6.


















「お前、いつチャリ買うんだよ。」

「暇なときかなぁ。」



それっていつだよ、と思いながらも俺は今日も行き帰りチャリの後ろにを乗せている。相変わらず腰とか持とうとしないから、からかって持たせてやると背中をたたかれた(昨日は俺にケガがないかすっげー慌ててたくせに!)だけど、不覚にも、顔を赤く染めるが可愛い、とか思ったりして…小悪魔に騙されてるだけだ、と必死に自分に言い聞かせた。昨日は自分の変な気持ちも迷いも不本意ながら感じてしまったけど、今日の朝にそれはもー気持ちイイくらいに吹飛ばされてしまった。だって、こいつ、俺が起きねーからって分厚い本で殴りやがった(辞書だった気がする、殺す気かぁ!)



「ちょっと揺らさないで、危ないから!」

「いっそ転がってしまえ!」



吐き捨てるように言ってやると、またも攻撃をくらった(揺らしたら怒るくせに、揺らす原因はぜってーお前だ!)くそぅ、と思いながらも俺はチャリをこぐ。今は季節が春だからイイけど、夏になったら登下校も地獄に近い。夏になってもコイツが後ろに乗ってるなんてことになったらどうする…いっそのこと揺らして落としてしまいたい!と、そんな半ば無理なことを考えながらこいでたら、いつの間にか学校に着いていた(はまた飽きずに朝練を見ていたりする)



「で、辞書で殴られた、と。」

「そーだよ、あの女マジありえねー!」



朝練終えて学校が始まる。時間があったから、秋丸と話をしていた。秋丸に口止めしながらも、今日の出来事を話した(ついでに初めから全部話してやった)俺は秋丸が別に驚かなかったことに驚いた。だって、あいつ、俺以外の奴の前では大人しくしてると思ってたし!それに秋丸は俺が必死になって身の危険性を話しているというのに、笑ってるし(ムカついたから蹴飛ばしてやったけど)



「だいたい最初にさ、笑顔がいやらしー、だぜ?」



そこからしてありえねーだろ!と俺は拳を握って力説をしたが、秋丸は笑うばかりで話にならねぇ(もう一発蹴飛ばしてやった)思い出して腹立つ!俺の爽やかな笑顔がいやらしーってどうよ。俺がそう言うと秋丸はムカつくことにますます可笑しそうに笑ってる。お前、もしかして蹴られたいんじゃねーのか?秋丸のマゾ気を疑って、次は蹴飛ばさないでやった。少し引いてしまった俺に、今度は秋丸が蹴りをかます(なに考えてるんだー、とか言いながら)



「そんときにいやらしーこと考えてたんじゃないの?」

「考えてねーよ!二人きりなんてことがこれからあるかもしんねーな、とは思ってたけど。」

「…充分いやらしーし。」



なにをぉ!と思い、今度は迷うことなく蹴飛ばしてやった(思い切りやったので秋丸が派手に転げた)二人きりになれるかも、が、なんでいやらしいのか分かんねぇ。別に押し倒してーとか、そーゆーの考えてたわけじゃねぇじゃん。思い出してまた腹立たしくなってきたので秋丸にいろいろと喋ると、秋丸は、俺に当たるな、とか言いやがった(当たってねぇ!)まだ言い足りねぇが、そうこうしているうちにチャイムの音が聞こえてきたので、俺たちは慌てて自分らの教室へと向かった。



「じゃあ、教科書の21Pを開いて。」



昨日、いろいろあってと数学の宿題をやった甲斐あって半年振りくらいにセンセが俺を褒めた(別に褒められたかったわけじゃないが)だが、昨日のの授業は思った通りビシバシしたもんだった、思い出して冷や汗を流しそうになる。可愛い笑顔を浮かべて突き刺さるような言葉を言ってくるもんだから、心臓に悪いっつーもんじゃない(そりゃあ説明を頼んだ俺が目の前で眠りこけたのは悪かったけど)まぁ、そういう風にいろいろあって一時間目から調子のイイ俺は残りの授業も無難に過ごすことができた。英語で当たったりしたから、運がイイのか悪いのかは定かじゃないけど。



「(の奴、なんか眠そうだな)」



六限の現国のとき、偶然視界に入ったは珍しいことに眠たそうにしていた。基本真面目らしいアイツは、授業中にウツラウツラすることさえない、と思う。俺も眠たかったわけだが、なぜか分かんねーけど、を見てて、自分が寝るとか考えてもいなかった。授業が終了すると、俺はなにか言ってやろうと思っていたけど、俺よりも先にアイツの友達が話しかけにいった。話をするは、普通に戻っていた(なんで俺、気にしてんだろ)



「榛名ー、部活行くぞー!」

「あ、おぉ。」

さんも行こうよ、宮下先輩が誘ってこいって。」



今日は秋丸のクラスの方が終わるのが早かったみたいで、授業が終わるとほぼ同時に俺のクラスに来た。しかもも部活に連れて行くらしい。アイツも突然の誘いに少し驚いていたみたいだが、行く、と言い出した。くそ秋丸、いらねーことを!



