2月2日、今日は準太の誕生日だ。節分イブ、なんて先輩たちにはからかわれているけれど、それでも先輩たちも可愛い可愛い後輩である準太の誕生日をちゃんと祝ってくれている(可愛い、なんて言ったら先輩も準太もウエッてなっちゃうかもしれないけど)そんな準太の誕生日を、野球部のマネージャーでもあり、中学1年からのクラスメートである私も忘れずにちゃんと知っているんだ。だから、1か月前からなにをあげようかってちゃんと考えていたんだ。最初は雑誌を見てみた。中学校の頃からちゃんとちゃんとプレゼントをあげていたので、そろそろ内容にも困る時期だったりするんだ。雑誌を見たり、友達に聞いてみたり、お兄ちゃんに聞いてみたり、いろいろ頑張った。彼氏じゃないのに、頑張ってみたりするんだよ。 「お誕生日おめでとう、準太!」 部活が終わって、ファミレスでのなんちゃってパーティー気分を味わってからの帰り道だった(家がけっこう近いから準太が送ってくれる)私は歩いている途中…ではなくて、公園のベンチを見つけて、一休みのときにプレゼントをあげてみた。いや、だって、なんとなく歩いているときじゃない方がいいかなぁ…なんて考えてみたりしたんだよ。なんでだろう? 「…サンキュ。」 「あれ、今の間はなんですかー?」 プレゼントを受け取ってくれた準太は、なぜか戸惑っているようにも思えた。あれあれどうしてさ。毎年あげているのに、私から貰えないとでも思っていたのだろうか?それとも、私から貰いたくなんてなかったのかな、ガーン!それならショックなわけで、私は思わず顔を少し俯けてしまった。いや、そりゃあ確かに、3年以上の付き合いであれば、ちょっとした言い合いくらいはしますよ、しますけどね…仲が悪いとは思っていないので、ショックなんだよね、もしもそうなら! 「なに落ち込んでんだよ。」 「だって、私から貰いたくなかったのかなぁ…って。」 「そんなわけねーだろ!」 もう暗くて人通りが少ないから、準太の声がやけに響いた気がした。私は慌てて顔をあげる。すると、次の瞬間、ペシリという音がした。準太におでこを軽くたたかれてしまったのだ(バーカ、とも言われた、慣れっこですけど) 「間があったから焦ったじゃん。」 「いや…なんかからは毎年貰ってるし…。」 「そうだよ、毎年あげてるからすっごく考えたんだから。」 「…そうなんだ。」 「そうだよ、1か月前から考えてたんだからね!」 ありがたく思ってちょうだいよ、という意味も込めての言葉だったんだけど、なぜか準太は黙ってしまった。あれあれ、どうしてだろう。変なこと言ったかな。冷たい風が吹いて、私は思わず身震いをする。手袋はしてるけど、今日はマフラーをしていない。今さらだけどマフラーを巻いてくればよかった。そんなことを思っていたら、なぜなのか私の首にぐるぐるとマフラーが巻かれた(あれ、なんだかこのマフラー人肌だ) 「汗…くさくないからな、それ。」 「準太の、マフラー?」 「ん。あとさ…。」 「うん?」 「1か月前から考えたとか言われるとさ。」 「うん。」 ちょっとドキドキしてる。だって、準太のマフラー、なんだか準太のにおいがする気がするんだもん(汗、とかじゃなくてね)口元まで隠れてしまっていたので、少しマフラーを下げてみた。準太は、なぜか一呼吸いれてから、もう一度口を開いた。 「なんか彼女に貰ったみたいな気分で…期待するじゃん。」 「!!!!!」 そのとき、手袋越しに準太の手の感触がした(投手のくせに手袋してないし)でも、それどころじゃなくて、なんだかちょっとどころじゃなくドキドキしてるし、バクバクしてるし。心臓が急行列車とか…ううん、新幹線並みに活動をしている気がするよ(もっともっとかも!)無防備な投手の手を、手袋したまま包んでみる。ドキドキは、さらにさらに増しちゃうのだ。 「期待しても…いいかもよ?」 次の瞬間きたのは、手だけじゃなくてもっともっと全体的な衝撃で、厚着しているせいでよくは分からなかったけど、温かい準太の体温を感じとった気がした。うん、私、今自覚しちゃったみたいだよ。 必死にいろいろ調べてみたのも。 渡すのが歩いてるときじゃなかったのも。 勝手に落ち込んじゃったのも。 全ては恋のせいだったりするのかも。 |