
2月01日 PM04:29 高瀬、女。性格は元気で明るくて優しくて、でも本当は寂しがりやな一面ももっていたりする(頑固で融通が利かないってところもあるけど)容姿は整っていて、可愛い…って、これって完璧のろけになんのかな(のろけてるわけじゃあない)得意なことは暗記で、これまた憶えたことは滅多なことじゃ忘れないらしい。あと、料理が上手い、最高(これもまたのろけ気味か?)普通にしていても、もちろん可愛い。でも、笑ったらもう、きつく抱きしめたくなるほど可愛い…あー、俺って幸せものだな…イテッ! 「すんません!当たっちゃって!ワザとじゃないっス!」 「…そこへなおれ利央。」 「ぎゃああ!」 名目上はもう引退した野球部に顔を出して、今は休憩時間。がいれてくれたスポーツドリンクを飲んで幸せに浸ってたというのに…利央め。偶然当たったらしいのは、トンボの柄の部分で当たり所がよかったのかけっこー痛かった(利央憶えてろ) 「準サン、ちゃんのこと考えてニヤニヤしてる。」 「誰がニヤニヤだ、人を変態みたいに言うな!」 「だって顔がー、やっぱりニヤニヤだぁ。」 「てめっ、ぜってーしめる!」 「ぎゃああ!」 利央を追い払って、再び自分の思考に浸る。ニヤニヤ、は、ともかく、明日はと俺の誕生日だ。付き合い始めてちょうど一年が経つんだ(いろんなことがあったような気がするけど、最後はちゃんと伝わってよかった…)誕生日プレゼントは、実は三ヶ月も前に買ってしまっている。気に入るかどうかは…俺では判断できないけど、のことだから、準太が選んでくれたのが嬉しい、と言ってくれるだろう(あ、ヤバイ、やっぱり俺ニヤニヤしてるかもしれない) 2月01日 PM05:58 「…連絡して迎えに行くつもりだったのに。」 「お父さんが車で送ってくれたの。」 は一度家に戻ってきた。彼氏の家に泊まるという一人娘を車で送る父親…なんだか複雑な光景に思えてならないのだが、早く結婚したらどうだい、と言ってくるほどの人だ、今ではすっかり俺たちに賛同しているからこそ別に抵抗はなかったんだろう(ある意味すごい人だ)おじさんから預かってきた俺宛の手紙、というものがあるらしく、なにが書いてあるのかドキドキしながらも読んだ。"予防重視、子どもは結婚してから"危うく飲んでた茶を吹き出すところだった(には見られないように、すぐに丸めてゴミ箱行きだ!なんつー親父だ、見た目によらず!) 「ご飯作ろうか?」 「んー、たまには食いに行くか?」 「オッケー!私、あそこ行きたいなぁ。」 「の好きなところだろ、いいよ、行こ。」 2月01日 PM07:05 「美味しかったー!」 「新作けっこういけたな。」 「私はやっぱりデザートのストロベリームースが!」 あー、もー、可愛いなぁコイツ。そう思いながら俺はの頭を撫でてやる。最初は不思議そうにしていたけど、すぐに笑って気持ち良さそうに目を細めた。 「準太、お風呂すぐ沸かすからお先にどうぞ!」 「(一緒に…なんて言えるわけがない)」 2月01日 PM08:45 風呂からあがったは、俺をさらに揺さぶるわけではあるが、俺はどうにかこうにかいつも耐えている(ほんとう、偉いと思うよ俺)まだまだお子様であるが俺の気持ちに気づくはずもない。どんなに頭が良くても、そんなところまではさすがのも分からないようだ。そんな耐え忍ぶ俺に、無邪気なはものすごくひどい攻撃をしてきた。 「ぅお!」 「長湯しすぎた!準太つめたーい、気持ちいー。」 「あ、や、あ、ちょっとベランダ出てたから!」 「なんで、湯冷めするよ?」 「(いかがわしい気持ちを払うため、なんて言えるか!)」 せっかく、せっかく、気持ちを落ち着けてきた、というのに、なんなんだろうこの仕打ちは。狙ってんのか、天然なのか(おそらくもなにも後者だろうけど)目の前には湯上りの。シャンプーは同じものなのに、どうしてが使うといい匂いだとひどく鼻をくすぐるんだろう(たぶん俺からはそんないい匂いしないんだと思う)俺がジッとを見てしまうと、はまるで子犬のように、なになに?と笑いながら俺を見つめ返す。