7.


















「寝不足で倒れるって、どうだよボケ。」



見た目最高、でも中身最悪…な、いわゆる小悪魔とかいうような女、。俺の弱みを握りやがって(今は、そこまでじゃないけど、まぁ、確かに弱みは弱みだ)カワイー顔して脅しをかけてくる奴。猫の爪も含めて…だが。だから俺はに逆襲をしようと思っていた。すみませんでした榛名様!くらいは言わしてやろーと思ってた。ギャフンと言わせてやろーと思ってた。もうぜったいに俺をバカにしないよーにしてやろーと思ってた…はずだった。それなのに、どうして俺はこんなにもアイツのこと気にしてんだろうか。



「は、るなの、ば、かぁ!」



しかも、のこと、ほんっきで可愛いなんて…思って、頭から離れないとか、ほんっきでありえねーし!素直に二人分の皿を洗ったあと、俺は風呂に入って二階にあがる。部屋のドアを開けたときに、ふと思ったんだけど、はまだ風呂に入ってない。とりあえずは、風呂入れ、とか言ってた方がいいんだろうか?でも、あの様子じゃあ、かなりご立腹なんだろう(俺が悪いのか?)ガシガシと頭をかいた後、仕方なしに俺はにあてられた部屋のドアをたたいた。



「風呂、空いたから入れよ。」

「…。」



返事は、なかった。人が下手に出てやれば無視かよテメー!と思って、俺は戸惑うことなくドアノブをまわした。そして、文句言われるだろーとは思ったけど、ブエンリョに部屋の中に入ってやった(女の部屋に侵入は、まずかったかもしんねーけど)すぐにでも文句がくると思ったけど、それはなかった。可笑しいな、と思いながらも俺は部屋の中に一歩踏み出した。久しぶりに見た姉貴の部屋…だけど、もうの部屋用にいろいろと変えているらしい(カーテンとか、違う気がするし)あれ、アイツどこに行ったんだ?とか思って周囲を見渡して、俺はギョッとした。



「(寝て、るし!)」



なんとも無防備に、はベッドで気持ち良さそうに寝ていた。言うまでもなく…やっぱり寝顔もイイ…なんて、こと考えてる俺はヤベー!ブンブンとボンノウを捨てるように頭を左右に振った(いや、振りすぎた、気持ち悪ぃ)それからゆっくりとそっちを見てみるが、やっぱりは気持ち良さそうに寝ているだけだ。つーか、猫も寝てるし!



「…んん。」

「!!!!!」



小さな声をあげて、少し足が動いた。たったそれだけなのに、俺はまるで、今から豪邸に泥棒にでも入るかのようにドッキンドッキンしている!サラリと髪が背中の方に流れる。微かに聞こえてくる整ったような寝息に、俺は、かなり緊張してしまった。思わず自分の心臓を押さえる(いや、心臓の位置を)やっぱり、俺の心臓がドッドッドッドとかなり速いスピードで音をたてている。なんてこった、俺がドキドキさせられてどーする!風呂に入れとか、そういうこと言ってる場合じゃない。このままじゃ、俺、どーにかなってしまいそうな気がする。心なしか熱があるみたいに暑い気がするし、ホント、こいつはヤベーぜ。背中を向けて、見てません的に退散しようとしていたとき…。



「…は、るな…。」



ポツリと俺の名前を呼んだ気がした。俺は慌てて振り向いてを見る。けど、はやっぱり寝ていた。だけど、俺の名前を呼んだのは、たぶん、きっと、おそらく…気のせいなんかじゃないんだと思う。俺はせっかく一歩二歩進んで部屋から出ようとしていたのに、再びの近くまで足を運んでしまった。



「…はるな…。」



気のせいじゃ、ない。その整った小さな口が、確かに俺の名前を呼んだ。起きてはいない、は寝てる。だけど、俺の名前をその唇は間違うことなく呼んだのだ。熱い…!



「…ッ!」



一瞬触れたものに、俺は思わず声をあげそうになった。声を我慢して、それでいて距離をあけようとしたら、慌てすぎて後ろにひっくり返ってしまう。しゃがんでいたから、思い切り後ろ回りみたいになって背中を床で打った。そのままではあまりにもカッコ悪いので、慌てて体勢を元に戻した。けど、口から手はまだ、放せそうにない。やった、やってしまった…やっちまった!



