寒いのが嫌いだ、と彼女は言う。確かに。外を歩いていていっそう冷たい風が吹くと低い背が更に縮んでいるような気がする(そう言ったら拳を振り上げて怒っていたけど)そんな寒がりなは休みの日である今日、俺の部屋に遊びに来ている。が、俺には見向きもせず、ヒーターの前でまったりと暖をとっていたりする。おい、こら。俺を放っておくってどうだよ(別に寂しくて死にそうなわけじゃないけど)俺はとりあえず、雑誌を読みながらもチラチラとの後姿を見る(つぅか、こっちには温かい風がぜんぜんこねーんだけど)火傷しないかどうかが気になる。 「、火傷すんなよ。」 「大丈夫、しないよ。」 会話はそこでとめられてしまう。しないよ、と言われればそれ以上言いようがない。俺はまた視線を雑誌に戻した。が、やはりチラチラとを見てしまう。長く伸びた髪が微かに揺れている。触りたい、とか思ってしまった自分の思考回路を頭を振ることでどっかにやった。むしろ、背後からその小さな体を力いっぱい抱きしめたいところだが、虚しいことには彼女ではない、幼馴染なのが現実であり、背後から抱きしめたりするのはセクハラ行為というやつだ(マジ虚しー!) 「温もった。」 は十数分ぶりに俺の方を振り向いた。その表情は満面の笑顔だ。十数分ヒーターを独占していて(いや、ヒーターがを独占していたのか?)本当に温まったのだろう、はニコニコと俺に笑いかけた。立ち上がって俺の方に来て、は俺の手に触れる。彼女の手は本当に温かった。逆に、俺の手が冷たかったのだろう、ひやっ、と声をあげる。 「お前がヒーター占領してたからだろ。」 「ごめんなさーい。」 は反省しているのか(別に怒ってないけど)俺の手を両手で包む。俺の手の方がはるかに大きいから完全には包めていないけれど。それでもが俺に触れてくれるのが嬉しい。顔がニヤけてないか心配だが、そんなことよりもの手に集中していたい。あ、でも、なんかヤバイ。もやもやと込み上げてくるものに俺は気がついた。 「準、なかなか温もらないねぇ。」 「体中冷えてっからな。」 「うーん。」 ヒーターを占領した自分が悪いと思っているのだろう、は申し訳なさそうな表情を浮かべている。なんだろ、このツツいてやりたくなるような気持ち。困ってる顔を見ると苛めてやりたくなるよーな(俺はサドか、オイ)自覚しつつも、意地悪にも、寒い、とか言ってやると更にが慌てた。オロオロしているのがよく分かる。 「ど、うしよう、準、風邪ひいちゃう!」 「あー、マジ寒い。」 「どうしよう、どうしよう!」 「…何もしなくていいから、ジッとしてろよ?」 もうセクハラでも何でもいーや。俺は目の前にいる愛しい彼女を両手で包んだ。さすが、ヒーター占領していただけはある、温い。俺の突然の行動には驚いたような声をあげたが、責任を感じているのか、俺の言葉に従ってジッとしている(おいおい本当にいいのかよ)細いくせになんか柔らかいような気がして、抱きしめると思っていたよりも更に小さい気がして、微かにの心音が聞こえて、俺はを抱きしめたままゆっくりと浸るように目を瞑った。 「準、あたしカイロ?」 「一生、俺専用のなー。」 |