グググと込み上げる気持ちを、とりあえず落ち着けようと思ってキスをした。 「じゅんたの…おおかみ。」 「(ぅおっ!)」 恥ずかしそうに、上目で見てくる(身長差があるからだけど)うえにこの台詞。余計にでも気持ちは込み上げてしまって、どうしようもできなくて、俺は衝動のままにの体を押してしまった。ドサリ、と音がした。いきなりのことに大きく目を見開いて、なにが起こったのかよく分かっていないは、ただただ俺を見上げる。あぁ、もぉ、無理。 2月01日 PM08:48 が大事、が大切(あ、同じ意味だ)だからこそ、俺だけの欲で、事に運ぶわけにはいかない。けど、俺の気持ちだって無理矢理押さえつけ続けることができるわけじゃないわけで…。いきなりソファに押されて倒されたことにビックリしただろうは、やっぱり俺を見上げて目をパチパチさせるだけだ。 「…抱きたい。」 にかぶさるようにして、俺はついに言ってしまった(ついに、ついに、ついに!)高校生相手に、これって犯罪?いや、五歳差といえど、もう高校生だ、犯罪にはならないだろう(それに俺たち恋人同士だし)俺は、情けないことにドキドキバクバク心臓をうるさく鳴らしながらも、の返事を待った。さすがに無理矢理なんてできるわけがない。は俺を見上げて、そして手を伸ばした。その手が、俺の肩に触れる。 「いつもは言わなくてもギューするのに、どうしたの?」 「(…そうじゃなくて!)」 予想外の返事が来た(しかも疑問系だ)俺は思わずガクリと肩を落としてしまう。一年前に"男は狼"という言葉も知っていたし、援助交際という言葉も知っていたし、もちろん、その、えーっと、そういう知識も人並にはあるんだよな、なぁ?俺は一抹の不安を感じながらも懲りずに口を開く。 「援助交際ってどういうもんか分かる?」 「おじさんと遊んでお金もらうこと、私やってないよ。」 「…分かってる。」 微妙、ひじょーに微妙だ。こうなればもう直球しかない。 「とえっちーことがしたい、ってことデス。」 「…私とえ…わわわ!」 「(あ、分かったんだ、すっげぇ慌ててる)」 2月01日 PM08:50 表情から、どうしようどうしようどうしよう、と慌てているのがすっごく分かる。俺は不謹慎ながらも、そんなが可愛いとか思っていたりする。首筋をなぞるようにして指を滑らすと、ビクリとしたけれど、決して抵抗しないがいた(顔を真っ赤にしてる)よぅし…あと一押しだ、と密かに意気込んだときだった。 ―――ピンポーン 「あ、お、お客さんだよ準太!」 「(…チッ、誰だよ、こんな時間に)」 心の中で舌打ちをしたものの、訪問者がの父親だったりしたらどうしようか、とかなり情けないけど不安を感じたりする(には言えないけど)あからさまに、助かった的なオーラを出すに、後で憶えてろ、と思ったりしたのは内緒だ。 「よぉ、楽しくやってっか、準太!」 「こんばんは、準太くん。」 「し、慎吾サン、と、冬子先輩!?」 2月01日 PM08:58 「いやー、ちゃんが来てたんだ、邪魔したな!」 「(いや、絶対分かっててわざと尋ねてきたんだ)」 「ごめんなさいね準太くん。」 「(冬子先輩も、彼氏である慎吾サンに似てきた気がする)」 一年前に、俺に告白をしてきた冬子先輩は、実は俺がを追いかけていったその後に、偶然慎吾サンに出会い、泣きついたらしい(すんません)それで、ついには2月2日にめでたく恋人になったらしい。うん、冬子先輩の趣味は意外にもよくなかったというわけだ(あれ、俺って俺の存在も卑下してる?)最初は冬子先輩と顔あわせずらそうにしていたも、今ではよく話をするようになった。つーか、時間帯気にしろ、このカップルは! 「ちょうど準太の家の前通りかかったからさ。」 「そうなんですかー、久しぶりですね!」 「だろ、ちゃんなら喜んでくれると思ったよ。」 「はい、に半径3m以内に近付かないで下さい。」 「おいおい、俺彼女持ちだぜ、一応。」 「まぁ、一応私の彼氏ということになってるよ。」 