ってしまっていた(笑い上戸なのは初めて知った) 「もうすぐ、付き合って一年だろって話。」 「あ、うん…い、一年経ちますね!」 「(だからなんで敬語…)」 「早いねぇ。」 「なんか、欲しいもんある?」 たとえば、指輪とか。なんて、優しく笑って言われたら、心臓がバクバクいって壊れてしまいそうだ!え、あ、あ…なんて言葉にならない言葉を発していたら、準太の大きくて少しかたくて、でも温かい手が私の手に触れた。思わず体が小さくはねてしまったのを、彼は見逃さなかったらしく、クッと小さく笑った(いや、そこは笑うところじゃないと思う)ここは放課後の教室なのに、二人きりだけど教室なのに、つまり学校なのだ。それなのになんだか本当に二人しかいないような気持ちになってしまうのはなぜだろう。もしかしたら、忘れ物をしたとか言って友達が教室に戻ってくるかもしれないのに。 「顔、真っ赤。」 「え、あ!だ、だって…準太がて…んん。」 「…隙だらけ。」 言葉を遮られてちゅーされてしまった…!教室なのに、学校なのに!怒りの反撃をしようと思ったけど、顔が真っ赤なのが自分でも分かっていて、それでいて目の前の準太は余裕の笑みだ(ちくしょう、カッコイイよ本当!)最初の頃はアタフタしてる面も見れたけど、最近じゃあ私がアタフタしっぱなしだ(最初の頃は準太だってドジしたり顔を赤くしたりしてたのに!)頑張ってなにか言ってやろうと思ったら、大丈夫これ以上のことはしないから、なんてニコニコしながら言われた(これ以上ってなにッ!) 「どっか行きたいとことかあったら、言えよ?」 「う、うん!」 「欲しいもんとかもな。」 「準太も言ってね。」 「。」 「(うひゃあ!)」 どうしよう。どうしよう。幸せだ、私。この幸せレベルを漫画とかみたいに表示できるなら、どれくらいなんだろうか(たぶん限界を突っ切ってるよ!)どうしよう、私、変だ。付き合ってまだ一年で、まだ私たち高校生で、未成年で親が責任もって育ててくれてる年代なのに…。これから先も準太と一緒にいられる保障なんてどこにもないのに(そりゃあ、この先も私はずっと一緒にいたいと思ってるけど)それなのにこのひとと一緒にいられたら、結婚なんかもできたら、なんて夢もいいところな夢を頭の中で描いているんだろう。一人で考えて恥ずかしくなって机に悲鳴をあげながら伏せてしまった。そんな私を準太が不思議がらないはずはない。 「、一人でなにやってんの。」 「…自分の勝手な考えに反省しているところです。」 「(また敬語だ)勝手な考えってなに?」 「秘密、言えない、ぜったい秘密。」 「(気になるし)教えてよ。」 「無理。」 「言ってって。」 「ヤだ。」 「言えよ。」 命令形だし!嫌だ、言えないよ、準太との将来を想像してしまったなんて気持ち悪すぎるし、ぜったいに変な目で見られてしまう!机に伏せたままの私は準太がどんな顔をしているのか分かんないけど、未だ伏せたままでいた。そんな私を準太が揺さぶる。 「ぜったい準太、私のこと気持ち悪いって思うよ!」 「思わねーよ、言えって。」 「…きぁ!」 顔をあげさせられてしまった!やっぱり準太も立派な男の子だ。両手でアッサリと顔をあげさせられてしまった(ついでに両手が頬にきている、なんだかひじょうに嫌な予感がする手の配置だ)まるで私の考えていること(準太について)が理解できているかのように、準太はニヤリと、まるで慎吾サンのような笑みを浮かべた!きゃー! 「言うまでキスするぞ?」 「…へ?」 「じゃー、始め。」 「(ぎゃああああああああ!)」 短い唇の微かな温もりが、離れてはまた触れ、離れては触れる。まだずっとつけられている方が幾分かマシだ(それも恥ずかしいけど!)先ほども言ったように、ここは放課後の教室だ。学校だ。みまわりと称して先生が来ることもあるかもしれないし、忘れ物をした生徒が来ることもあるかもしれない。ピンチ!そ、それになにより、なによりも、私が…恥ずかしくて死んでしまう!(わざとリップ音たててる気もするし!) 「んっ、い、言う…んんっ…言います、んぅ、言います!」 白状すると言う間に三回もされてしまった(もう、最初はこんなこと恥ずかしげもなくするひとじゃなかったのに!)ちゅーに満足してるのか、私が白状すると言ったことに満足しているのか、もうどっちでもいいよ…恥ずかしさで死ねそうだぁ私、準太はようやく縮まりすぎていた距離を元に戻すと、満足気な笑みを浮かべた。 「準太と、ずっと一緒にいられたらって…!」 「…。」 「勝手な未来を想像していたの…!は、恥ずかしい…。」 「…、かわい。」 「へ?」 私がマヌケな声をあげると同時に準太は私の腕を掴むとグィィと強い力で引っ張って、おかげで私は勢いよく準太の胸板に突進してしまって、ギュウウと抱きしめられた(わあああああああ) ----- 「なんだか私…準太のこと好きすぎて可笑しい!」 「…、俺ヤバイかも。」 「え!私のことやっぱり気持ち悪い!?」 「いや、そうじゃなくて…なんかもう手放したくない。」 「…え?」 校門を出るときに、不意打ちでちゅーされた。前方を自転車が通り過ぎていったけど、暗くてこっちは見えなかっただろう(いや、むしろそうであってほしい!)準太のことは、本当に本当に可笑しいくらいに好きなんだけど、とりあえず時と場所を考えてほしいと思った。 「俺は二年以上前から可笑しいくらい好きだから。」 「え?」 |