唐突すぎたかな。と、思わなかったわけじゃない。だけど"あたしの準太なんだから!"って言われた瞬間、俺の中の何かがパチンと弾けてしまった。人間ってのは、誰かの所有物とかじゃねーけど、俺はにならそんなこと言われてもいいかな、と思う。むしろ、言われて嬉しいし。その言葉に俺の欲しいモノはこもってないのは重々承知だ。確かには俺を慕ってるし、誰よりも信頼してるけど、その気持ちにはほんの一握りでも恋愛感情ってやつが入ってない(言ってて虚しー)けど、俺だっていつまでも"お兄ちゃん"じゃいられねーつの。



「準太、おま、たせ。」

「おー。」



校門のところで俺が少し待ってたら、が走ってやってきた。どこか警戒しているような気がする(そりゃあ、あんなことしたら誰だって警戒するだろうけど)帰るか、と言ったらは黙って頷いた。…なに、この距離感。ゆうに30cmくらい離れてるし(30cmモノサシ入る)俺は自分が眉を寄せたのがよーく分かった。そりゃあ、警戒するよな、警戒するさ。そう思いながらも自分がイラついてるのも自覚した。くそ、と思いながらも俺は手を伸ばす。



「…ぅわ!」



パシッ、と音がして、俺の手が虚しく空をきった。払われた、と気がつくのに数秒かかった気がする。哀しいのか腹立たしいのかよく分からない感情(どっちも含まれているような気がする)は自分のしたことに呆然としているようだ。瞬きさえも忘れたかのように、じっと自分の手を見ていた。なんだよ、人前で手を繋いでも平気だったくせに、なんで振り払うんだよ。その原因が自分だということをちゃんと自覚してはいるが、自分勝手な感情がイライラを募らせる(ほんと、勝手な奴だ、俺は)



、俺傷つくんだけど。」

「あ、ご、ごめん、でも。」

「でも、なんだよ。」



溜息をつきながら言葉を返すと、は顔を俯けた。すぐにあげられたが、その目には涙がじわりとにじんでいた。唇を噛み、一生懸命に俺を見る。



「準太が、変、だか、ら!」

「…あのなぁ。」



これでも一世一代の告白だったんだ、それを変だと言われてしまって平気な奴がいるか?たまに、はデリカシーがないと思うことがある(それは俺だって同じことだろうけど)俺に対してだろうけど、普通の女ならそんなことしやしねー、と思うことがある。今回だって、コレだ。好きだっつったのに、変、で済まされてしまうのはどうだ。利央ならぜったい泣いてるって。俺は再び手を伸ばした。もちろんは後退する、だけど俺は余裕での右手を掴んだ。



「マジで言ってんなら、俺だって怒るぞ。」

「っ、怒って、んじゃんかぁ。」

「それはお前が…「何やってんだ?」



に詰め寄ってたところ(たぶん、周りから見たらそう見える)で和さんの声が聞こえたので、俺は振り向いてからの手を放した。慎吾さんに、利央までいる。は俺の手が放れると、すぐさまそっちへと走り寄った。そして、利央の手を引く。



「利央、かえ、るよ!」

「え、え、!?」



自分よりもずいぶんと大きな利央の手を持ち、引っ張るようには俺の前を通り過ぎていった。止めることはしなかった、いや、できなかった。全ては自分が悪い。焦りすぎた。それも、無駄に。俺は自分に対して舌打ちをした。



「準太、らしくないぞ。」

「…なんっかもー、余裕なくて…。」



和さんの前であるけど、情けなくもため息をついておもわず額を押さえた。すでにと利央の姿は見えなくなっている。慎吾さんは、まるで人事のようにケラケラ笑って(いや、人事なんだろーけど)俺を見てる。なんか、文句を言う力もない。とりあえず、今は一人になりたくて、和さんらに軽く頭を下げて背中を向けた。頭冷やしてみるか…今なら俺、傍にいれば無理やりにでもに手を出してしまいそうな気がする(ケダモノか俺は)



「準太。」



俺の名前を呼んだのは和さん…ではなくて、慎吾さんの方だった。無視するわけにはいかず、俺はゆっくりと振り向いた。もう慎吾さんは俺のことをおかしそうには笑っていなかったけど、そんなに難しい顔をしてるみたいでもなかった。なんだろ。



はお子様だからな、難しい相手だぞ。」



そんなこと、重々分かってるっス(俺の方がここにいる誰よりもと一緒にいるんスから!)