「じゃあ、十分休憩!」



なんだかんだ言っても練習は真面目にやらねば!は宮下先輩に言われたのか、自発的なのか、なんだかマネジみたいなことをしていた。前の学校でマネジを少ししていたというだけあって、宮下先輩は助かってるみたいだった(たまには役にたつんだなお前も!)俺と目があうと、ベーって感じで舌をだしてみせる。お前はガキか!反射的に俺もし返してたけど。タオルをもらい、ダラダラ流れる汗を拭く。加具山先輩と秋丸とくだらねー話をしていたら、秋丸が、俺の肩をたたいた(こらもっと優しく叩け、殴りとばすぞテメー!)



「ねぇ、なんだかさん調子悪そうじゃない?」

「あぁ?」



秋丸に言われてを目で探そうとしているときだった。宮下先輩の悲鳴が聞こえてきた。慌てて俺はそっちの方を見る。



ッ!?」




















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突然倒れたを、俺は慌てて保健室に運んだ。ビックリしててなにも考えてなかったけど、を横抱きにした瞬間、その軽さにまたビックリした(女って軽いんだな)保健室のセンセにみてもらうと、結果は"寝不足"と、いうことで…。俺は呆れてものも言えなくなった…正直に言うと、少し安心した、わけだが、にはぜったいに言ってやんねぇ!一時間後に目を覚ましたが、不思議そうに天井を見ている。



「寝不足で倒れるって、どうだよボケ。」

「…その声は、榛名。」

「俺だ、バカ野郎。」



寝不足だったから、授業中も眠たそうだったのか(けっきょくずっと我慢してたみたいだけど、俺だったら寝てるな)授業中頑張って後で倒れるなんて、バカじゃねーの。俺はもう一度、バカ、と言ってやると、は拗ねたような顔をした。けっきょく、俺は部活に満足に参加できなかったわけだが(てめー、責任とれよ?)をこのままにしとくわけにもいかねーし、だって、母さんがぜったいに怒るだろうから。下手すれば俺の夕飯がなくなる!あいつなら、ぜったいにそうする!



「…ごめん、迷惑かけた。」



は俺から顔を背けて、ポツリとこぼすように言った。こいつが謝ってきたことに俺は心の中で驚いたものの、なんだか悪い気はしなくて、なんにも考えずに手を頭の上にのせていて、ポンポンとたたいていた(なにしてんだろー俺)それには目をパチパチとさせて、それから顔を赤くした(ちょっと驚いた)



「な、なにやってんの!」

「落ち込んでるから慰めてんだ、照れんなチャン。」

「照れてない!」



それから俺は部室で着替えて、を昨日みたいにチャリに乗せて家に帰った。途中で寝て転げ落ちたらどうしようかと、少し心配だったが、無駄な心配だったようで、は俺のチョッカイに相変わらず厳しい言葉を返してきてた(心配して損した!)でも、正直、が倒れたときは度肝を抜かれたし、保健室で寝不足だと言われたときに、安心もした。俺…なにしてんだろ、こいつギャフンと言わしてやるんじゃなかったっけ?



「お前、もっと食った方がいいんじゃね?」

「ちゃんと食べてるよ、いつも。」

「そーか?俺んが食ってるぞ。」

「君とは体格が違います、比べないでちょーだい。」



今日は母さんが用事があって出かけてて、父さんも仕事で遅くなるらしく、夕飯は二人だった。俺よりも断然少ない量に、俺は一応心配して言ってやったのに、アッサリと返される。ご馳走様でした、と礼儀正しく手を合わせて食事を終えたは、ちゃんと皿を下げに行った(俺はいつも下げないけど、今日はに怒られるだろうから下げるんだろうな)案の定、皿を下げろと注意されたので、渋々俺は皿を下げる。皿を洗おうとしているを見て、やっぱり細いよなぁ、と思った。思ったままに横から持ち上げると(片手で持ち上がった!)悲鳴に近い声があがった!



「ちょ、バカ榛名ぁ!」

「んだよ、やっぱり軽いだろ。」

「分かった!分かったから下ろして、下ろしてバカー!」



の体は、思ったとおりヒョイと軽く持ち上げられた。俺の目の前でギャーギャー騒ぐに、うるせぇなぁ、とちょっと思いつつも、その顔を見て俺は文句のひとつさえも言えなくなってしまった。の顔は今まで見た赤面よりもさらに赤く、なんだか涙目な気もした。一瞬、俺は動けなくなった。けど、俺は慌てて下ろして、なんでだか知らねーけど顔が熱いような気がして、左手で顔を押さえた。は相変わらず真っ赤で、両手をわなわなと震わせて、俺をキッと睨んだ(怖くないけど)



「は、るなの、ば、かぁ!」

「ちょ、!」

「お皿ッ、あらって、よね!私の、ぶん、も!」



ベーッと舌を見せて、まるでちっせぇガキのようなことしてはバタバタと騒々しく部屋から出て行ってしまった(階段もすごい勢いであがってるな、音からして)俺はまだ顔を手で押さえてて、なんだか頭の中に残ってる顔を真っ赤に染めたのせいで、まだしばらくこの熱はとれないんじゃないかと思ったりもした。でも、あのドモったようなのが、やけに可愛く感じてしまった。あー、なんだか俺ヤベーかもしんない。いろいろと。










調
(ちゃんと皿洗ってる時点でヤベーかも)




アトガキ

夢話としては夢を含んでいるものの、
なんだか上手く話になっていないのは力量不足!
笑って許して下さいね?
久しぶりなのに、どうなんだろう私。
榛名サンが、榛名サンにならないよー!