その日の夜、利央はに(さんざん携帯を手に煩悶した後に)メールを送ってみた。内容は大して意味のないものだったりするが、何だかんだ言いながらも、敵視しながらもはちゃんと気づいたときに律儀にメールを返す方だったりする。返信をまだかまだかと待つが、一時間経っても返事はこない。お風呂に入っているのかもしれない、と利央は思った。そう思うくせに携帯を手放せずにいる。それから二時間後、まだ返信はこない。今日の部活前のことを怒っているのだろうか、と、思ったが、そんなケンカよくあることだ。 「えぇぇぇー、なんでこないのぉ!」 "明日には身も心も準太のモノになってっかなぁ"慎吾の言葉を思い出して血の気がひいた。が、思い出したようにブンブンと首を振った。相手は慎吾じゃない、準太なのだ(つまりは、慎吾ならばあり得ると利央は思っている)大丈夫、大丈夫、と自分に呪いをかけるように言い聞かせる。だが、その日の夜にはけっきょくメールの返信はこなかったのだった。次の日(休日だが野球部は活動日) 「準サァァン!」 いつものようにグラウンドに利央の声が響いた。と一緒に登校してきた準太は慣れているのだろう、それをハイハイと流す。と準太はいつも通りのような気がする。と、いうか、他の人にはいつもと変わらないように思えるだろうけれど、利央には微妙な違和感が分かった。彼らの距離はいつもよりも5cmほど離れているのだ。それに、なぜか準太の名前を呼ぶ利央にが牙を向けない。利央の脳裏に慎吾の言葉が過ぎる。ゴクリと生唾を飲んで、利央は準太に耳打ちをする(この時点でが突っかかってこないのは可笑しい) 「準サン、、く、喰ってなんか、ないよねっ?」 利央にしては本当に小さな声だったので、には聞こえなかった。準太はそれを聞き終わると、ニッと口の端をあげた笑みを浮かべる。その笑みに利央が、ひっ、と声をあげた。 「さぁな、に聞いてみれば?」 「じゅ、じゅ、じゅ、準サン!?」 極悪な笑みに利央の頬に冷や汗が伝う。まさか、という三文字が脳裏をめまぐるしく過ぎっていく。の様子はおかしい、確かにおかしい。そうなるとすれば、もしかして、もしかするかもしれない。利央は半泣きになりつつも準太の隣にいるの肩をガシリと掴み(急なことだったのでが痛そうな顔をしたのに慌てながらも)一生懸命に言葉をつむいでみる。 「、も、も、もしかして、準サンにぃ!?」 その言葉にの顔がボッという音をたてたかのように一気に赤く染まってしまった。利央がうるさいくらいの悲鳴をあげたが、はそれを気にすることもできず、その場から物凄い速さで逃げていってしまった。ヘナヘナと利央はその場に力なくしゃがみこんでしまう。そんな彼の頭をポン、と誰かが優しくたたいた。言うまでもない、準太だ。準太は利央を見下ろし、またまた意地悪そうな、不敵な笑みを浮かべた。 「つか、やっぱ利央ってのこと好きだったんだな。」 「じゅ、準サンのばかぁー!」 |