
ついにGW<ゴールデンウィーク>に入ります!監督の提案で、GW期間は全員で合宿をして、最終日には三橋のチームメイトたちがいる三星学園との試合が待っているのであります(三橋はものすっごい顔をしていたけど、容赦ないなぁ監督は)…と、いうことであたしはワクワクドキドキしながら明日に備えて準備をしているのであります!えっと、いるものは…っと。 「…おい。」 「なんスかー隆也クン。」 部屋で準備をしているあたしの傍に隆也がやって来た。隆也は準備が早い。小学校の頃も中学校の頃も、遠足とか修学旅行とか、あたしが準備をし始める前には終えていた。なんてソツのない兄様なんだろう。ついでにあたしの準備もお願いしたいけれど、さすがに着替えの準備をさせるのは悪い(あたしは気にしないけどなー、もしかしたら隆也も気にしないかもしれないけど)隆也は色々詰め込まれている鞄の中を見た。そして…。 「菓子持ってってどうするんだよ。」 「大事な財産でーす!」 「アホかお前。」 あー!とあたしは声をあげた。よりによって大事な財産を鞄から取り出してしまうなんて!それを持ったまま部屋から逃げていく隆也をあたしも遅れながら追いかける。待て待て隆也!あたしの大事な財産を返せー! 「隆也ぁ!」 「うわ、追いかけてくんな!」 「待てー大事な財産返してよー!」 「もー、夜なんだから静かにしなさい!」 ----- そんなこんなでGWに突入です!今、あたしたちはバスに乗って合宿上に向かっている最中。こんなに長い時間バスに乗るのは久しぶりで、ちょこっとはしゃいでしまったら、案の定隆也からの制裁を受けちゃいました(ちなみに、昨日あんだけ家の中走り回ったら、お母さんにめっちゃ怒られてしまった)と、いうことで今は大人しくして、隣の席に座っている千代(本名は篠岡千代)と話をしていたりする。千代は野球部集合の翌日、マネージャー志願してきた1−7の女の子。ちなみに中学が同じだった(けど同じクラスになったことないから話をしたのは初めて) 「あー、楽しみだぁ。」 「すっごく嬉しそうだよね、ちゃん。」 「うん、すっごく楽しみ!」 そう言うと千代は、私もだよ、と可愛く笑った。男の子の友達もいいけど(もうすでにギャーギャー騒げる仲になった)やっぱり同性の友達もいいよねぇ。同じ、マネジ!意味はないけど千代をギューッと抱きしめてみたら、突然のことに千代はビックリしていた。さぁて、そろそろバスは目的地に着く模様です! 「雰囲気あるなぁー。」 山と山の間、ぞくに言う田舎。その中に建っている古い民宿のような家。合宿っていうか、ちょっと違うような気もするけど、これはこれで楽しそうだ。みんなで目の前の家を眺めていたら、別に車で向かっていた百枝監督が着いたようだ。大きめの鞄を持って車から下りてきた。 「さっ、着替えて掃除掃除ー、掃除が済んだら山菜摘んできてね、夕食は自分らで作るんだよー!」 その言葉にみんなは嫌そうな声をあげた、けど、始まってみればみんな真剣にやっていたりする。あたしもみんなと一緒に掃除をやることになった(千代と監督は買出しに出かけた)トイレ掃除を栄口が、食器を綺麗にしているのが西広と巣山がしてて、花井が布団をほしてる(頑張ってフカフカの布団にしてねー)あたしは雑巾がけをしてたりする。田島と一緒にやってたら途中から何だかとっても楽しくなって、だだだーと走っていると思い切り隆也にぶつかってしまって、やっぱり怒られた(田島も一緒に怒られた)笑い、笑い。 「よーし、掃除はこんくらいで山菜とりに行こうか。」 わーい初めての山菜とり!とか思っていたら、監督に連れられて、三橋&隆也班についていくことになった。どうやら、二人の別メニューに付き合うことになったようだ。