3.

















月曜日(今度は間違いない)野球部の朝練の日で、俺は六時に鳴り響いた目覚まし時計でちゃんと目が覚めた。と、同時に隣りの部屋の同居人、も目が覚めたようだったが。怒ってるようすもなさそうだったので、まぁ、いーとしよう。今日も牛乳を猫にやっていたが、猫用に母さんが買っていたようなので(俺のは金が、とか渋るくせに喜んで買うのが信じらんねー!)俺はもったいないと思いながらも何も言わずにいた。



「で…何でお前が一緒に登校すんだよ。」

「仕方ないでしょ、学校の場所分かんないんだもん。」

「知らねーのかよ!」

「うん、だから仕方ないの。」



仕方ない、仕方ない、連呼すんじゃねー!俺と一緒に登校ってのが仕方ないみたいじゃねーか(そうなんだろうけど、ちくしょー!)だいたい俺は朝練があるんだけど、と言うと、あたしには関係ないから大丈夫、とか言われたし。あーもー、お前ってほんと俺にはイイ性格だよな!そう思いながらもの制服姿(膝上のスカート)をナカナカとか思ってる俺もいるわけだ。ほら、健全男児だし。



「行ってくるねー、モト。」

「部屋荒らすんじゃねーぞ、猫。」

「大丈夫、榛名の部屋はもともと汚いから。」

「…てめ。」



ムカつくことに猫は、の言葉だけに、にゃー、と返事を返しやがった。このヤロウ。俺は家を出て、自転車置き場からチャリを出した。そのようすを見ているだけの



「お前もボーッとしてないでチャリだせよ。」

「うん、あったらねー。」

「はぁ?」

「自転車、まだないの。」

「はぁ?」

「だから、乗 せ て。」



…お前、その言い方誰に習ったんだよ。俺はガックリと肩を落としつつも、嫌だとは言えないで荷台にのカバンも入れた(もしかして、もしかしなくても、俺って実は甘い奴?)を後ろに乗せてチャリのペダルを踏む。何も言わずに発進したからか、は短く声をあげて、俺のシャツを強く掴んだ(思い切り引っ張られた感覚がした)



「こら、シャツが破れるだろ!」

「だって、榛名が黙って発進するから!」



普通シャツじゃなくて腰とか持つだろ、とか思いながら俺はピンときた。そういえば、昨日も上半身が裸だとか言って顔を逸らしてたっけコイツ。もしかしたら、こういうのに慣れてなかったりして(こんな顔して免疫ないとか)俺はニッと笑った。そして片手を放すと、その手での手をとって俺の腰に手をまわさせた。



「わっ、な、何するの!」

「純情なチャンは腰に手もまわせないんだなー。」

「…ムカッ、このっ!」

「い、だだだだだっ!てっめぇ落とすぞ!」




途中ヨロヨロしながらもなんとか無事に学校に着いた。が余計なことをするから、いつもより時間がかかってしまった。グラウンドでは一年生が既に整備に入っていた。駐輪場にチャリを置き、俺は部活に向かおうとしたが、の存在を思い出した。そういえば、こいつは場所知らないから俺と一緒に早く来たけど、学校がまだ始まってないっつーのに、どうするつもりなんだ?どうすんのか聞こうと思ってたとき、誰かが俺を呼んだ。



「おーっす、榛名。」

「うっす。」



秋丸だった。秋丸はに気がついて、目を丸くしてから、誰!と聞いてきた。俺と一緒にいたから、もしかしたら彼女だと思ったのかもしれねー(見た目は申し分ないけど、中身が小悪魔だからな)は秋丸に気がつくと、笑顔を浮かべてペコリと一礼をした。見てくれはいーから、さすがの秋丸も一瞬かたまってたけど、思い出したように慌てて一礼した。なにやってんだ、こいつら。



「榛名榛名、誰?」

「誰って言われても、。」

「はぁ?」

「だから…って、お前、なにだったっけ?」

。」

「そう、!」



普段呼んでるから名字忘れてた。思い出した俺はポンと手を打って秋丸に改めて教えてやった。秋丸は慌てて、秋丸恭平です!といつもより早口に言った(なに緊張してんのコイツ)騙されんなよ、こいつ中身は小悪魔だからな!と言いたいけれど言えないのは、まぁ、事情があるわけで。



さん、朝練見学するの?」

「ううん、特に何も考えてないの。」

「お前はやっぱり何も考えずに家出たのか!」

「学校分からなかったんだから、仕方ないでしょ。」



また、仕方ない、って言いやがった(今のは俺に対してじゃないだろうけど)いい加減に朝練に向かいたいが、一時間こいつを放って置くのも気が引ける、なぜか、気が引ける。そんなこんなしていたら…。



「榛名、秋丸、早く行かないと遅刻だよ!」



背後から名前を呼んだ人物は…!俺は慌てて振り向いた。相変わらず、可愛い人だな、ほんと、って、落ち着いてる場合じゃない。は、というと現れた人物をこころなしかジーッと見ているような気がする(さりげなくではあるが)ちょっと待って、こっちにこないでください!って思いも虚しく、先輩は駆け寄ってきた。



「あれ、榛名の彼女?」

「違います。」



俺に聞いたはずなのに、の方が先に答えた(ムカつく)ショートで黒髪の先輩と、ロングで茶色っけのある髪のが並ぶとなんかいいバランスに思える(見た目は、片方しつこいようだが小悪魔だけど)は先輩を見ると、またも笑顔を浮かべて一礼した。律儀に先輩も返す。



、二年生です、お名前聞いてもいいです?」

「あ、宮下涼音、三年です!」

「宮下、先輩ですね。」



は宮下先輩の名前を言いながら、こっちを見てきた…ような気がする(予想通りの展開に冷や汗が出てくる)今は別に好きとかじゃねーんだよ!と言っても、前は好きだったんでしょ、と言い返される気がしてならない。いや、ぜってーそう言われる。俺は、無防備に机の上に置いていた自分を恨むんだ(やっぱ机の上くらい少しは掃除するべきか…)



ちゃんでいい?」

「はい。」

ちゃん、本当に榛名の彼女じゃないの?」

「はい。」



その笑顔がなぜか突き刺さるような気がしてならないんデスが…。秋丸からの視線はあえて無視しておいた。俺も宮下先輩の言葉には、違う、って答えるつもりだったが、なんかこー、笑顔で丁寧に言われてもムカつくな(つーか、こいつにムカつかないことなんて、これからあるんだろうか)俺はこの場から早く抜け出したい気分だった。



さん、朝練見ていったら?」

「え?」

「そうだね、時間あるなら見ていったら?」

「あ、いいんですか?」

「もっちろん。」



秋丸の提案に宮下先輩も乗り気だ。俺だって、それを考えなかったわけじゃねーけど(だって一時間ブラブラさしとくのもなんだし、母さんにバレたらぜってー怒られる)俺以外の奴にはふつーのにちょっとイライラしながらも、とりあえずは朝練に向かうことにした(つか、俺はなんだってこんな仕打ちを受けてるんだ、こいつから)しかも、宮下先輩の名前がバレたし…。



「榛名、朝練でも投げるの?」

「何で俺が投手なの知ってんだ?」

「当たり?自己主張の激しそうな投手っぽい顔してる。」











(それは、どーゆー顔だ!)




アトガキ

何だかんだで仲良し感な二人。
二人乗りは危ないのでやめましょう。
二人乗りの最中に榛名サンが痛がってるのは、
きっとちゃんに骨を掴まれたからです。
次は学校生活を書いてみましょ。