「(き、き、キス…しちまった!)」



なにやってんだ俺!バカか俺!なんかいろいろ心ん中で自分に文句を言ってみるけど、やっちまったもんはもう取り消し不可能だ!幸いなのはがまだ寝てるってことだけど…それで安心してたら俺、人間として最悪なんじゃねーか?やっとのことで口から手を放すと、今度は乱暴に頭をガシガシとかいた(そろそろ血とか出るかもしれねー)思わず、なんかワケの分かんねー声をあげてしまって、それにがピクリと反応した。そして…。



「…う?」



のそり、と体を揺らした。その瞬間、俺はまるでホームランでも打たれてしまったような気持ちになった(悔しいとかじゃなくて、ビックリの方だ)寝ろ、寝ろ、寝てくれ!なんていう俺の想いも虚しく、はのっそりと体を起こす。



「…ぅや?はる、な?」

「(ヤバイヤバイヤバイヤバイ)」

「…ぅぅ、ふぁぁ、いま、なんじぃ。」

「(あれ?)」



ゴシゴシ目を擦っている。首を傾げたり戻したり、なんだか妙だ。もしかして、こいつ、寝ぼけてるのか?そういえば、の視線は未だに定まっていない。ぼんやりしてるみたいだし。俺は煩い心臓を押さえながらも(根性で)とりあえず、キスのことをバレないように努めようと思った。バレてしまえば、きっと、はかなり怒るし、それからもしかしたら泣くかもしんねーし、親に言うかもしんねぇ!挙句の果てには宮下先輩にバラすかもしんねぇ(これはダブルでヤバイ)密かに深呼吸をして、まさに今この部屋に入ってきました的に装うことにした。



「お、おい、風呂空いたから入れよ。」

「ふろ?」

「風呂だよ風呂、入るんだろ!」

「…あれ、榛名!?」



最初はどもってしまったものの、あとはなんとかしてみた。はやっと覚醒したらしく、俺の存在に気がついた。よし、この調子ならキスのことにも気がついていないな!けど、なんでだかは顔を少し赤くしていた(バ、バレてないよな?寝顔、見られたと思ったからかな!いや、見たけど)覚醒すると、いっきに構えて、少し後に下がった。あ、猫も起きた。



「風呂入れっつってんの、早く入れよ!」



何事もなかったかのように、俺はそれだけ言って部屋を出る。パタン、とドアが閉まった音が聞こえた瞬間、その場にズルズルとしゃがみこんでしまった。ありえねー、俺。マジでカッコ悪いし。寝込みにキス、なんて犯罪だぁ…どーすんだよ俺。




















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その笑顔、いやらしーよ。



は敵だ。可愛いくせに性格悪くて、華奢なくせに乱暴で、すぐに起きなかったり気に食わなかったら本で殴ってきたりするし。俺の弱み握って言う事聞かせようとするし、なんて奴だ。こんな女、今までいなかったぜ。



「水かぶるのもいいけど、よく拭かないと風邪ひくよ。」



けど、バカにするだけじゃなくて…。なんっか、俺を動揺させるし(これ、作戦かなんかなのか?)なんかザワザワして仕方ねーつーか、モヤモヤするってか。はよく分かんねぇ。



「榛名、ケガしてない!?」



つーか…やっぱ、可愛いんだよなー。とか、考えてる自分がバカみたいだ。振り回されてるつーか、勝手に走りまわってるつーか。なんっかなぁ。考えても考えても、行き着く先はけっきょくひとつで。でも、俺としては認めたくないわけで。あー!とか思いながら頭を、本日三回目だが、またガシガシかいてしまった。ヤバイ…俺、気がつかないうちにのこと…!

ガツンッ!



「あれ、なにしてんの?」

「い、つぅぅ…。」



最悪だ、俺!いや、開けられたドアで頭を打ったのが最悪なんじゃなくて(いや、これもじゅうぶん最悪だが)ひょっこりドアから顔をのぞかせるにドッキドキするなんて…それだけじゃなくて、のこと、のことを、
好きになるなんて!













(大丈夫?余計バカになった?)(…はぁ)(榛名?)




アトガキ

急展開?
私お得意の急展開です。
おなじみの急展開です。
もう、ストーリーとかびっみょうです。
やっぱり榛名サンが可哀想ですねぇ。
救いの手はあるのだろうか?
でも、次もやっぱり急展開です。