「でね、泉ったら田島の足に引っかかって!」 今は真面目な掃除の時間…のはずだが、俺ら三人は竹箒を片手にペチャクチャと雑談していたりする(ここは密かに生徒間で有名な掃除がサボれる場所)その中でもはそれはもう楽しそうに話をしている。昨日の部活で鬼ごっこをしたらしい野球部(氷鬼とか鬼ごっことか、ほんと部活の練習とは思えないもん組み込んでるなぁ監督は)の隣りにいる泉はときおりを小突きながらも、べつだん嫌そうじゃない顔で聞いていたり、ツッコミをいれていたりする。ことと泉こと泉孝介と俺は同中だったりする。偶然かなんなのか、高校も三人一緒になったわけだ(おまけにクラスも)中学の頃からたぶん、仲がいいという範囲の俺らだけど、高校に入ってからそのポジションが少しだけ変わった。 「うるせぇ、今日送ってかねぇぞ!」 「わー、ヒドー、冷たーい!」 それは、と泉が彼氏彼女になったことだ(もともと一歩手前まではきてたんだけど)まぁ、そうは言ってもこいつらに色気なんてもんは存在してねーんだけどね。田島の下ネタ混じりのからかいだって笑ってすますことができるくらい友情の延長の恋愛って感じがする。現に、未だに俺を誘って遊びに行ったりするくらいだもんな。っつっても、野球部忙しくてそんなに暇があるわけじゃないけど(はマネジだし、ほんとこいつらってどこでもいつでも一緒っていうか…)そんなことを考えてたら、は話を別のものにしていたらしい。 「この前練習試合で泉がね打ったの、カキーンて!」 「そりゃ打つだろ、打たねーと勝てねぇよ。」 「そうだけどね…って、ちょっと黙ってて泉!」 けっきょくは泉の話かよ(ノロケ話じゃないことが唯一の救いだけど)は竹箒を野球のバットにみたてて構える。けど、竹箒の先が重たいのか、少しフラフラしてたりする。そんなを見て愉快そうに泉が笑ってる。俺も、笑ってたりするけど。本人は真剣なようすで、俺らに気づかないみたいで、そのまま説明みたいなもんをしながら腕を引き上げる。 「こう、スイングがね、こーっ、キレイだったの!」 「…ぉわぁッ!危ねーだろ!」 「あ、ごめんね。」 危うくのスイング(竹箒)が泉の顔面に当たるところだったけど、間一髪でそれを泉が避けた。あんなチクチクしたもんが顔面に直撃したんじゃ、泉の顔に穴あくんじゃねーかな、とか人事みたいに思ってたら、口に出してないはずなのにバレてたみたいで、俺は泉から蹴りを一発くらった、俺はなにも悪くないのに(人事みたいに笑ってたからか?)それを見ては楽しそうに笑った(自分が原因のくせに)泉もみたいに笑って、俺はけっこー痛かった腹をさする。風が吹いて、あんまり落ちていなかったけど、いくつかあった落ち葉がブワーと広がっていってしまった。真面目に掃除してないから、別にいいけど。 「どーでもいーけど、泉はなんか面白い話ねーの?」 「はぁ、俺?」 がまだ笑い続けてる(笑い上戸)から話を泉にふってみた。泉は、どーでもよさそうな顔をしたけど、すぐになにかを思い出したみたいだ。 「部活んとき、がさ。」 「(けっきょくソッチかよ)」 「ボール入ったカゴひっくり返しやがってさ。」 「あー、ちょっと、なに人の失敗談話してるのー!」 やっと笑いが止まったのか、それとも、自分の失敗談を話してほしくないのか(たぶん、後ろだろうけど)が復活して話をしようとしている泉の服を引っ張ってとめにかかる。けど、泉を押さえられるはずのないは案の定簡単に泉にとめられる、それだけじゃなくて髪グチャグチャにされて遊ばれたりしていて…ほんと微笑ましいのなんの。 「グラウンド内にボール散らばしてやんの!」 「あー、あー、あー、それ秘密って言ってたのに!」 「野球部全員見てたから秘密もなんもねーだろー。」 ついにはギャーギャー言い始めた。おーい、もうちょっと声をおとそうぜー?センセにバレちゃうぞー。と、言ってみても聞こえてなんてないんだろう。仕方がないので俺は傍観者となって二人を見守ることにした。こいつらいつも教室でもこんなんだし、ほんと仲がいいことで…。つーか、元気だよなー、お兄さんはついていけない。小さく笑いながらちょっと前のことを思い出す。中学の頃もこいつら仲良かったけど、あんときとはやっぱり、ちょっと違うなぁと。あんときは教科書で叩き合ったり、蹴りがでたりしてたもんな。今は痛くなさそうなヘッドロックとかよわっちいパンチとか、頭グシャグシャとか(おもに泉がやってるけど)スキンシップみたいなんだし。 「あたしもとっときなの言ってやる!」 「俺にこれ以上失敗談なんてねーよ。」 「あれは高校入学したばかりのときー、泉はー。」 「どーせ大したもんじゃねーだろー。」 「あたしの何気ない言葉を告白だと勘ちが…ゥグ!」 なにやら面白そうな話が始まりそうだったんだけど、泉がの口を手でおもいきりふさいでしまったことで途中で途切れてしまった(うわー、それ、ぜひとも聞きてー!) 「ふつーそれ喋ろうとするか…ッ、イテェ!」 阻止していた泉だけど、どうやらに手を噛まれたらしい(ご愁傷様でした)俺としては続きが聞きたい!俺は密かにワクワクしながらの続きを待つ。泉は手を押さえてるから、さっきみたいに手で阻止することはしばらくはできねーだろうし。がニッと笑って続きを話そうと口を開いた…はずだったんだけど! 「!!!!!」 俺は目も口も大きくあいてしまった。 「…な、な、なにするのよ、い、泉ぃ!」 「うるせー、喋ろうとするお前が悪い!」 「(か、勘弁してくれぇ)」 「さ、掃除終了ー、部活行くぞー!」 「ばか、ばかばかばかばか泉のばかぁー!」 あいつらのキス、シーンなんて、俺、見たくなんてなかったのに…(田島じゃあるまいし!) |