ついていってみればそこには立派なグラウンドが広がっていた。うん、いい場所だ。使う人たちが綺麗に整備しているんだろうか。 「この辺りは所有林でね、森林ボランティアする代わりにグラウンド借りたのよ。」 百枝監督は三橋と、あたしはなぜか隆也とキャッチボールをしている(おそらく、手慣らし)いつもやっているので別に何事もないけれど、あたしは何で山菜とりじゃなくてこっちに連れてこられたんだろうか。そう思いながら隆也にボールを投げた。隆也は相変わらずいい音をたててそれをキャッチする。監督がいなかったら、たぶん、あたし遊び始めてるなぁ…そして隆也にしぼられるっと(分かっちゃいるけどやめられない) 「ところでさぁ、三橋くんはマックス、何kmなの?」 監督の言葉に隆也の視線があたしから監督に移った。あぁ、なんていうか、もぅ、兄ながら分かりやすいっていうか。ちょっと意地悪しちゃおうと思って視線ずれてるの分かっててボール投げたけど、ちぇ、普通にキャッチされてしまった。あたしもキャッチボールを一時やめて三橋の方を見た。 「え、えっと…ひゃく…いちkm…。」 「101km!?随分お粗末ねぇ!」 …確かに。投手としては遅いかもしれない…この間投げたときは正確な速度はわかんなかったけど。聞いてみると、ちょっと、遅いかもしれない。 「三橋にはスピード不足を補うコントロールがあります。」 「…阿部くんはさぁ、コントロールの良さの正体、気づいてるでしょう?」 隆也、コントロールにこだわってるねー。まぁ、理由は分かるけど(言わない、怒るから)百枝監督は角材をマウンドに置いた。この上でマインドアップをしてみて、と言われ、三橋は何の戸惑いもなかったわけではないが、けっこう素直にその上に足を置いた。あ、ちょっと待って、そんなにグラグラしてたら…あ、あ、あぁぁぁ、こけちゃったよ。ドシャッというような音をたてて三橋はこけてしまった。口元をおさえている(笑っているわけではない)あたしを監督は呼んだ。 「さってと、ちゃんやってみて。」 「はぃ?」 「だから、ふりだけしてみて。」 投げる方にはあまり興味はないので投げるのは別段得意というわけじゃないんだけど。そう思いながらも素直にあたしは角材の上に乗った(ちょっと面白そうだと思ってたりする)とりあえず、見よう見真似でやってみようっと。えっと、こっから左足をあげてっと…投げる(ふり)! 「さすが、ちゃん。コントロールは手でするんじゃないんだよ、身体でするの。」 「(あー、できてよかった)」 どうやら、この間田島と追いかけっこをして遊んでいたとき(部活終了後)はしゃぎすぎて転びそうになったときに絶妙なバランスで立て直したのを見て、あたしのボディバランスがイイんだと思ったらしい。もしかして、これだけのためにあたしはこっち側に来ちゃったんだろうか?…まぁ、面白そうだから、いっか。その後、監督が投球をした。結果は122km!肩をならしたらあと2kmくらい速くなるって…そ、それって…! 「か、監督、是非とも打たせて下さい!」 「うん、また今度ねー。」 アッサリと流されて監督は戻って行ってしまった(あたしは救急箱を持たされて残された、もうひとつは隆也が不機嫌になって三橋にキレそうになったときの静止役らしい)スピードあげることに対して、隆也は大反対のようだ。確かに、スピードは上がってもコントロールが悪ければお話にならない。けれども、それだけじゃないってことはあたしは知っている。だけど、三橋は球速をあげたいらしく、隆也の言葉を聞いていない、というか、聞こえていない。更に隆也の機嫌が悪くなったのが分かった。こらこら、あれを思い出してしまうのは分かるけど、三橋はアノ人じゃないんだよー。って、いうか、監督の球打ちたーい! |