うん、やっぱり冬子先輩性格変わってきたと思う(たぶん、いや、ぜったい慎吾サンのせいだ)は、というと、さっきまでの顔真っ赤でドキドキしていた(と思われる)ようすは吹き飛んでしまったかのように面影もなく、普段どおりはしゃいでいて楽しそうだ。が楽しいのや嬉しいのは、俺も嬉しい。うん、そうだ。だけどな…。 「(俺って、報われねぇ…)」 2月01日 PM11:43 くだらない世間話のような話をして、菓子食って、二人は笑いながら帰っていった(あの人ら、明日仕事だろ?)時計を見れば、もう12時になりそうだ(おいおい、本当に邪魔しにきただけじゃんか二人とも)せっせと後片付けをしているの後姿を見て、俺は密かにため息をついた。しかも、の湯上りを慎吾サンに見られた!ここは重要だ(抜け目がないから慎吾サン気づいてたし、なんか言ってたし!)は片づけを終えて、満足したような顔で俺に笑いかけた。 「楽しかったね!」 「…あぁ。」 俺はぜんっぜん楽しいとは思えなかったけど(慎吾サンのニヤニヤが気になって)あと、頭の片隅で、またチャレンジできないものかと思っていたりする…よぅし。 「明日は学校だし、もう寝ようか!」 「(おいっ!)」 「準太も朝早いんでしょ?」 「…あのさ。」 「うん?」 「さっきの続きは?」 「さっきのつづ…きっっっ!?」 「(あ、思い出したんだ)」 「ね、ねねねねね寝よう!そうしよう!寝よう!寝よう!」 「(すっげー慌てて拒否された)」 2月01日 PM11:58 ショックを受けつつも、一緒に寝ることを志願したら、それは受け入れてもらえた(ある意味自分の首を自分で絞めた気もするが)背中に腕をまわすと、が俺の服の裾をキュッと握った。カチカチと、普段は気にもしない時計の音がやけに響いている気がしたのは、たぶん、俺もも同じだろう。 2月02日 AM00:00 「お誕生日おめでとう、準太。」 「誕生日おめでと、。」 「プレゼントは朝あげたんでいい?」 「俺も朝でいい?」 「うん。」 小さく笑うに、軽いキスを送る。"同じ高瀬のよしみでお家に住ませてくれませんか?"最初はどうなることかと思ったけど、あのときのの突拍子もない発言に今、すごく感謝してる。もしもが目をつけたのが俺じゃなかったら、俺は今こうしてを抱きしめることも、キスをすることもできなかったんだ。は運命だと言ったけど、俺も密かにそうだと思った(俺って意外とロマンチストだったのかもしれない) 「だいすき、準太。」 「(うぉ!)」 理性をグラグラと揺さぶる天然攻撃がきたけど、なんとか理性を保ってみせた。平然を装って、俺も好きだ、とカッコつけた感じになったような言い振りになったけど、返すとは俺の背中にギュウと手をまわした。俺、眠れるかな。ちなみにはそれから5分後には可愛らしい寝息をたてていた。 「…おやすみ、。」 2月02日 AM06:30 目覚まし時計が鳴って、が先に起きた。がもぞもぞと動いたことで、俺も目が覚めた(だって、俺が捕まえてたから)はリビングの方へ駆けていって、なにやらカバンを持ってきた。そして、そのカバンから、キレイに包まれたなにかを取り出した。 「はい準太、下手でごめんなさい。」 「…紺色のマフラー、の手作り?」 「うん、初めてだから…下手かもしれないけど。」 はそう言ったけど、そのマフラーはちゃんと出来上がっているし、どのマフラーよりも上手で、温そうに思えたのは彼氏としての欲目だろうか(ちなみに、ケーキも昨日作ってきてたのは俺も知ってる、だけどイタリアンでストロベリームース買ってた)俺は思い出したように、慌てて自分の机の引き出しをあけた。小さな箱を手にした。 「はい、これが俺からのプレゼント。」 「…これって…。」 「いわゆる…まぁ、予約っていうことで。」 シルバーのリングは、俺の計算どおり、の指にピッタリだった。抜かりはない(が泣き出してしまったのに、驚いて慌ててしまったのは、言うまでもないだろう)、俺は相変わらず器用でなんでも出来る人間じゃないけど、お前だけはぜったいに幸せにしてみせるから。だから。 「これからの時間も、一緒に過ごそうな。」 「…グスッ、なんだかプロポーズみたいだよぉ。」 「じゃあ、これは本番の練習ってことで。」 |