
「あ、田島たち、今からご飯?」 球技大会は二日目の今日で終了。今日は午前中で学校は終わり。あたしがたちとお喋りしながら教室に戻ると、田島たちがお昼ご飯を食べているところだった。どうだった、と聞かれたので、女子バレーは優勝したよ、と言うと泉に頭をポンポンとたたかれた。 「あたしも一緒にたーべよ。」 「おー、食べようぜ!」 「い、一緒、た、べよぉ!」 午後から野球部はもちろん練習なわけで(今日は試合観戦も含めるけど)や他の子たちは今日部活ないとか、帰宅部とかだからご飯は帰って食べるから、誰か一緒に食べる人見つけようと思ってたんだよね。いなかったら隆也のところ(7組)行こうと思ってたんだけどね。あたしはたちに手を振ってわかれてから、カバンの中に入っているお弁当を出して仲間に入れてもらった(今日のお弁当は唐揚げ弁当だ!やっぱりあたしより隆也のお弁当の方が大きいんだから、体の大きさが違うだけあるよね)お喋りしながら食べていたら、廊下の方で千代がこっちを見ているのを見つけた。どうやら田島も気づいていたらしい。 「しのーか!」 「あ、あはは。なんでもないよー、またあとでねー。」 「後ろに二人くっついてたな。」 「あそ?」 そこまで気にしていなかったから、誰がいたのかは分からなかったけど、確かに泉の言うとおりいた気がするな。そう思いながらもあたしは唐揚げを口にいれた(冷めてもおいしい)横から手がにゅっと伸びてきて、田島が唐揚げを一個とった!慌てて、あー !と声をあげたけど既に唐揚げは田島の口の中…。なんだか悔しかったので田島のお弁当から玉子焼きを奪ってみた(泉が呆れたような視線をあたしらに送ってるのが分かる)浜田が新聞の取材の話題を出してきて、もう少し勝ったら記事がのるかもという話になった。 「そしたら写真、誰でっかな、俺かな三橋かな。」 「ふつーに花井じゃねーか?」 「キャプテン梓!」 「言ったら怒られっぞ。」 「いやー監督でしょう。」 浜田はズバリ、言った。浜田は監督のことが気になってるみたいだ。何者だって聞く、とか、ノックの腕、とか。確かに監督、ノックすごいね。投手の腕もいいし(って、いうか、あたしまだ監督の投げた球を打ってないよ!) 「気になんねーの?年とかは?じゃあ下の名前は?」 「モモエ!」 「そりゃ名字だろ!そーじゃなくてさー!」 「試合観に行くの何時集合だっけ。」 「一時に裏門。」 「着替えっから50分に起きるか。」 「今何時ー?」 「12時10分。」 みんな監督の詳しいことは気になっていないのか、気にしていないのか、浜田の言葉は宙に浮いてしまった。正直、あたしもあまり気にならない。野球の能力なんて、機会があれば頑張ればどうにかなるものだし。パタパタと寝始めたみんなを見て、あたしも欠伸が出てきてしまった。 「名前は百枝まりあだよー、おやすみー!」 「…俺はの打力の凄さも気になるけどな。」 既に意識が眠りの世界に入りかけてたので浜田の言葉はよく聞こえなーい。おやすみなさーい(眠りの世界に入っていたので、みんながこっち見て笑ってるのも、あたしは知るはずがないのでしたー) 「野球部寝てっと静かだな。」 「も混ざってるし。」 「…こいつ、女の自覚あんのかなー。」 ----- お昼寝すんで、着替えて(練習以外はジャージ姿でっす!)試合を見に来ましたー!岩槻西高校VS崎玉高校の勝ったとこが次回うち、西浦との対戦高校なわけだけど、まぁ、桐青に比べたらそんなに厳しくはないと思う。うん、勝てるよ頑張って!次回の試合のスタメンの発表が監督からあった。まずは1番ファーストが田島(最初は納得いかなかったみたいだけど、ケガもあるし、仕方ないよ)監督の上手な言葉の使い方に目をキラッキラさせて返事をしていた。2番セカンド栄口、3番サード泉、4番センター花井で、5番ショート巣山、6番キャッチャー隆也に7番ライト沖、8番レフト水谷、9番ピッチャー三橋、なわけだ。田島がケガしてる分、あまり田島に負担をかけたくないのが事実なわけで(だってこの試合で終わりなわけじゃないから)4番を頑張れ花井! 「、両校ともピッチャーよく見とけよ。」 「ラジャー。」 隆也に言われるままピッチャーに注目する。やっぱりビデオで見るよりも分かりやすいのは、視点が自分のものだからなのかな。投げ始めた崎玉のピッチャーを見るけど、やっぱり桐青の準サンを見た後だから…(やっぱり準サンはスゴイ投手なんだと思う) 「カントクさーん!」 誰かの声が聞こえた。花井が一瞬顔をしかめたから、花井のお母さんに間違いないんだろーね。と、その横にはお母さんがいた。あれれ、今日来るって言ってたっけ? 「こんにちは、阿部ですー。」 