見えない角度で手を握り締めこの頃、あたしはちょっと可笑しい気がする。気持ちが落ち着かなかったり、なんだかいきなり寂しいような気がしたり、そうかと思えば胸があつくなったり…とにかく、可笑しい気がする。そして、準ちゃんも少しだけ可笑しい気がする。昔からすごく優しくて、あたしが男の子に意地悪されて泣いていたりすると本気でその男の子を怒ってくれたり、あたしが怖い夢を見て怯えていたら落ち着くまでずっと傍にいてくれたり、準ちゃんはすごく優しい人だった。それは今でも変わらない。前にも、夜怖いテレビ見たから泊まってくれなんていう無茶なお願いを聞いてくれたし。準ちゃんは優しい…けど、ちょっと変わった?"俺は男で、リコは女なんだよ"前はあんなこと言わなかったよ。「、帰るぞー。」 「はーい。」 「、俺が送ってやろっかぁ、二人っきりで。」 「…慎吾さんの出番はないです、お疲れ様でした!」 「ははは、余裕ねーなぁ準太。」 慎吾さんの言葉になぜか準ちゃんはムッとしたのか、プイと顔を背けると、あたしの手を掴んで足早に歩き始めた。初めはその速さについていけそうになかったけど、途中で準ちゃんは歩く速度を緩めてくれて(たぶん、あたしに合わせてくれたんだ)校門を通り抜けてから立ち止まった。 「慎吾さんと二人っきりになるんじゃないぞ。」 「どうして?」 「(分かってねぇなぁ、相変わらず)」 準ちゃんはときどきよく分からないことを言う。首を傾げて考えるけど、どうしてそんなことを言われたのか分からない。慎吾さんは悪い人じゃないし、慎吾さんのことを準ちゃんが嫌いなわけじゃない(ときどきからかわれて嫌そうな顔をするけど、準ちゃんは慎吾さんのことをちゃんと尊敬してるよ)それならどうしてなんだろう?準ちゃんは一瞬だけすごく嫌そうな顔をしたけど、すぐに顔を戻して、あたしの頭に触れた。 「俺が…が他の男と二人きりになるのが嫌なんだよ!」 その言葉と同時に手はあたしの頭から放れた。準ちゃんはクルリと前を向きなおし、足を進める。あたしは少しぼーっとしてしまって、足が出なかった。そんなあたしに気がついて、準ちゃんはあたしの名前を呼ぶ。それにハッとして慌てて小走りして準ちゃんの横まで行った。 「(つーか、ここまで言っても気づかないか、は)」 「(なんだろ、なんかまた胸の奥があつい気が…)」 長いようで、たぶん、少しの間の沈黙。あたしは準ちゃんの真横を歩きながらも、準ちゃんには見えないところで、よく分かんないような気持ちを誤魔化すように手を握り締めた。頭のどこかで、昔のように準ちゃんの手を握り締めたら落ち着くのかな、なんてことを考えていたりもした。あれ、あれれ、あたし、準ちゃんに触れたいなんて、思ってたりするのかな。余計にでも、自分の手を強く握り締めてしまった。 見えない角度で手を握り締め ((手を握ったら、準ちゃんはどう思うかな)) title by 恋したくなるお題 |
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