1. だ ま さ れ た ! ![]() だいたいこの親は自分勝手すぎるんだ!俺のことをよく秋丸が、自分勝手とか俺様とか言うが、俺よりも、俺を生んだこのハハオヤの方が自分を中心に世界をまわしているに違いねぇ(でも、まぁ、ケガしたときのフォローには感謝してる、が、それとこれは別もんだ!)俺は短く声をあげて、自分でもマヌケだとは思うが飲みかけていた牛乳を思わず落としそうになった(牛乳パックごと) 「なんだって?」 「だから、同居人が今日来るからね。」 こいつは悪びれもなく、素直にもう一回言いやがった。だから、なんだって?同居人が、なんだって?つか、今、今日とか言わなかったか?今日って急じゃねぇかって…おい、今日だとぉ!俺はまた落としそうになった牛乳をとりあえず、テーブルに置いた(落としちゃたまんねぇ)目の前にいる俺の母親は俺の慌ててる様子にも落ち着いていた。親父は仕事でいねーけど、同居人のことはちゃんと知っているらしい。姉貴は、大学に入ったときに家を出てるからいねーし(だから今空いている姉貴の部屋を明け渡すらしー) 「俺、聞いてねーんだけど!」 「言うの忘れてたのよね。」 俺は、おうぼうだ!と言ったが聞き耳もたねぇ。今度、秋丸が俺に向かって、横暴だとか自分勝手とか言っても、こいつよかマシだと言い返そう、そうしよう。だいたい、その同居人っていうのが、女だっつーことに信じられねぇ!俺は男だぞ、分かってんのか(知らなかった、とか言われれば、もう言い返す気すらなくなるけど…さすがの俺も) 「あぁもぉ面倒くせぇ。」 小さな声で言ったつもりが、聞こえていたらしく、俺はほっぺをいきなり手でつままれてからギュウとひねられた。いてぇ!目の前の奴は笑顔を浮かべてはいるものの、オーラが黒い。怒ってる、怒ってる(このままじゃ俺の夕飯が危うい…!)俺はほっぺを解放された後、観念して、あぁもぉ好きにしろ、とだけ言ってやった。すると、あーよかった、そう言ってケロリと黒いオーラをなくして、こいつはいきなり携帯電話をいじり始める。そして。 「もぉいいわよー、入っていらっしゃい。」 はぁ?と俺は本日二度目の声を出した。携帯電話の通話が終わった後、リビングのドアが開く。ぎぃ、と音がした。そして、そのドアの隙間から誰かが見えた。その誰かは、ゆっくりとここに入ってくる。長い濃茶の髪の毛が、効果音をつけるんなら、サラリと揺れた、気がした。 「はい、今日からうちに住む、ちゃんです!」 「…はじめまして、です。」 なぜだか知らないけど、一瞬の間の後に、にこっと俺に笑いかけたその子は、俺が前に失恋した(いてぇ思い出だ)宮下先輩に負けず劣らずの可愛い子だったりする。俺は一瞬、きっと、呆けてた、と思う。が、慌てて正気を取り戻して、とりあえずは頷いておいた(頷いてどうする!)それにしても…可愛いじゃん。こんな子とひとつ屋根の下っていうのは、オイシイかもしれない。面倒だと思ってたけどこの同居、こりゃあマンザラでもないな。俺は密かに口の端をあげた。 「(上手くいきゃあ…マジ、オイシイかも)」 ----- その日は親父も仕事を早めに切り上げたらしく、早く帰ってきた。なんでも(もう呼び捨て)の歓迎会みたいなのをするとかって、母さんは張り切ってキッチンに立っている。それをも手伝っているらしい。俺は午後部活で学校に行ってたけど、早く帰ってこいって言われてたからいつもの自主練はやらずに帰宅した(少しくらいはしてきてもよさそうだったな)部活では秋丸に、ニタニタしてて気持ち悪い、と言われた。そんなにニタニタしてたつもりはねー(失礼な!)ムカついたから今日の出来事は話してやらなかったりする。 「榛名くん、ご飯にしましょうって。」 ノックを二回して、遠慮がちに入ってきたは両手で何かを抱えているようだった。俺は、その黒っぽい物体に視線を注いでしまった。それに気がついたのか、はそれを持った両手を前に伸ばした。それは、黒い猫だった。俺が何かを言おうとしていたとき、さっきのノックとは比べ物にならないような乱暴なノックが聞こえて、今度は母さんが入ってきた。 「元希ー、来ないなら食べちゃうわよ。」 「行かねぇとは言ってねぇ!」 どうやら、その黒い猫は、以前からが飼っていた猫らしい。猫っていうのは、自由気ままで性格が悪いようなイメージがあったけど、この猫は大人しいようだ。ときどき、に話しかけるように、にゃー、と鳴くくらい。飯だって大人しく、なんか、それこそ上品に食ってる。お魚くわえたドラ猫〜のイメージとは180度違うらしい。 