君でいっぱいいっぱい

冬が終わって春が来た。エスカレーター式の学校であるが、入学式ぐらいちゃんとある、そう、今日は入学式の日。普段ならこういうイベントは面倒のほかないが、今日は特別。俺は緩みそうになる口元を頑張って戻そうと試みながら式へと向かう(在校生も参加)誰かは分からないがセンセイの声で新入生が歩いてきた。…あ、いた!は俺に気が付くと、にこりと笑いかけてくれた。俺は必死でにやけそうになる口元を押さえていると、隣の奴から、入学式で何がそんなに面白いんだ、と言われた(ちげぇよ、ツボにはいってんじゃねぇ)


「よー、、久しぶりだなー。」

「お久しぶりでっす、皆さんお元気そうで!」

も元気そうだな。」

「はい、元気です!」


その日の学校を終えて、は同じクラスになったらしい利央と一緒に野球部へと顔を出した(利央のくせに、利央のくせに!)部活前だったので和さんも慎吾さんも、ってかみんながのところに集まった(あ、しまった、慎吾さんとを近づけさせないつもりだったのに!)そんな俺の気持ちを分かってか、慎吾さんはニヤリと笑ってポンポンとの頭を撫でている。


「相変わらずかーわいーねーお前。」

「あはは、お世辞でも有難う御座いますー。」


は中学のとき軟式テニス部だったから、そこまで野球部との関わりはなかったんだけど、俺の応援に来てから、俺の幼馴染ってことで部員のみんなに知れわたった(それから数回みんなで会ったり話したりはしている)それはいい、けど、慎吾さんがの頭を撫でているのは…気に入らない。じっと見ていたらしい俺を見て、また慎吾さんがニヤリと笑った。ムカ。


「けど、相変わらずちっせぇなぁお前…軽ッ!」

「!!!!! 慎吾さん!」


突然を抱き上げた慎吾さんに俺は一瞬目を丸くしたが、声をあげるとすぐに体が動いてに腕を伸ばすと少し乱暴だったが、を自分の方へと奪い取った(言葉悪いけど)は俺に抱き上げられたまま目をパチパチとさせている。そりゃそうだ。でも…。俺はジトリと慎吾さんを睨んだ。慎吾さんは、おー怖、と言いながらもやっぱり笑っている。こ の ひ と は !俺はまた慎吾さんを睨む。


「準太。」

「はい、何スか、和さん。」

「…そろそろを下ろしてやれ。」


和さんに言われて俺は自分の腕の先を見る。そこには少し困ったようながいた(すっかり忘れてた)ダメだ俺、が絡むとぜんっぜん何も見えない…。



君でいっぱいいっぱい

(もう君と野球以外のものを見れそうにない)
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