「おかーさーん!」 「、帽子かぶりなさいっていつも言ってるでしょ。」 別にかぶりたくなかったわけじゃないけど、今日は家に忘れてきてたんだよね。お母さんは持ってきてくれたらしい帽子を、駆け寄ったあたしにかぶせてくれた。のことしっかり見ててね、とまるであたしが落ち着きがない子のように隆也に言っていた(ねぇ、ちょっと、あたしと隆也は双子なんですけど…同じ年なんですけど)どうやらお母さんはビデオ撮影に来たようだった。監督と一緒にバックネット裏の方へ向かって行った。バイバイ、と手を振ってそこから見送るあたしを、誰かがポンと肩をたたいた。 「アレと阿部のカーチャン?」 「うん、お母さんだよ。」 「俺、試合見に来たんだけどなーじゃなくて。」 「う、うるさいよ隆也!試合見てていーよ!」 「ってどっちかってーと、父さん似?」 「違うよー、あたしは…おばあちゃん似?」 「そーだろーな。」 泉と話をしている間に、攻守交替になってた。投手はどっちも同じくらいの力だと思った。でも、崎玉の投手はスクリューを投げてた分、珍しいかもしれない(うちとしては)でも、凄かったのはそっちじゃなくて、本当に凄かったのは、崎玉の確か背番号が二番のさ、くら?っていう人だ。打球が速い…まぁ、体格がもの凄くいいしね、それはあるかもしれない。それより、打つの自分でコントロールできてるなぁ。試合はといえば、結果延長の末、佐倉の場外サヨナラホームランにより崎玉高校の勝利になった!(次当たるのは、崎玉高校ってわけだ) 「凄いねぇ5番。」 「お前だって男で体格よけりゃあのくらい打てるんじゃね?」 「そうなんだ!惜しかったなぁあたし!」 花井が言ってくれた言葉にあたしは笑った。打力のあるのは5番だけ。あとは三橋の球を満足に打てないだろうと思う(桐青の人たちでさえ、あまり打ててなかったんだから)試合は終了したので、これから西浦に帰って対崎玉戦のミーティングと対策練習を行うことになった。人が多かったので、一列になって人ごみを抜けていく。どこか別の高校の野球部は見に来てるのかなって思ってキョロキョロしていたら、ドンッと派手に誰かとぶつかってしまって弾き飛ばされた(思い切り尻もちついたから、ちょっと痛かった)あぁぁ、取り残されていく…。 「ス、スンマセン!」 「あ、いえいえ、こっちこそ余所見してて…。」 派手に転げたから心配させたかな(相手があたしじゃなかったら、弾き飛ばされてはいなかったかもしれない)謝ってきた相手を見てあたしは大きく目を見開いてしまった。 「あぁぁ、崎玉のサクラ!」 思わず名前を言ってしまったことに、ちょっと脳内でやばかったかな、と思った(呼び捨てだったし)案の定、佐倉という人は驚いていたし、なんだか慌ててるようにも思えた(キョドり?)あたしも慌てて謝ると、頭を下げ返された。この人、体格もの凄くいいけど、案外三橋に近いものがあったりして…?改めて見てみると、やっぱりこの人は大きかった。 「おぉ、近くで見ると更に大きいや、花井より大きい!」 「あ、いや、その…。」 「あ、ごめん。あたし阿部、西浦のマネジっす。」 「西浦…「、何してんだよ!」 自己紹介をしていたら、前方から隆也のちょっと怒ったような声が聞こえてきた。たぶん、配列を崩したから怒ってるんだろう(丁度よく一番後ろだったから、あたしが立ち止まったのに気づくのに時間かかったみたいだ)慌てて返事をすると、隆也はすぐそこまで来ていたらしく、グワシッとあたしの頭を握った! 「イタイイタイ!」 「お前それじゃなくてもチビなんだからはぐれんな!」 「ふぎゃー!頭とれる!首伸びる!」 「身長伸びるぞー、いいんじゃねーの?」 「よくないよくない!」 そんな身長の伸び方嬉しくなーい!そのままであたしを連れて行こうとする隆也にストップの言葉をかけながらも、あたしはズルズルと引っ張られていく(やっぱり余計な一言かけるまでもなかったよお母さん!隆也は面倒見てくれてるよ、痛いけど!)唖然としているように佐倉があたしたちを見ていたのに気がついたあたしは、慌てて笑って手を振った。 「じゃあ、いい試合しよーねー!」 次の瞬間首が少しグキッとかいったので、手を振り返してくれたのかどうかも見る余裕なんてなくて、しばらくは、痛い、と悲鳴をあげながらも引っ張られて撤収したあたしなのだった。 「ダイチ!なにやってんだよ、帰るぞ!」 「はっ、はいぃ!」 「そういやお前、誰かと話してなかったか?」 「西浦の…。」 「は、お前西浦の奴と喋ってたのか!どんな奴?」 "ふぎゃー!" 「…子猫みたいな…。」 「子猫ぉ?」 「…はっ!俺はなんて例え方を!俺の心は汚れているっ!」 「お前いい加減にしろ。」 |