「あー、本当、ちゃん可愛いわぁー。」 「そうだなぁ、華がなくなってたから丁度よかったよ。」 なんだソレ。俺じゃお前らは不満だっつーのかよ。つか、酒飲みすぎじゃないか?明日両方とも仕事休みだっていっても、一升瓶あけることはなくね?(俺はぜってーこんな大人にはならないようにしよう)の方を見ると、こいつらに合わせるようにニコニコと笑ってる。合わせなくていいって!飯が終わってもこいつらは酒を飲むことをやめる様子はない。俺は、しょーもねー、と思いながらも立ち上がり、ただ穏やかに笑顔を浮かべて見ているの肩をポン、とたたき、上に行こうぜ、と言った。 「たまにしかねーんだけど、長いんだよ飲みだすと。」 「そうなんだ。」 「酔いがひどくなると絡むし、やってらんねーっての。」 俺は階段をのぼり、自分の部屋のドアを開けた。パタン、と閉まる音を聞いてからハッとする。なんか俺、自然の流れでを自分の部屋に入れたような気がする…。振り向くと、案の定、どうしたらいいのか分からないような顔をしているがいるわけだし。きちんと飼い主の後ろをついてきた猫もいる。 「あ、わりぃ、つい俺の部屋に連れて来ちまった。」 「あぁ、うん、別に構わないけど。」 長い髪を耳にかける姿を見て、ちょっとドキッとした。これからは、もしかして、もしかしなくても、こういう二人きり(今は下に親がいるけど)の状況があってもおかしくないわけだ。オイシイ、オイシイ。こういう思春期っていう時期に女の同居人を認める親が常識的には信じられねーけど、まぁその辺はどうでもいー。健全男児の心を出さないように気をつけて、俺はに笑いかけてみる。はニコリと笑い返して…。 「その笑顔、いやらしーよ。」 は?俺は自分の耳を疑った。今、こいつはなんつった?俺が何も言えない代わりに、猫が、にゃー、と鳴いての足に擦り寄る。はその猫を両手でそっと抱き上げてから、また俺を見て、キレイな笑顔を浮かべた。けど。 「ごめん、言葉に出てた?」 「…出てた。」 「そっか、つい本音を言っちゃった。」 ペロリと舌を見せた(そんな仕草が可愛い、って違ぁうー!)こいつ、さっきまでと態度違わないか?俺のこと、いやらしーって言ったよな?(しかも笑って!)俺は状況についていけず、一瞬頭が真っ白になってしまった。可愛くて、問題のなさそうな女だと思ってたのに、どういうこった!は猫を右手で優しく撫でている。そういうのを見ると、誰だって騙されそうになると思う!つーか、俺、騙された? 「改めまして、よろしくね、いやらしー榛名くん。」 「…てめぇ…それが本性かよっ。」 「ヤだな、人を選ぶだけだよ、他の人には普通だもん。」 瞬間、俺はオイシイとか思っていた自分を大バカ者だと思えてしまった。可愛い顔して、というのはこういう奴を言うに違いない。そんな奴に抱えられている猫が、俺の方をじっと見ていることに気がついたので、反射的ではあったが俺も見返した。すると、つーんとするように猫はすまして目を逸らしやがった!さらに俺のストレスゲージがあがる。 「てめ、母さんらにバラしてや…って何触ってんだよ。」 「ふーん、榛名って、この人好きなんだ?」 人の机の上を触っていたかと思うと、は一枚の写真を手にして、それを俺に見せてきた。何事かと思って俺はそれを見る。それは、野球部の奴らと撮った写真だ。俺が、宮下先輩の隣りにさりげなく入れて…って、あー!あー! 「黙っててあ げ る、お互い様だね!」 バチンとウィンクを決めて、は写真を机に置くと俺の部屋を出て行った。パタンとドアが閉まった音がして、俺はその場にヘナヘナと座ってしまう。なにが、黙っててあ げ る、だ!そりゃ、黙ってりゃマジ可愛いよてめー(ウィンクなんてするんじゃねぇ!)でも、許せねー、いつかギャフンと言わせてやる!俺は逆襲に燃えながらも、とりあえずは、無防備に机の上に置かれていた写真を引き出しの奥にしまうことにした(別に今は宮下先輩のことを好きだと思ってないけど)あーもーちくしょう! お決まり小悪魔? (だ ま さ れ た !) アトガキ 途中まで考えてたけど始まらず…。 きゅうきょ榛名サンBD夢にして頑張ることに! こんなヒロインははじめてかも。 別に性格の悪い子にするつもりはないんですけど。 ちょっと事情があって…みたいな。 重たい事情じゃないですけどね。 少しずつ榛名サンと仲良くなってもらいたいもんです。 主人公はどちらかというと榛名サンぽいかも。 B館の笛のLODGERを榛名サン版で考えてみました。 |