14.













応援団をやりたい!と、いう、うちのクラス(1−9)の浜田が朝練にやってくることになりました!なんでも、志賀先生に言われて、応援団をやるなら朝練に参加してくれるかい?ということでの参加らしいんだけど…。初めての朝練、早朝五時集合にはいきなり慣れるはずもなく、あたしは欠伸をしながら自転車をこいで登校した(途中うつらうつらして隆也に怒られたりもした)グラウンドに着くと、先に着いていた花井がもう練習着に着替えていた。



「おーはよー。」

「ちぃーっす、って、眠そうだな。」

「こいつ、昨日早く寝ろって言ったのに遅く寝やがって。」

「…もしかして遠足の前の日は眠れないってやつ?」

「この年になって寝付かせるのはやめてほしいよな。」

「(え、阿部が寝付かしてんのか?こーゆー場合)」



(事実を述べると、眠れないとき、重大なことがない限りあたしが隆也の睡眠を邪魔しにいくからだけど)あたしはまた欠伸をして、開かない目をそのままで歩いていたら、カゴにつまづいて転びそうになった(隆也がとっさに支えてくれたけど)そのおかげで少し目を覚ましたあたしは朝のメニューを聞きに監督の方へと向かった。監督はあたしたちが授業を受けている間バイトをしているらしい(しかも肉体労働)大変なはずなのに監督は相変わらず明るく元気で、感心してしまう(年上に感心っていうのは失礼かなぁ)監督は、あ、と何かを思い出したような声をあげると、ガサガサと自分のカバンをあさって何かを取り出した。



「これ、ちゃんにあげるわ。」

「え、何ですか?」



あたしはそれを受け取った。固いものではない、柔らかいような感触。首を傾げて渡された袋を見ていると、監督がニンマリと笑って、開けてみて、と言ったのでその場で袋をあけてみた。え、これって、え、え、え!



「か、監督ー!」

ちゃんにも色々頼んじゃうだろうから、それはあたしからのプレゼントよ。」

「いや、でも、あたしマネジだし…!」

「いいのよ。その代わり、しっかり頼むわね!」

「はっ、はい!」



プレゼントにもらったのはみんなの着ているユニフォームだった!サイズもピッタリ、監督、いつあたしのサイズ知っちゃったんですか?着替えてきてしっかり補助してね、と言われあたしは興奮のまま数回頷いて、そのユニフォームを持ったまま走った。着替えに行く前に、隆也のところに行って興奮したまんま話す。案の定、興奮しすぎて何言ってんのか分かんねぇ、ってドライなこと言われたけど、最後にはあたしの頭をポンポンってした。嬉しくてつい調子に乗って隆也の背中をペシペシたたいたら、思ったよりも力が強かったらしく怒られた(走って逃げてそのままユニフォームに着替えに行った)



「あ、浜田ー。」

じゃん、一丁前にユニフォーム着ちゃって。」

「だってあたし、監督補助だもん!」



えっへん、とポーズをとってみると、浜田は笑ってあたしの頭をポンポンとたたいた(う、何か隆也にされてるみたいに、小さい子にするようなやり方だなぁ)何か話が盛り上がってきたけど、ちょうどそのときに志賀先生の集合がかかった。いつもの瞑想から今日の練習が始まった。練習が始まったら、眠気なんか完全に吹っ飛んでしまった(ユニフォームもらった時点で吹っ飛んでたけど)で、その後時間をかけての念入りなストレッチをあたしは監督と一緒にやった。それからフリーバッティング!(待ってました!)



「じゃあ、三橋くんと西広くんはまず、しっかりちゃんのバッティングを見てね。」

「はい。」

ちゃんのフォームは立派なお手本だからね。」



そう言われるとちょっと照れる…と、いうか大丈夫かなーと思う。けど、一応スイングはちゃんとした先生に習ったのでちょっとは自信がある。シニアで少しだけ参加させてもらってたときも、スイングは監督やコーチが褒めてくれていた。うん、自信を持とう!三橋と西広がじぃっと見る中、フリーバッティングが始まる。まずは130キロのストレート。音をたてて飛んでくるボールをしっかりと見て、それを捉えた。金属バット(マイバット)のいい音がして、ボールは飛んでいった、うん、まずまず。



「す、凄い!」

って、改めて思うけど、ほんと、上手いんだな!」

「いや…ありがと!」



普段、バッティングセンターで130キロも打ってるから、それと変わりはない。それでも三橋や西広は物凄く熱い視線をこっちに向けてくれる、ちょっと、照れるじゃんかー!三人でなぜかモジモジしていたら、水谷が、もー次いっていーかー、と声をかけてきたのでハッとして前を向いた。とりあえず、五球打って見せる。その後、三橋、西広の順番で打ってもらった。どの球をどう打つには、とかそういうのを教えるのは苦手だけど、基礎なら教えることができる、と、思う!(でもバッティングも癖があるからなぁ)まずはセンター返しを試みてもらおっと!



「どうだ、あいつら。」

「うん、頑張ってる!」

「いや…そうじゃなくてな。」



打ち終わって順番待ちの隆也が聞いてきた。とりあえず、いきなり130キロもどうかと思ったので、監督に言って速度を少し下げてもらった。速度が下がれば二人にも少し余裕ができたみたいだし。とりあえず、打ち上げるような癖をつけないように目を見張ってみる。腕だけで振っちゃうと球の重みに負けてしまうので、ちょこちょことアドバイスしてみたり。いい音がして球が気持ちよく飛んでいったときには三人で手を繋いでおおはしゃぎしてみたり、楽しく、少しずつ身につけていけたらいいね!

























