12月24日、世間を騒がせるクリスマスイブ、だったりするわけだが…野球部で有名な桐青高校は、有無を言わさずに練習が組み込まれていたりする。去年の今日なら、ずっと練習でもよかったりするんだが、今年の今日はそれは勘弁してほしい。俺は練習が終わると片づけをさっさと済ませて部室に走りこんだ。そして自分のカバンの中にいれてある携帯電話を探る(焦りすぎてなかなか見つからないのに少しイライラしたりする)画面を開くと、メール1件、という文字が出てきた。急いでメール画面にする。



「…うっしゃ。」



一人声をあげると利央が変な目でこっちを見てきた(それが気に食わなかったので頭をたたいてやった)タケに何か文句言ってるけど、そんなのを気にしている余裕も暇も今日の俺にはない。急いで着替えて帰ろう。そんでとりあえずは急いでいてもシャワーぐらいは浴びないと(汗くさいなんてアイツは言わないだろうけど、それでも気にする俺は変なんだろうか)



「準サーン、もう帰るんですかぁ?」

「そうだよ、じゃ、お先!」



なんかブツブツ言ってるような利央なんか気にしないで俺はチャリ置き場まで全力疾走する。そしてチャリに乗って、風が冷たいのも、マフラーを巻くのも忘れて必死になってチャリをこいだ。約束の時間まで、まだ余裕はあるけど、万が一があって遅れたりしたらいけない。こんな寒い中、待たせるなんてことはしたくない。いつもより短時間で家に帰ると、俺は家族ともろくに話もしないうちに風呂場に駆け込んだ。汗だけサッと流すと適当な服(服なんて、そんな選ぶようなもんもってないし)に着替えて、またろくに話もせずに、晩飯いらねぇ!とだけ言ってまた急いで家を出た。



「あ、準サン!」

「悪ぃ、待った?」



約束の場所に行くと、はもうそこに立っていて、俺を見つけると笑顔を浮かべて大きく手を振ってくれた。滅多に見れない私服…白いニットのワンピースと赤いマフラー、白いニット帽(よく似合ってるし…可愛い)俺はにやけそうになる口元をさりげなく隠しながら駆け寄った。今日がクリスマスだということを考えて、待ち合わせ場所に街中は避けていたのだが、人通りは充分多かった(本当は迎えに行くと言ったんだけど、何度言っても断られてしまった)



「お疲れ様!」

も、お疲れ、部活あったんだろ?」

「うん、今日もマネジ業頑張りました!」



くらいの実力があれば、マネジなんてのはもったいないと思うんだけど、がそうしたいのならそれでもいいと思う。俺は、お疲れ様の意を込めての頭をポンポンと優しくたたいてみると、は俺を見上げてフワリと笑った(っっっ!)



「さ、ってと、どっか行きたいとこあるか?」

「準サンの行きたいとこでいいよ?」

「俺は、の行きたいところでいいけど。」



そう言うとは軽く腕を組んで首を傾げる(真剣に考えているみたいだ)何かを思いついたらしく、あ、と短い声と共に手をあげたが、すぐに苦笑いして下ろしてしまった。どこでもいいから言ってみろ、と俺が言うと、はおずおずと俺を見上げて(上目がっ、上目が、クる!)ゆっくりと口を開いた。



「…バッティングセンター。」



遠慮がちに言ったに、俺はたまらず吹き出してしまった(突然のことにはビックリしているようだが)だって、バッティングセンター、バッティングセンターだぜ?普通クリスマスに男女二人が行くところか?それも、俺からじゃなくて、女であるから…!マジうける、こいつのこーゆーところは何年経っても変わらないんじゃないだろうか!俺は必死で口元をおさえて声もおさえていたけれど、とうとう堪えられなくなって声に出して笑ってしまった。はまだちょっと驚いているようだったが、すぐに苦笑いを浮かべて頬を指でかいた。



「じゅ、準サン、部活で散々打ったもんね、ごめんねぇ。」

「…っふ、くく、いいぜ、行こうぜ、そこ。」



お前も散々打ってんだろうが(マネジっていっても練習混ざってるっていつか言ってたし)イベント時のデート、でバッティングセンターに行こうなんていう奴、くらいしかいねーんじゃないのかな(このバッティングバカめ…そんなとこも可愛いけど、ほんと)俺は気持ちを頑張って抑えて、笑いながらのデコを軽く押すと、は、冷たっ、と声をあげた。そっか、俺、手袋もマフラーも忘れてきた(ハイネックだからマフラーは別にいらねーけど)



「はい、準サン、伸びるから準サンでも入るよ。」

「いらねーよ、の手が冷えるだろ。」

「あたしは左手、準サン右手。」



右利きの投手だから、とは柔らかく笑って俺に手袋の右側を差し出した。そんなに気を使わなくても、寒さでダメになるようなヤワな手じゃねーよ、とも思ったけれどは断ってもそれを下げる気配はなかったので、俺は素直にそれを受け取って右手にはめた(手、ちいさいくせに手袋は大きいのはめてんだな、お前)チラリと見ると、やっぱりの右手が寒そうな気がして、俺は見えないように眉を寄せた。俺が寒いより、が寒い方が嫌なんだけど…あ、そうだ。俺は思いついて、もう一度チラリとの手を見た。そして…。



「さ、まずはバッティングセンターに行くか。」

「…うん!」



一瞬だけ躊躇しつつもの手に触れて、その小さな手をぎゅっと握ってみた。はやっぱり少し驚いたように俺を見上げたけれど、すぐに笑って少しだけ握り返してくれた。



「準サン、手、温もりそう?」

「うん、お前の手ぇ温いし。」

「あたしね、平均体温高いんだよ。」

「あー、はそれっぽいなぁ。」



手を繋いで歩いているのに、なんてことない会話。もうちょっとムードとかそういうのあってもいいと思うけど(クリスマスだし)でも、やっぱり相手はだから?行きたいところを聞けばバッティングセンターだし。手を繋いだら、手温もるか、だし…もうちょっと恋人ムードってのは生まれないもんですかネ。考えながらも、俺はまた可笑しくなって小さく声をもらしてしまう。二度目のそれは、は驚いたりしなくって、俺が思ってることなんて分かってなんてないんだろうけど(俺が何を可笑しく思ってるかなんて分かってなんてないんだろうけど)も俺と顔を見合わせて笑い始めた(あぁ、なんて心地のよい笑い声なんだろ、不思議な奴)



「飯はどうする?」

「うーんと、あたし、チーズケーキ食べたい!」

「飯の話だっつーの。」












(準サン、サンタがいたよ!)(こら、待てって、一人で行くな!)





コメント

ボク恋の夢主がもしも準サンと恋人になったら。
の、クリスマス話でした。
彼氏彼女設定なので敬語をやめてみました。
相手が誰でもきっとボク恋夢主はマイペーです。
無邪気にマイペーです。
頑張ってください、準サン!