4.


















「榛名榛名、お前、ほんっと羨ましい奴だな!」



あー、ほんとウゼー!俺は下心丸見えで話しかけてくるクラスのヤロウ共を追い払うような仕草をする。センコーがいなくなった瞬間、これだ。俺は教科書を借りに行きたいんだっつーに!それなのに飴にたかるアリのように寄り付いてくる奴ら。それもすべて、よりによって俺のクラスに入ってきやがったのせいだ!しかも包み隠さずに事情があって俺の家に住んでいる、なんてセンコーが言ったもんだから、クラス中の興味関心が俺らに向いてしまった(で女子どもに囲まれている)



さん、可愛いー!」

「榛名、まさか手ぇだしてないだろうな?」



マジ、ウゼー。冗談で押し倒して組み敷いた、なんて言ったらどんな反応が返ってくるだろうか(想像しただけで怖かったので、とりあえず、命惜しさにやめとこう)は本当、俺以外にはあんな性格は見せないようで、ここではフツーにしてる。つーか、俺に対してのあの態度はなんだ。俺、まだ何もしてなかったっつのに!追い払っても追い払っても寄ってくるヤロウ共に、さすがの俺も諦めて、教科書を借りに行く気もなくなって机に突っ伏した。いつもなら思わないけど、早く授業を始めてくれ…。



ー、次移動教室だよー、教えてあげるから行こ!」

「あー、待って、要るもの何?」

「教科書と筆箱だけでいいよ、ちゃん。」



気がついたときにはは既に何人かと仲良くなっているようだった。女子の中でもリーダー的な奴と一番先に仲良くなったらしく、他の女子たちとも仲良くやっているらしい。できたばかりの友達と笑い合ってる姿を見て、クラスの男共がなにやらニヤニヤしている。お前ら騙されてんだよ、と思いながら俺はそいつらを鼻で笑ってやった(そしたら教科書で殴られたから、やり返してやった)



「榛名ー、俺らも行こーぜー、遅れっぞ。」

「おー、今行く。」



野球部の朝練見学も、すごい騒ぎだった。榛名の彼女か!と誰もかれもが俺に何かを言ってきた。その度に、やっぱり俺よりも早く、が否定するのでイライラは口にできるもんじゃねー。始まったときも、なんか妙にみんなカチコチしてて、十五分くらいまともな練習にはならなかった(マジ、ウゼーぞ!)それでもが真剣に練習を見ているのに驚いた。練習なんて見ていて面白いもんじゃないだろうに。それでも、やっぱり三ヶ月でもどっかの野球部マネジをしていたことはあるのか、最後まで真剣な顔して見てた。



「…で、お前とペアかよ。」

「それはこっちの台詞です。」



三時間目の化学はどうやら実験の時間らしい(座ってダラダラと黒板写すよかマシだが)なぜか俺はと組むことになってしまった。顔を見合わせたら、はまた笑ってサラリと言い返しやがった(こ の ヤ ロ ウ)黒板には実験の手順、とやらが書かれている。正直言うと、何がどうなって、どうすればいいのか、サッパリ分かんねー。俺が首をひねると、は俺を見ておもむろに溜息をつきやがった。



「ペア組んだからには、ない頭をフルに活用してね。」

「お前はほんっとに、ムカつくな。」

「ありがと。」



ほめてねぇ!



「センセー、榛名クンが真面目にやってくれませーん。」

「てっめぇー!」




















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そんなこんなで昼休み(いつもより疲れてるのはなぜだろーか)俺はやっと昼飯という安息の時間につくことができる。弁当のふたを開けると、なんか今までよりもおかずの種類が多いような気がしたが、次の瞬間、その理由が分かった。俺の弁当があるってことは、の弁当もあるってことだ。俺だけじゃなくての弁当が追加されたから、母さんが無駄に張り切ったんだろうけど…。



「そういえばさ、ってさ。」



同じ教室で食べているからか、はたまた、食べている場所が比較的近いからか、のグループの話し声が聞こえてくる。はたぶん、俺と同じ中身の弁当を広げてその会話に交じっていた。



「何で榛名くんのお家に居候してるの?」

「両親が海外に行ったからってのは聞いたけど。」

「榛名くんと、もしかして、親戚とか?」



話の中心であるはべつだん困ったような顔をせずに、玉子焼きを口に入れた。聞き耳をたてるわけじゃないが、俺はその会話を聞いている。だって、俺だって気になるわけだ。俺とが親戚だっつーことは、たぶん、ないと思う。それなら俺だって少しは知っているはずだし。俺は唐揚げを口に入れて、の答えを待った。は俺とは親戚じゃない、と答えた(そりゃそーだ、俺もそんなことは聞いてないし)



「あたしの親、駆け落ちで一緒になったから、お互いに頼れる親戚なんていないんだよね、だから、幼馴染だったおばさんしか、お母さんは頼めなかったんだって。」



へぇ、と声があがる。俺だって初めて聞いた事実だ。の両親が駆け落ちだっつーことは、母さんからも聞いていない。そりゃあ、大きな声で言うことじゃねーけど(その割にはは平然と言っていたが)弁当を食う手がとまっていたらしい俺に、一緒に食っていた奴らが不思議に思っていたらしいが、俺はその日にのことをいくつか知ることができた(そうは言っても、俺は別にどうしても知りたかったわけじゃないからな!)ひとつは、んとこには頼れる親戚がいないこと。ふたつめは、の母さんと俺の母さんが幼馴染ってこと。みっつめは、の両親は海外にしばらくいなきゃいけない(だから俺ん家に居候してる)ってことだ。なんか、今日の昼休みで情報がけっこー入った気がする…って。



「(俺は別にのことを知りたかったんじゃねぇ!)」



突然立ち上がった俺に、周囲は驚いたような顔をして、大丈夫か?と聞いてきた(俺はおかしくねぇっつの!)あまりにも言われるもんだから、体調不良!と言って弁当だけ持って移動することにした。行き先は屋上、そしてそのまま五時間目の英語をサボることにしよう。











(逃げたんじゃねーからな!)




アトガキ

うわぁ、なんか榛名サンが弱い?
今回はちゃんとの絡みが少ないです。
次回はおおいに絡んでもらいましょう。