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朝練習を終えて授業を受けて(さすがに今日は眠たかった)夜九時まで練習して、ちょっとクタクタになりながらも一日の練習を終えて帰宅(またグラグラしていたあたしを隆也が怒鳴ったりして、なんとか家までもった…ね、眠い)隆也が今日はキャッチボールと勉強会はやめとくか、って聞いてきたから、どうしようかなと考えながらも、とりあえず数学の宿題があったのでちょっとだけ勉強会はしてもらうことにした(数学は隆也の得意科目だし)プリントに手をつけていたら、携帯電話があたしの好きな音楽を鳴らした。



「あ、高瀬先輩だ。」

「は?」

「中学の頃の、ソフト部部長さんの高瀬逸子さん!」

「…あー、一回が助っ人やったっていうソフト部。」



実は誰かが風邪で休んで、どうしても勝ちたいから助っ人してって凄い勢いで言われたから助っ人したんだけど。助っ人した後、大変だったんだよねぇ(入部を連呼されてしばらく走って逃げてたっけ)久しぶりのメールだなぁ、と思いながらあたしはメールを開いた。えーっと、何々…?



「風邪ひいてメール遅くなっちゃった。一回戦で当たっちゃったね、今年もうちは強いから、負けないよ。」

「…何だって?」

「風邪ひいてメール遅くなっ…「そっちじゃねぇよ!」



隆也が慌てたような声を出したので、あたしは首を傾げた。そっちじゃねぇってどっちだよ。と、思ったけど、前文の方かぁ、と分かったので、一回戦で〜の方をもう一度読んだ。すると、隆也はバンと机を両手でついた(これ、あたしの机なんだから、壊さないでよー?)



「高瀬先輩って、桐青!?」

「え、うん、そうだよ。」

「マネジなのか!」

「うん、学校見学行ったときにね、いたよ。それでね、準サンの球を打たせてもらったんだー。」



バン、ともう一回音がした。隆也が机を両手でたたいたからだ。不思議に思ってあたしは隆也を見る。その直後、隆也は顔を勢いよくあげてあたしを見た。そしてガッシリとでもいう効果音がつきそうなほどの勢いであたしの肩をもった。何、何、いったい何!数学のプリントなんて机をたたいたときの勢いで吹っ飛ばされてしまったし、目の前にいる隆也はもはやプリントどころではないようだ(おいおいおいおい、明日あたし当たっちゃうんですけど)



「準サンって?」

「えっと、確か高瀬準太サン、桐青の投手だよー。」



確か、高瀬先輩の従弟って言ってたし。ストレート、シンカー、シンカー、シンカーを投げてくれた人だ。終わった後なぜか頭ワシャワシャされて笑われて、それなのに最後は少しそっけなくなってしまったような準サンだ。あのシンカーは凄かったなぁ。そこまで逃げる?ってほど曲がっちゃうし。あー、また打ってみたい!そう自分の世界に入っているあたしの肩を、隆也がまたポン(ちょっと勢いつきすぎだよ、ちょっと痛い!)とたたいた。



「お前、桐青の投手の球、打ったのか?」

「…ストレートは完璧捉えたけど、シンカーは微妙。」

「お前でも微妙?何球やった?」

「シンカーは三球投げてくれた、最後辛うじて打てたよ。」

「(辛うじて…)」



どっちかっていうと、あたしは変化球の方が打ちやすいと思ってる。今までシンカーを打ったことがないわけじゃなくて、数回は知り合った投手に投げてもらったことがあるけど、準サンみたいにあんなに変化するのを見たのは初めてだった。あれが中学三年生の秋だったんだから、あれから8、9ヶ月くらいは経ってる。あの頃よりもコントロールも変化も磨かれてるとしたら、今、あたしは打てるかな(いや、打っちゃいたいけど!)考えているあたしの頭を、隆也が数学の教科書でポコンとたたいた。いったい何!



「何で見学行ったときに言わねーんだよ!」

「言ったよ!言ったけど、武蔵野第一の見学に行った隆也が榛名サンを見たとかですっごい苛々してただけだよ!」

「はぁ?んなことあったか?」

「あった、言ったのに、そんなことよりって自分が話してたじゃんか、ひどーい、あたし悪くなーい!」

「…。」

「あ、ちょっと、お菓子とらないでよ、それ八つ当たり!」




またいつものようにドタバタと家の中での鬼ごっこが始まってしまう(あたしも隆也もヘトヘトだったはずなのに)数学のプリントのことなんて忘れて、あたしはお菓子をとって逃げた(今日はキット○ット)隆也を夢中で追いかける。現在の時刻は夜の十一時過ぎ。もちろんお母さんの毎度の怒鳴り声を受けることになってしまったのであるが、慣れているのでぜんぜん気にしない二人だったりする。あー、数学のプリント忘れてた!授業前に集中してやるしかないかー。











練習、夏のために!
練習は疲れるけど楽しい、バッティングの他、氷鬼めちゃくちゃ楽しい!











後書

後半部分は番外編を見ておくと分かり易いかも。
もしくはこれ見た後、番外編でも可。
この連載では阿部くんが阿部くんじゃない…。
彼はきっと家の中で走ったりしないんじゃ…。
まぁ、ここ特有の阿部くんってことで。
子ども丸出しの夢主。
ヒロインながら君には色気もなにもないな(笑)