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昨日は…マズかった。準太、ぜったいに怒ってるし、それに、きっと傷ついた。拒否なんてされたら、誰だって傷つくよね。それに、利央を無理やり連れて帰ったのはいいけど、途中でボロボロ泣いてしまって、カッコ悪かった(相手は利央だったというのに!)でも、利央はワタワタしてたけど、誰もいなかった公園につれてってくれて、利央なのに、気が利いて紅茶まで買ってきてくれた。ポンポンと頭をたたいてくれて、なんか優しかった(あたしら仲悪いのに)だけどその手は…いつもの手とは違った。当たり前だ、利央の手であって、それは準太の手じゃないんだから。



「(今日、朝練なくて助かったかも)」



けっきょく、部活になれば同じことなんだけど。あれから準太に会ってないし、話をするどころか、メールもしてない。向こうからもこない。準太は、怒ってるのかもしれない。ううん、怒ってるんだろうなぁ。なんか泣きたい気持ちだったけど、学校に行きながら泣く子も変だ、目立っちゃうよ。重たい足取りで、でも、頑張って学校に行く。



、だいじょーぶ?」



学校に着くと、最初に利央に出会った。だいじょーぶ、と利央の言葉を忠実に返してみた。なんだか、そのままお互いの教室まで一緒に行くことになった(成り行きで)利央が、なんだかあたしに気を使ってくれてるのがよく分かった。だって、利央ってすごく顔に出るんだもん。準太は変なところでポーカーフェイスしちゃうから、分かりにくいところもあった…って、あたしなんでこんなに準太のこと考えてるんだろう。ケンカ(なのかな)したからかな。歩いていたら、一歩くらい先に歩いていた利央がピタリと立ち止まった。不思議に思って、顔をあげる。利央の視線の先には…準太がいた。



「(準太…と、女の人)」



珍しいことに、準太が誰か分からないけど女の人とお話をしていた。準太、笑ってる。なぜか分からないけど、心臓がギュウッて締め付けられた気がした(なんでなんで、なんで?)あたし、変な病気なのかな。今、すっごく辛い感じがする。でも、頭とかよりも、もっともっと、胸が苦しいんだ。準太は、こっちを見たけど、すぐに女の人の方を向いてしまった。そしたら、もっともっともーっと、あたしの心臓がギュウッて締め付けられた。ボロボロとまた涙が出てきて、あたしは衝動に駆られるように足を踏み出した。



!」



利央があたしの名前を呼んだけど、あたしは立ち止まらなかった。廊下は走ってはいけません、って小学校のときから先生に教えられているけど、それでもいつも走ったりしていたけど、いつもよりももっと、本気で廊下を走った。あたしは子どもだ。まるで自分のおもちゃをとられて泣いている子どもだ。今だってボロボロ泣いちゃって、ここは学校なのに、あたしのこんな情けない姿を見てる人がいるかもしれないのに、あたしは立ち止まれないでいる。そして、あたしは、無我夢中でひっぱった。

こっちを向いて!



準太、ほかの人のとこいっちゃヤだ!



まるでママを求める幼稚園児のように乱暴に、無我夢中で準太の腕をひっぱった。こっち向いて、こっち向いて、こっち向いて!あたしじゃない人とそんなに楽しそうにしないで!ほかの人のとこにいかないで!あたしのこと、置いていかないで!あたしは子どもだ、こんなんじゃあ、準太は呆れちゃう、嫌いになっちゃう。だいたい、最初に準太を拒否したのは、誰でもないあたし自身なのに!それでも、準太があたしの傍にいないのは、嫌だ。



。」

「やだ、やだ…やだぁ。」

、顔上げろって。」



あたしの手に、手が触れた。それは利央の手でも、他の人の手でもなくて、いつもの準太の手だった。あたしは、恐る恐る顔をあげる。怒っているかもしれない、呆れているかもしれない、あたしのこと、もうすっごく嫌いになっているかもしれない。怖い。それでも、言われたから、頑張って顔をあげた。準太は…。



「俺が以外のとこに行くわけねーだろ?」



ポンポン、と頭を優しくたたいてくれる手は、やっぱり間違いなく準太の手だった。準太は、怒ってもいなくて、呆れてもいなくて、あたしのこと、嫌いになってもいなかった。今までのように、いつものように、あたしを安心させてくれた。ごめんねぇ、あたしワガママだ。少し違った準太が怖いって、思ってるのに、それでもあたしはやっぱり準太にいてほしいって思ってるんだよ。"お兄ちゃん"じゃない準太のこと、変だって言ったのに、それでもいいから、準太の一番近くにいたいって思うんだよ。準太よりも、あたしの方がもっと変なのかなぁ…。



「変じゃねーよ、俺ももな。」












((押してもダメなら引いてみろ…か、さすがは慎吾さん))





コメント

拍手のリクエストが複数ありましたので、
調子にのって第四品をしてしまいました!
今回はけっこうシリアスめですが、
(今までギャグめでいってるくせに)
最後は楽にまとめてしまいました。
まさかここまで夢主が子どもっぽくなるとは…。
楽しんでいただけたのなら幸いです。
続きが思い浮かんだ気がするので、
いづれアップできればなぁ、続きを、と!