最近、俺の一日一日は、それはもうめまぐるしく過ぎていく。学校、野球、そして…俺の気持ち…。クリスマスイブを一週間ほど前にした12月17日。俺はアイツにキスをした。それは、別にアイツのことが前から好きだとか、そういう感情が募りに募って…の行動なんかじゃなかった。だって、アイツは、は俺の幼馴染で、異性として意識なんかしてなくて、家族ぐるみの付き合いだから余計にでも妹とかそういう感じだった。それなのに、12月17日の夜、コンビニに一緒に行ってからの帰り道、また明日と言ってお互いの家に戻ろうとしたとき、俺はにキスをしたんだ。月を見上げるの顔が、妙に心を惹きつけて…。だけど。



「メリークリスマス準太ぁ!」

「…メリークリスマス。」



パンパーン、とけたたましく音を発するクラッカー。24日の今日、俺の家である高瀬家と、の家である家が合同でクリスマスパーティーなるものを高瀬家で開催した(おいおい、俺ら高校生だっつーの)弟は部活でクリスマスパーティーなるものがあるらしく、欠席だ。俺は明日野球部で集まるけど。は参加していて、今、まさに今、俺に向けてクラッカーを放った(やめろ)あの日、俺がなにも言わずにキスをしたというのに、にはまったくといって変化がない。俺も俺で、その後、平然を装って普通に、じゃあ、とか言って家に戻ってしまったけど。それからまったくもって、なにもないのだ。普通なら、もっと怒ったり、戸惑ったり、そういうのがあってもいいと思う。なにもないのだから、俺もなにも言っていないし…。



「準太、この間私キャンドル忘れてたでしょ?」

「あぁ、あれなら俺の机の上に置いてるけど。」

「勝手に取ってきてもいい?」

「いーけど。」



やっぱりは普通だ。もしかして、俺がキスしたことに気がついていないとか…いや、さすがのでもそれはないだろう。怒りを通り越して、どうでもよいとか…それは少しまずい気がする。俺はガシガシと頭をかいた。からの反応がないだけに、俺は身動きがとれないでいる。今まで家族のように思っていたのは間違いない。普通に昼寝とかしてたし、中学校の頃には寝泊りしてたこともある。だけど、今は…違う。あのとき俺はに心揺さぶられ、今までと違った気持ちに気がついた。最初は戸惑ったけど、今なら自覚してる、俺はが好きだってことだ。



「準太ー、よく食べなさいよー!」

「そうよ準太くん、男は強くたくましく!」

「(酔ってんなぁ、二人とも…いや、みんなか)」



気がついたら、酒が飲めない俺と以外いい感じに酔っているみたいだった。戻ってきたも同じことを思ったらしく、苦笑していた。このままでは俺の家で布団にももぐらず寝てしまうと思ったのだろうか、もうすぐ11時になるところで、は自分の両親を半ば強制的に引っ張って、クリスマスパーティーなるものはお開きとなったわけだ。



「(…また、なにも言えてないし)」



が帰っていってから、俺は心の中で落胆する。風呂に入ってからいろんな意味で疲れた気がするので、歯を磨いてすぐにベッドにもぐった。実は机の引き出しには、へのクリスマスプレゼントがあったりするんだが(パーティーのときに交換という名目であげた適当に選んだものとは違って、一生懸命考えたやつ)それもあげてない。そもそも、親の前であげるわけにもいかない。まさか、いくら隣の家であろうとも忍び込んで置いておくわけにもいかないし。ベッドに入ってもいろいろと考えていたら、カーテンが閉まっていない上に、窓の鍵もかけていないことに気がついた。寒いと思いつつも閉めてから、またベッドに戻る。それでもまだ考えてる俺、いつの間にか日付が変わりそうな時間になっていた。寝よう、と思っていたとき、微かな音が聞こえた。気のせいかな、と思っていたけど。

―――ガチャガチャ!



「まさか、泥棒じゃねぇよな…。」



どう考えても窓を揺さぶっているようにしか思えない(とりあえず、窓を閉めにいってよかった)でも、このまま放っておくのも危ない気がするので、恐る恐る窓に近付く。そして、俺はカーテンを開けた!そして、目を見開いた。



!?」



驚くことに、そこにはがいた。足場はあまり大きくはなく、危ないからすぐに窓を開ける。もう他の奴らは寝てるから、極力小さな声で、俺は声をあげた。



「なにやってんだよ、危ないだろ!」

「だって、準太の部屋、窓閉まってるんだもん。」

「当たり前だろ、普通閉めて寝るっての!」

「せっかくパーティーの途中で開けたのに!」



もしかして、キャンドルを取りにいったときに窓を開けたんだろうか?それにしても、なんで?はなんだかあんまり大きくはないけど、綺麗に飾られた袋を持っていて、どこか不満そうに頬を膨らませている。



「0時になったら準太のサンタしようと思ったのに!」

「はぁ?」

「…作戦失敗、せっかくプレゼント二個用意したのに。」

「作戦って、なにしてんだよ、寒いだろ。」

「準太が温めてくれれば、寒くない!」



えい!と、なんだか勢いをつけてが俺に突進をしてきた。ドンという効果音があった気がするが、俺は予想外のの行動に心臓が跳ねた気がする。自分の腕の中にすっぽりとうまってしまう、今まで思ってたよりもずっと小さなの体。俺の気持ちなんて知らないだろうは、簡単に揺さぶりをかけてしまう。俺は密かに生唾を飲み込んで、思わず肩を掴みそうになってしまう手を重力に従わせる。



「早く離れないと、またキスされても知らねーぞ。」

「…いいよ。」



俺は、もう一度目を見開いた。驚いたままを見ると、電気ついてなくて暗くて、よくは分かんないけど、月明かりで微かに見ることができる、は少し笑ったかと思うと、すぐに顔を下に向けてしまった。けど、俺の服をギュと握った。うわ、となにかボルテージが上がった気がした。下に向けてしまったの顔を、頬に手を当ててあげさせる。そして、ゆっくりと…。



「…メリークリスマス、。」

「…メリークリスマス、準太。」



口が離れると、俺は平然を装って、何事もなかったかのように言ったけど、やっぱりどこか言葉が震えたように聞こえたかもしれない。応えるの声も、どこか緊張しているように聞こえた。クリスチャンの学校のくせに、神様とかあんまり信じてなかったけど、今日だけは、なんだかそれに感謝したい気持ちになったりする(信仰があいまいな男でスンマセン)












(…なんなら、一緒に寝る?)(なにもしないと言うならば)(…そんな保障はないかもしれないけど)





コメント

おお振りクリスマスでは最後になってしまったんです。
が、なんだか一番わけわかんないのになった気が。
夜中に窓から侵入、っていうのがテーマ。
けど、侵入失敗してる、入れてもらってるし。